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エンプラ営業に活路を見出したベルフェイスの『営業プレイブック』を大公開

はじめに

7月に書いた「金融機関を対象に、2年間でARR6億円をつくった『EP営業の有効施策』を公開」に対し、想像以上に沢山の反響をいただきました。SNSなどでコメントをいただいた皆さま、有難うございました。

多くは「この逆境を乗り越えるメンタル凄まじい」系の反応(称賛?)だったのですが笑、次いで多かったのが「この短期間で難易度の高いエンプラ営業で成果を上げたのが凄い」という内容でした。

我々の取り組み内容や成果が客観的にみた際にそれなりのものであることが確認できて嬉しく思うと同時に、もしかするとこの領域はまだまだナレッジが世の中に行き渡っておらず、もしかすると何をすれば良いのかわからず困っている方が多いのでは?と1人で勝手に妙な使命感のようなものを感じていました。

折しも、弊社内ではこのタイミングでこれまで行ってきた約2年半のエンタープライズ営業の活動全般を振り返り、成果に寄与したアクションとそうでないものを整理し、営業それぞれが正しいプロセスを踏んで成果を標準化させ、活動の生産性を最大化させることを目的とした『営業プレイブック』を取り纏めて、完成させたところでした。

それであればこの内容をnoteに取り纏めて発信し、微力ながら困っている方々の一助になればと考え、本noteを執筆するに至りました。
尚、営業プレイブックの内容は相当幅広く、一度で全てを纏めようとするととんでもないボリュームになってしまいます。よって今回は悩みに悩んだ末、「大規模案件の有効商談化率を最大化させるために、事前に踏むべき3つのステップ」について纏めさせてもらいました。

もし3年前に戻ったとして、自分自身が一番知りたかった内容がこのテーマであり、言い換えれば成果を左右する最も大きな要素であると考えたことが、理由として挙げられます。ということで前置きはこれくらいにして、ここから本題に入っていきます。

STEP① プロジェクト類型の見極め

顧客の収益ポテンシャル(TAM)に対するリーチ幅を最大化していくためには、場当たり的に大規模提案を行うのではなく、案件の位置付けや意思決定プロセスを正しく把握・設計する必要があります。具体的には、顧客内で自社サービスを導入してもらうにあたり、プロジェクトチーム(タスクフォース)が組成されているかを把握し、その状況に合わせたアプローチを行っていくことがとても重要になります。

STEP①-1 なぜプロジェクト化が必要なのか?

  • 大企業において年間数千万〜数億円に及ぶサービス導入は、一部の関係者だけの検討によって突発的に決裁がおりるものではないため

  • 自社が抱える課題に対し、その解決策として該当サービスの導入が一案としてあがった場合、それは関わる複数部門のステークホルダーが集まり社内で十分な検討が行われ、その上何階層にも及ぶ稟議が通された上で可決するため

  • そのため、ほぼ全てのケースで共通しているのは、自社サービスの導入検討が「プロジェクト化」された上で、顧客内で予算が確保されている

STEP①-2 プロジェクト化の3類型とは?

大規模受注の実現を目指す上で不可欠な「プロジェクト化」には、弊社内で定義した以下の3つの類型があります。
①渡りに船型
②競合置き換え型
③チャンピオン着火型

この型の種類によって踏むべきステップが大きく異なってくるため、その類型を正しく判断することが大規模受注の第一歩となることをまずご認識ください。

しかし類型の判断は外部情報等から行うのは難しく、それは顧客との密なコミュニケーションを通じた細かな一次情報の収集なくして、正しく見極めることはまず出来ません。

参考までに、弊社の営業プレイブック内にある3類型の詳細を添付させてもらいます(以下添付にある「Champion」の役割や定義は後述します)。

「プロジェクト化」の3類型

目の前にある顧客内のプロジェクトがこれらのどの類型に当てはまるのかを正しく見極め、然るべきアクションを起こしていくことがとても重要になります。

STEP② 顧客への提供価値の言語化と、導入可能サイズの具体化

至極当たり前のことを言いますが、顧客に対して、自社サービスが提供できる価値は何なのか?これはできる限り早期に言語化をするべきです。顧客への提供価値こそが提案内容の中核であり、受注に向けて多様なステークホルダーにこの提供価値の理解を促すことが必要となるからです。

