《GBA》RPG『真・女神転生 デビルチルドレン 氷の書』
個人的評価「親しみやすい女神転生ライト版・改」
★★★★☆ (4.5)
歴史ある人気ゲーム「女神転生シリーズ」の子供向け版、といった印象。「デビルチルドレン」としては5作目に当たるはず。前作「闇の書」の直接の続編。
ストーリそのものは単純でやや物足りないが、わかりやすく、「闇の書」と比ればかなり厚みが増した印象。また、サブイベントまでやりこむことで深みが増すように感じられる。
“交渉”や“合体”というシリーズ特有のシステムは少し簡略化されており、世界観やデビルもとっつきやすくデフォルメされているので、シリーズ全体の入口としての秀逸さを感じる。
――女神転生シリーズの魅力をしっかりと残しつつも、親しみやすい独自の魅力を放つ作品。勿体ないという評価も拭いきれないが、全体としては「闇の書」と比べてかなりブラッシュアップされたように感じる。
あらすじ
ヴァルハラを滅ぼした天使とデビルの軍団。
世界を滅亡から救うため、アキラが旅立つ!
炎の書も 楽しいぞ!
※基本的な評価
基本的な評価は前作「闇の書」と変わりません。
今回は「闇の書」との比較に焦点を当てて語りたいと思いますが、以下にざっと要約を載せておきます。
◎親しみやすいデビルたち
全体的にデフォルメされていて親しみのある、350種類以上の多彩なデビルたち。
◎独特なシステム
簡略化されつつ継承されている、女神転生シリーズの“交渉”や“合体”というシステム。プラス、独自の合体やアイテムによる新システム。
◎引き算による独特な空気
女神転生シリーズのよさを残しながら、子供向け要素やアレンジが多いことなどから、また違った魅力が漂う作品。
×親しみにくいデビルたち
好きなデビルを育てて活躍させることが非常に厳しい、親しみやすさと相性の悪い根本的なシステム(それがシリーズ全体の魅力でもあると思うのだが……)。
×厳しいシステム
同時にできないレベル上げとこうしょうを両立しなくてはならず、サクッと進めないという、敷居の低さと相性の悪い根本的なシステム(改変による弊害も?)。
×引き算による物足りなさ
子供向け要素が強いことなどから、ストーリーの薄さを感じてしまうことが否めない(シリーズの入口としては秀逸な作品だったのかも)。
◎100種類を超える新たなデビル
前作に登場した348種類の仲間になるデビルに加え、本作では新たに100種類のデビルが仲間になるようになりました。
しかも、前作では仲間にならないデビルが13体ほどいたのですが、今作では登場するほぼ全てのデビルを仲間にすることができるようになっています(別ソフトとの通信が必須なデビルも含む)。
普通にマップ上で遭遇するデビルはもちろん、化石合体でしか手に入らないゾンビデビルや、クリアー後に仲間になる強力なデビルなども多数増えており、それだけでも楽しみがぐっと増しています。
重大なネタバレになってしまうので、最後の感想部分でしか触れませんが、童心にはかなり熱いものも……?
◎前作より深みの増したストーリー
正直に言うと前作「闇の書」のストーリーは、一応つけたといただけというような印象を受けてしまうほどに、単純なものでした。
テーマの大きさは感じたものの、ストーリーそのものはかなり簡素で、昨今は複雑な物語があふれていることもあってか非常に物足りなく感じてしまいました……。
それと比べると、今回は最低限のストーリが作られていたように感じます。
それでも「黒の書」と比べれると劣る気はしますが……。
(同時発売の「赤の書」は未プレイ)
デビルやシステム自体に大きな魅力があり、やりこみ要素も多く、ストーリーよりもそちらがメインのゲームだと考えると充分なのかもなと思えるほどには感じられました。
また、詳しくは次の項目で触れますが、今作にはちょっとしたサブストーリーが多数あります。
そこに見えるデビルたちの暮らしが、改めて体験してみて、とても味わい深かったなと思いました。
それぞれはとても短いものなのですが、世界が戦争によって滅亡に向かう中でも、そこに生きる天使やデビルたちひとりひとりに暮らしが、じん生があるんだなということをひしひしと感じられて、私はとても好きです。
――少しょう【⚠ネタバレ⚠】してしまうと、お店で売り買いをしようと話しかけると、営業や挨拶をしてくれるなど店員さんによってセリフが異なっていたのも、細かいところですが面白かったです。
ストーリの本筋よりも、サブストーリーも含めた全体の空気感に、「戦争」や「争い」というテーマ性への深い重みを感じられる内容だったなと感じます。
そう考えると、敷居の低いわかりやすい内容に反して、物語の大きなテーマの一つは、暗に示す形になっているなとも考えられます……。
なんだか面白いですね。
◎ブラッシュアップされた遊び応え
今作は「闇の書」と比べて追加要素が多数あり、ブラッシュアップされた部分も多いように感じられます。
