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障がいを持つ子どもに、変わってほしいと思ったら取り組むこと

障がいの有無に関わらず、親が子どもに対して「行動を直してほしい」と思ってしまうことは誰もが経験することではないでしょうか。

「ちゃんと〇〇しなさい」と強めの口調で叱っても、言うことを聞いてもらえないと腹立たしかったり悲しかったりと、親の方もモヤモヤしてしまいます。


子どもの理解力が育っていけば徐々に親の言うことを理解するようになり、やきもきするようなことは減ってくるのかもしれません。

しかし、もし子どもに知的障がいがあり理解力が育ちにくいのだとしたら、少し話が複雑なります。

成長の段階で親が言葉を尽くして説明したとしても、子どもがその内容を理解することが難しいからです。


子どもに行動を変えてほしくて子どもに伝えたとしても、子どもが理解できないこと・行動が変えることができないことに対して、私たち親はどのように対応していけばいいのでしょうか。

その答えは「子どもを変えようとする」のではなく「子どもの環境を変える」ことです。




子どもの環境を変えるというのは、子どもに論理的思考を求めることよりも望ましい行動が取りやすい環境を整えることを優先するということです。


子どもの行動は、周囲の反応や状況から思いのほか影響を受けています。

苦手な人を見るだけで落ち着かなくなるし、嫌な感覚刺激が苦痛で悲しくて泣いてしまったりします。

そういった意味では、子どもの行動は思考を通さないで生じる「反応」です。

子どもの行動が環境に対する反応なのであれば、望ましい行動が取れるように生活の環境や行動の設定を変えることで、子どもの行動は良い方向に変わる可能性が増えます。

ちなみに環境の中には、親の存在も含まれます。

子どもは親の行動や言動を浴びながら生活しています。

親の態度もまた、子どもの生活環境の中の刺激として大きな影響力があります。




ここで具体例として、勉強が苦手な子どもに「机に座って学習する」という行動が取りやすい環境について考えてみます。


環境としては学習専用のスペースを設けて周囲からの刺激を排除するために机の周りに囲いを作ったり、目につくところに学習に必要なもの以外を置かないということができます。

その際に「このスペースは〇〇ちゃん専用に準備したんだよ」という言葉を添えられると、子どもは1度座ってみようかなと思ってくれやすいでしょう。

机上には取り組む課題だけを置き、その他の課題は引き出しの中などにしまっておきます。

そうすると、目の前のことだけに集中しやすくなるため、最大限の集中力を発揮しやすくなります。
(言語聴覚療法:STに通ったことがある人ならお馴染みの光景です)


学習したくなる設定として、机に座って学習するたびにご褒美をあげるというのもアリです。

ここでいうご褒美とは、お菓子などの嗜好品やお小遣いでもいいのですが、子どもは心理的に親からの愛情や承認を求めているので「今日も勉強続けてるね」と笑顔で声をかけてあげることも行動の後押しになります。

学習は簡単なことから始めます。

1回の学習の組み立ては、とっかかりでつまづかないように簡単な課題から始め、中盤は少し難しめの課題、終わりは楽しんで行える課題を持ってくると、学習をすっきりとした気分で終えることができます。

集中の持続時間が短い子どもであれば、1回の時間を短くして2回に分けてみたり、遊びと学習を交互にしてみてもいいかもしれません。


自宅が学習環境として合わないということもあります。

自宅はあくまでもくつろぐ場所なので、家では学習したくないというケースです(ウチがそうでした)。

そんなときは、思い切って家では学習は行わず、外ですると決めてしまうという選択もあります。

また学習は、一緒に教えるくれる人の人柄にも影響を受けます。

僕の子どもは親と一緒に勉強するのは好まなかったですが、気に入った塾の先生とは集中して学習できていました。

気に入った先生や生徒となら取り組めるという環境設定もあるのです。







子どもが行動しやすい環境を設定することが面倒に感じ、「勉強しなさい」と怒った方が手っ取り早いという人もいるかもしれません。

しかし「怒られて言うことを聞く」という行為は「怒られる恐怖を回避するための行為」であるため、「やらされている」という認識に繋がります。

それは私たち親が望んでいない反応なのではないでしょうか。


一方、様々な場面で子どもの行動のキーになっている環境の要素がわかれば、親のストレスも少なくなります。

子どもの言動の理由を考えるとき、その原因を「環境が合わなかった」と考えると、親にとっても子どもを理解するための動機につながりますし、何より感情的にならずに済みます。


育児期間は何かと感情的に振り回されがちになってしまいます。

そんな時は、子どもの行動を環境や設定と紐づけながら考えていくことが、学びの多い生活につながっていくのではないかと思います。


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