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ESPNがスポーツベッティングビジネスに本腰か?

アメリカで急成長しているオンラインギャンブルビジネス、その中でESPNがオンラインギャンブルブランドにESPNブランドを貸し出すという報道が出てきました。カジノ運営会社のCaesars(ニューオーリーンズ・セインツのホームスタジアムであるスーパードームのネーミングライツを今年から獲得した会社)やオンラインギャンブル会社のDraftKingsなどとの交渉を行なっており、ESPNブランドのライセンス供与で30億ドルを求めているとのこと。ウォールストリートジャーナルが報じています。

この提案では、スポーツブックの名称をESPNに変更することもできる可能性があるとのこと。一方でESPNのプラットフォーム上で一定額の広告を行う義務が発生するともWSJは伝えています。また、ブランドライセンス契約にすることで、ESPNはスポーツギャンブルのブームから利益を得ることができますが、その際、各州でライセンスを必要とする賭けや勝者への支払いを行う必要はありません。

調査会社Eilers & Krejcik Gamingのギャンブル業界アナリストであるChris Grove氏は、スポーツ・ベッティングは2021年に米国で約40億ドルの収益を上げる見込みであると述べています。2018年の最高裁判決により、ネバダ州以外の州がスポーツベッティングを合法化する道が開かれたことで、この業界は成長しました。現在、32の州とワシントンDCがスポーツへの賭けを合法化しています。

アメリカのCMを見るとオンラインベッティングのCMがどんどん増えており、DraftKingsやFanDuelなどがスポーツ中継の周辺では必ず見かけるという印象です。この他Ceasarsはイギリスのスポーツ賭博大手William Hillを40億ドルで買収し、今月からCaesars Sportsbookというアプリを立ち上げています。

一方ESPNを所有するディズニーは7月3日に終了した四半期の売上高を、前年同期比45%増の170億ドルと発表しました。これは、再開したパークへの訪問者数が大幅に回復したことによるものですが、前年同期の売上高202億ドルには及びませんでした。一方でDisney+の加入者数は予想を上回り、全世界で1億1,600万人に達し、前期の1億360万人を上回りました。またESPN+の加入者数も急増し、前年同期比75%増の約1,500万人となりました。
 
ESPNは他社と比べてスポーツベッティングに対しては慎重な印象でした。現在Daily Wagerというギャンブル専門の番組などを運営している程度です。一方ESPN以外の多くのメディア企業が、スポーツ賭博コンテンツを自社のプラットフォームに統合したり、パートナーシップを結んでこの分野に参入する方法を模索しています。
 
FoxはFox Betを立ち上げ、DraftKingsやFanDuelに直接対抗しようとしています。このプラットフォームは、Foxが4.99%の株式を保有するオンラインスポーツ賭博会社Stars Groupによって運営されています。またCBSスポーツは昨年、William Hill社とパートナーシップ契約を結び、同社のデータをウェブサイトや番組で使用しています。今年初めには、OTTリニアサービスのFuboTVがオンラインスポーツブックを買収し、同社のTVプラットフォームに統合する予定です。

さらにはNFLは今シーズン初めて、スポーツ・ベッティング・カンパニーが試合中に広告を購入することを許可しました。ただし、広告は1試合につき6スポットに限定され、許可されたギャンブル・カンパニー7社のみが対象となります。その中には、NFLの公式スポーツ・ベッティング・パートナーであるCaesars、DraftKings、FanDuelの3社が含まれています。また、NFLは、BetMGM、WynnBET、PointsBet、Fox Betも広告掲載を認めています。

どんどんスポーツベッティングがテレビCMをさらに占めていくのはヨーロッパの先例を見るとアメリカでも避けられそうにありません。もともと他の国と比べると処方薬のCMが多い印象のアメリカ、ベッティングのCMが加わることでさらに変わり映えのしないCMばかりになってしまうのでしょうか。

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