例えば、前作はどのダンジョンも基本 入り組んでいるだけで、仕掛けのようなものはほぼほぼありませんでした。
それに対して今作では、序盤から仕掛けがあるダンジョンが多数登場し、ただ進むだけではなくなったことで遊び応えがアップしたように感じられます。
とはいえ仕掛けの難易度自体は非常に簡単で、小学生でもつまらずに進めるんじゃないかなというレベルのものなので、人によってはこの程度なら逆にわずらわしいだけだからない方がいいと感じるかもしれません……。
また、クリア後のエクストラダンジョンは前作の方が挑み応えがあったように感じられました。
(前作は手元の公式ガイドブックにもマップが乗っておらず、再プレイ時には簡易なマップを自分で作成しながら進みましたが、今作はかなり単純でした。)
また、前作で登場したパワーユニット(簡単にいうと主人公の装備のようなもので、こうしょうの成功率アップやデビルの出現率減少などの効果が得られる)が早くもなくなってしまいましたが……。
今作では、戦闘中に一度だけ使える“カード”というものが増えました。
カードは使い捨てなのですが、味方デビルの強化やこうしょう成功率アップなど、様ざまな効果が得られます。
私は基本、RPGではアイテムを使わないので収集しかしませんでしたが、何種類もあるので戦略の幅が広がって面白いかもしれません。
他にも今作では、“時の間”を経由して世界を移動する世界観を活かした、時間を越えてのサブイベントが多数発生します。
一つ一つはとても短くて些細なものなんですが、そこに生きる天使やデビルたちひとりひとりに暮らしがあるんだなということを感じられて、私とてもは好きです。
過去改変は個人的に好きではないのですが、「“時の間”を経由して世界を移動する」という世界観を活かしているのもとてもいいなと思います。
さらに、“化石合体”や“マソウ合体”は今作でも健在で、ゾンビデビルを含むデビルの種類も格段に増えているので、“デビタス”を完成する道も長く険しくなっていますし。
“カジノ”や“バトルネット”なども若干 遊び応えが増しているほか、ストーリーというほどのものはありませんが、クリア後の冒険もあるので、やりこみ要素が多数あります。
前作よりも格段にプレイし応えが上がっていて、全体的にブラッシュアップされた作品になっているのではないかなと思います。
総評(最初と同じ)
個人的評価「親しみやすい女神転生ライト版・改」
★★★★☆ (4.5)
歴史ある人気ゲーム「女神転生シリーズ」の子供向け版、といった印象。「デビルチルドレン」としては5作目に当たるはず。前作「闇の書」の直接の続編。
ストーリそのものは単純でやや物足りないが、わかりやすく、「闇の書」と比ればかなり厚みが増した印象。また、サブイベントまでやりこむことで深みが増すように感じられる。
“交渉”や“合体”というシリーズ特有のシステムは少し簡略化されており、世界観やデビルもとっつきやすくデフォルメされているので、シリーズ全体の入口としての秀逸さを感じる。
――女神転生シリーズの魅力をしっかりと残しつつも、親しみやすい独自の魅力を放つ作品。勿体ないという評価も拭いきれないが、全体としては「闇の書」と比べてかなりブラッシュアップされたように感じる。
感想(ネタバレ注意)
このゲームは、小学生の頃にもプレイしており、思い出深いゲームです。
前作に引き続き、「レトロフリーク」を手に入れてセーブデータを複数作れるようになったので、休職に乗じてついに再挑戦してみました。
……(データを消してやり直すのが好きではないタイプ)。
あれから数えきれないほどの作品に触れて来たので、思い入れに反して、物足りなさも感じましたが……。
なんだかんだ、思い返せば楽しかったですし、今作の方はかなりプレイし応えがありました。
クリア時はこんな感じでした。
ゲイルは「闇の書」と同じで、小学生の頃は“カイザーヘイロン”になったのですが、今回は普通にプレイして“ジハードヘイロン”になりました。
残り2体の“アナンタ”と“ヴィシュヌ”は、調べてみたらかなり縁のある存在みたいで……。少しびっくりしました。
ちなみに小学生の時は“タケミカヅチ”や“アリアンフロッド”、“ヤロヴィート”とイベントで仲間になったデビルと、化石の“フラウロス”と“トナティウ”というパーティでした。
思い出を語ると――。
前作ではストーリ中で戦ったボスデビル(幹部)が仲間にできなかったのですが、今作ではクリア後に全員仲間になるというのがかなり熱く感じたのをよく覚えています。
正直、ボスデビルは軒並み印象が薄いし、仲間になっても軒並み戦力にはならないんですが……(笑)。
それでも、仲間にならなそうなボスキャラを、クリア後に各地を回って仲間にできるって熱いんですよね……。わかります?
もうちょっとボスに魅力があるストーリーの厚みがあったり、仲間にするイベントがエモーショナルだとなおいいんですが……。それでも当時の私には充分でした!
