理論編(2) 「語り手」と「作者」の違い(1) 国語教育における物語論の導入
理論編(1)をまとめると、作品を「物語」として捉えるとはすなわち、過去に行われたことを語り手がどのようにして聞き手に対して語り出すのか、という観点から作品を分析する姿勢である、ということになる。
ここで問題になるのは、「語り手」とはどのような概念であるのか、それは「作者」とどのように違うのか、という問題である。これは一見すると簡単な問題のようで難しい。国語教育において「語り手」という概念が導入されて久しいが、未だに理論的な背景を踏まえて「語り手」という語を使って分析するこ