ここから意識的に該当部門ごとのユースケースを特定し、顧客全体での導入ポテンシャルを正確に把握することで、クロージングに向けてより大きな提案が行えるようになってきます。

顧客毎の提供価値の言語化には、顧客の「部署別オペレーション(ルール)」と「その中で適用可能なユースケース」の情報が必要となります。そのために取るべきアクションは主に以下の3つとなります。

① 商談前のリサーチでユースケースの仮説を構築し、初回商談でテスト訴求することで、提供でき得る価値にある程度のあたりを付けておく

② 2-3回目の商談で、初回商談でのテスト訴求から見えてきたもう一段深掘りした仮説の精度を検証し、より広く具体的な価値創出機会を特定する

③ 顧客情報を積極的に共有してくれる方(=Champion)と関係を深め、価値創出機会に関するより広く具体的な情報を継続的に引き出す

上記アクションを十分な準備の上で実行することで、大型受注に向け、顧客に訴求するべき提供サービスの価値が定まってきます。

例えば、弊社内にある大型導入の成功事例である某金融機関のコンタクトセンター部門の案件では、上記のセオリーを正しく踏んでいくことで、初回商談から4ヶ月で複数部門・複数ユースケースを有した大型内示を得ることが出来ました。

[初回商談]
エンドユーザーが利用するマイページのリニューアルに伴い、ページ内で手続きできる事項が増え、今後問い合わせ数が一気に増えるという課題が顕在化していた。顧客のbellFace活用におけるユースケース(マイページの操作照会、書類の記入サポート等)をヒアリングした上で、製品デモを行い顧客側で活用イメージを持ってもらうことができた。

[2回目商談]
更なる課題の深掘りにより、メインユースケース以外に代理店からの問い合わせ対応とアウトバウンドコールの分野にも課題が顕在化していることが判明。ユースケース一覧シートに課題・bellFace利用イメージ・現状の実績をまとめることで、起案部門と該当部門との連携もスムーズに行えた。

[3回目商談]
起案部門の担当者から、bellFaceで導入検討を進めたいと回答をいただく。導入稟議を進める上で、最重要部門となるシステム部門のご担当者様をご紹介いただき、製品デモならびにシステム要件の説明を実施。
結果的に、お客様サポート・代理店サポート・アウトバウンドコール部門の全てで導入の内示をいただく。実態に限りなく近いユースケースの仮説構築、それらの精度検証を目的としたヒアリング、より広範に及ぶ課題の特定、チャンピオンとの密なリレーションにより、初回商談から4ヶ月という短いリードタイムで大型商談の内示を得る。

STEP③ 攻略ルートの設計

続いて重要になってくるのが、攻略ルートの設計です。意思決定プロセスを正確に理解して、誰にどのような働きかけを行うべきかを明らかにしていくステップが必要があります。この攻略ルートの設計は以下3つのポイントを抑えると、ここから先の商談が驚くほど前に進めやすくなります。

STEP③-1 キーパーソンの整理

SMB営業とエンタープライズ営業の一番の違いを挙げるとすれば、キーパーソンの多さではではないでしょうか。中小・零細企業への営業ではほとんどの場合は社長の一存で物事が決まりますが、大企業の場合にはそうはいきません。ここではまず、キーとなる方々の役割を5つに分類してご紹介します。

キーパーソンの5分類

一般的に、キーパーソンと聞くと最終決裁権を持つEconomic Buyer(EB)をイメージされる方が多いかと思いますが、実はエンタープライズ営業においてはEBの意向はそれほど大きな影響を及ぼさないケースが多いです。なぜなら、EBは形式上最終決裁権を持っているものの、基本的な方針の決定はその裁量を部下の方に委ねているケースが多いからです。そのため、何よりもまず、自社サービスに対して強烈に魅力を感じてくれており、社内のキーとなる方々を次々に繋いでくてれて、EBにも積極的に意見を伝えることができる、「Champion」を確実に抑えておくべきです。

STEP③-2 Championの特定

Championの重要性は十分ご理解いただけたかと思いますが、難しいのは「誰がChampionなのかを、どのようにして見極めていくのか?」という点です。尚、弊社では以下4つの条件を満たしていることを、Champion特定の条件としています。