後はサブイベント。あれはどれもかなり短いものなんですが、断片的にでもけっこう記憶に残っていて……。
「世界が戦争によって滅亡に向かう中でも、そこに生きる天使やデビルたちひとりひとりに暮らしが、じん生があるんだな」ということを意識の上で強く感じ、物語として見た時の深みが増すとかそういうことに思い至ったのは今回の再プレイでなのですが。
そういう何気ない出来事が印象に残っているということが、なんだか素敵なことのように思えますし、こういったゲームと出会う中で、無意識のレベルでそういうものを大切にする精神が育まれていたのかなと感慨深く思ったりします……。
グラフィックを、前回のようにプレイしていて特別いいなと思うことはなかったのですが……。
エンディングを見ていて、改めてこうして見るといいなぁと思いました。
「炎の書」でしか行けない“世捨て人の洞窟”という場所があるのですが、公式パーフェクトガイドで見たその入り口がとても綺麗で……。
あそこは小学生の頃から少し憧れの場所です。
音楽も好きですね!
今も主人公の自宅などで流れているBGM(ミュージック2)を聞きながらこれを書いています。
原宿(街中)のBGMとか、シュゴシンの洞窟で流れていたBGMとかもすごい好きだなぁ……。
それと、最後 唐突にメタ的な感じで、登場人物がプレイヤーに「ありがとう! これからもよろしくね!」みたいな挨拶をしてくれるんですが(笑)。
この後、「デビルチルドレン」シリーズはクイズや簡単なタワーディフインスのような形式の続編は出るものの、今作までのような形式での続編は出ず、そのまま途絶えてしまうので……。
「これからもよろしくね!」みたいな挨拶になんだか切なくなりました……。
最終的にはこんなところで終わりました。
化石合体で仲間になるデビルをコンプリートし(通信交換不要な範囲で)、ストーリーで戦ったボスデビルを全員仲間にして、クリア後に解放される“ディープホール”を制覇して終了です。
本当はその後、カジノのコインを買ってデビルと交換するくらいまでしてから終わろうと思っていて、一時間くらい“ディープホール”でお金を稼いでいたのですが……。
誤ってゲーム機のコンセントを抜いてしまい、終わりにしました(笑)。
ちなみに小学生の頃のデータを見ると、「LV82」で「デビタス267」の「プレイ時間75:34:09」だったので、そうとうやりこんでますね(笑)。……中学に入ってからもやってたのかな?
ただ、“ゲイル”(当時は“がおた”)のレベルは55と3低いですね。クリア後に“アトロポス”と“ルシファー”を加えて旅してました……。
後、「闇の書」ではクリア後に純血合体で普通に仲間になる「ミカエル」が、今作では重要キャラになり姿が変更されていたので、通信交換で連れてこれないか試そうとした記憶があるんですが……。
持ってないんですよね。はじかれて交換できなかったような、家族のアドバンスが壊れてセルフ通信できなくなったような、記憶が曖昧で気になります……。誰かにアドバンス一台借りて、試してみるか……?
前作の伏線?
前作「闇の書」で“アンヌンの町”に、気になることを言っているデビルたちがいました。
前作では、外界とは関りを断っている閉鎖的な田舎町だった“アンヌンの町”。
そんな町で暮らしていた若者のデビル“ネルガル”がいなくなったという話が聞けるんですが、彼はストーリー中には一切 出てきませんでした。
(そもそもアンヌンの町自体、訪れなくてもクリアできる。)
クリア後もその存在には一切 ふれられず(私が見落としていなければ)、仲間にならないボスキャラのデータまで網羅している公式ガイドブックを見ても“ネルガル”というデビルは載っていません。
(ネットで探すと、仲間にならないデビルのデータにも触れているサイトに名前があったので、内部データには存在があり、もしかしたらバトルネットで戦えるのかも? プレイヤーには少なくともいないもようですが……。知ってる方いたら教えて頂きたいです!)
前作ではとにかく謎だらけで正体不明のデビルだった“ネルガル”。
それが、「炎の書」・「氷の書」ではデビタスの終盤446番に新デビルとして登録されています。
まず、今作の“アンヌンの町”は特に閉鎖的な雰囲気はなくなっているのですが……。
(数カ月の間に何かあったのだろうか? そもそも魔界の地理も変わってるけど……。)
クリア後に、こんなことを言うデビルがいます。
これ自体は、封じられていたディープホールの奥に、クリア後に行けるようになったという話でしかないんですが……。
そのディープホールで戦うことになる3体のボスの2番手が“ネルガル”なんですよね……。
田舎町を飛び出したあの話の若者が、この“ネルガル”なのか……?
“ネルガル”という神について調べると、確かに地下の冥界と地上を行き来する伝承はありますが、あまり直接的に結び付けられる伝承は見当たらず。
そもそも前述の通り、“ミカエル”が重要キャラクターになって姿が変わっていたり、前作ではクリア後のディープホールでボスだった“ベリト”・“フェゴール”・“ゼブル”の三兄弟が弱体化(封印の影響?)してキャラも微妙に変わっていたりするので。
パラレルワールド的な位置づけで、関係ないのかもしれませんが……。
なんだか気になります。
最後になりますが、この場をお借りして――。
株式会社アトラス様を始めとする、『真・女神転生 デビルチルドレン 氷の書』制作関係者の皆様。
素敵なゲームを、ありがとうございます。
そして、この記事を読んで下さった方。
ありがとうございます。
不快でしたら、申し訳ございません。
皆様の行く末が、幸せなものでありますように――。