Amazonによる新しいスポーツ中継の幕開け
アメリカで最も人気の高いスポーツといえばアメフト。その中でもNFLは不動の人気を誇っています。これまではテレビ放送での中継がメインでしたが、今月から始まった新しいシーズンではテレビ放送がない試合が初めてスタートしました。
それを独占中継するのがAmazonです。サブスクサービスPrime Videoにて木曜夜の試合”Thursday Night Football”が合計15試合配信されます。今回は初回となった試合の様子を振り返っていこうと思います。
対戦カードはカンザスシティ・チーフス対ロサンゼルス・チャージャーズ。AFC西地区同士の好カードとなりました。両チームのクォーターバック、ホームズとハバートは次世代のNFLを引っ張っていくと言っても過言ではないでしょう。
地元局のプレショー
冒頭で木曜夜の試合はAmazonが独占中継すると紹介しましたが、ひとつだけ例外があります。出場するチームのホームエリアでは、もしその試合の視聴が有料の場合、地上波での無料放送するというのがNFLの放映ルールとしてあります。そのため今回の試合もそれぞれのホームエリアでは地上波で中継されました。
カンザスシティエリアではNBC系列のKSHB、一方ロサンゼルスエリアではFOX系列のKTTVが今回中継し、それぞれ東部時間午後7時からプレショーが放送されました。
ちなみに月曜夜の中継Monday Night Footballは現在ESPNで主に中継されていますが、この試合においても出場チームのホームエリアでは地上波で中継されています。
Prime Videoでのプレショー
一方Prime Videoでも東部時間夜7時からプレショー”TNF Tonight”が開始していました。ホストはFox Sportsでも活躍するカリッサ・トンプソン。そしてリチャード・シャーマンやライアン・フィッツジェラルドといった元人気NFLプレイヤーが出演。
午後8時、地元地上波局も含めてAmazonの制作番組”Thursday Night Kickoff”を開始。まずはAmazonオリジナル映画「サマリタン」の宣伝からスタートします。
アバンタイトルでは「新しい時代の始まりだ」とアピールしていました。
この中で印象的だったのが、プレショーのメインスポンサーであるオーディオブックサービスのAudibleに寄せた"Prime Stories"という、試合の何日も前からカメラが潜入し試合時間に向けてカウントダウンしていったセグメントでした。
Thursday Night Footballの開始
そして東部時間8時15分より試合がスタート。実況はNBCで長年NFLの中継を務めてきたアル・マイケルズ、解説はESPNのカレッジフットボール中継と兼任するカーク・ハーブストライト。2人ともベテランなので、安定感は抜群で地上波の中継とも遜色はありませんでした。
下記がTNFのイントロです。個人的には映画のようなオープニングはややもすると古臭いようにも感じられました。なぜAmazonがこのようなイントロにしたか、とても興味深いところではあります。
試合の配信についてはTwitterでは画質が酷いといったコメントも一部見られましたが、大きな問題はなかったようです(一方でロサンゼルスのKTTVでは途中まで野球が中継されたというツイートも見かけました)。個人的には音声ミックスのバランスに違和感を感じたことが何回かあったものの、大きなストレスはありませんでした。
NFLコミッショナーのコメント
今回のストリーミング独占のNFL中継が始まったことに際し、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルがスタッフに向けたメモがネットで公開されていたので、最後にご紹介します。
スポーツ中継の未来
これまでアメリカでは有料放送の加入率が90%を超えていましたが、今は下がる一方です。その中でMLBやNHLはストリーミングに積極的に参入してきました。今はストリーミングでしか見られない試合も多くあります。下記はNBC系列のPeacockのMLB中継について。
さらにサッカーのMLSがApple TV+で全試合&全世界配信というのが話題になりました。
NFLは木曜夜の試合はこれまでFOX地上波や有料放送のNFL Networkで放送しつつ動画配信でも中継されていましたが、今シーズンからストリーミング独占の試合になりました。さらに来月10月には動画配信のESPN+でもロンドンでの試合が独占中継されます。
NFLがストリーミングにフォーカスしたことで、アメリカでは今年がスポーツ中継のターニングポイントと言えるでしょう。この流れは止まることはありません。次はバスケットボールNBAの中継がどうなるかに注目です。
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