1. bellFaceの価値に共感してくれていること
2. bellFaceを導入する必要性を感じてくれていること
3. EBやその他関係者に対して、反論も交えながら自分の意見が言えること
4. bellFaceの導入に必要なキーマンを紹介、またはAE/Sales/CSから得た情報を元に自ら攻略してくれること

Champion見極めの4条件

そして、この4条件を果たして本当に満たしているのかを正しく判断すべく、弊社が実践しているChampion見極めのための10のクエスチョンをご紹介させてもらいます。

Champion見極めのための10クエスチョン

10のクエスチョン全てがYesでないと、Championと特定できないわけではありません。関係性として全ての確認を行うことができなければ、特に★を付けた3つを優先的に確認されるのが良いかと思います。この3つの回答全てがYesであれば、Champion候補として今後の推進においてリレーションを強めていくべきです。弊社で大型受注が決まった案件には例外なくChampionが存在し、お客様内で力強くプロジェクトを推進をしてくれました。

STEP③-3 PowerChartの作成

役割が異なる5名のキーパーソンを抑え、最重要となるChampionとのリレーションも築き始めることができたら、攻略ルート設計の締めとなるPower Chartを作成します(もちろんキーパーソンを抑える工程の途中で作成してもOK)。

冒頭でもお伝えした通り攻略ルートを設計する目的は、意思決定プロセスを正確に理解して、誰にどのような働きかけを行うべきかを明らかにしていくことにあります。そのためには、キーパーソンを特定するだけでは当然事足りず、組織全体の相関図を俯瞰した時に、今後の推進においてリレーションが不足しているのはどの部門の誰なのか?またその先ではどのルートからどのように攻めるべきなのか?目の前にあるキーパーソンとの関係値や事象に囚われて大局を見失うことがことがないように、以下のようなPowerChartを作成することをお勧めします。

攻略ルートを設計するためのパワーチャート

キングダムが好きな方向けに例え話をさせていただくと、軍師の李牧や河了貂が戦略を練る際に、戦地の地図を広げてどこから攻めるべきかを熟考しているシーンを思い浮かべていただくと、イメージがわきやすいかもしれません。どんなに強力な戦力を有していても、攻めるルートを1つ間違えればそれが命取りになるのと同じように、エンタープライズ営業も攻略ルートを誤ると全ての努力が水の泡となりかねません。

私はこれまで何十何百ものPowerChartを眺めてきましたので、今ではパッと見て10秒以内には、欠けているピース、そして攻略していくべきルートが黄金色に輝いて見えるようにまでなりました。すみません、これは完全に盛っていますが、それに近いくらいに道印がはっきりと見えるケースが次第に増えていくはずです。

さいごに

以上が、大規模案件の有効商談化率を最大化させるために、事前に踏むべき3つのステップとなります。

【おさらい】
STEP① PJ類型の見極め
1, 渡りに船型
2, 競合置き換え型
3, チャンピオン着火型
STEP② 顧客への提供価値と導入可能サイズの具体化
1, 提供価値を言語化する上での3つのポイント
2, 大型導入に成功した弊社内事例の紹介
STEP③ 攻略ルートの設計
1, キーパーソンの整理
2, チャンピオンの特定
3, パワーチャートの作成

長々と書かせてもらいましたが、これらはエンタープライズ営業を加速させるためのほんの一部にすぎません。これらの内容だけでも、もう少し深堀をすると、
■ PJ類型が見極められたら、それぞれのタイプごとにどう進めていけば良いの?
■ ユースケースの仮説がずれていた場合はどう軌道修正していけば良いの?
■ そもそもTAMはどうやって算出すれば良いの?
■ チャンピオンを特定できた後は、どうリレーションを深めていけば良いの?
などなど、数え上げればキリがないので、もし気になることがあれば、気軽にご連絡ください。

実はSTEP④として、「アカウントプランの作成」も纏める予定だったのですが、気付けば5,000文字を越えてしまったので、今回はここまでとさせてもらいます。もし今回も一定の反応をいただけて、少しでもお役に立ててるなという実感が持てたら、また続編として頑張って取り纏めさせてもらいます。

最後に、ベルフェイスでは今回テーマにあげさせてもらっているエンタープライズ系の営業・CS・マーケティング・アライアンスなど全方位的に採用を行っておりますので、少しでもご興味を持っていただけましたら、お気軽にご連絡ください。

それでは、皆様のエンタープライズ営業が実り多いものとなることを願っております!

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