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『MIZZ先生がイラストたっぷりで教える〈便秘〉からの脱出』の著者 MIZZ先生こと”みずかみよしのり”が 渋谷道玄坂百軒店伝説のロック喫茶『ブラックホーク』を語り尽くします

Episode8 『ブラックホーク』の壁にはサム・ハスキンスの写真が飾られていました

 ジャズ喫茶全盛の頃は,どこもかしこも壁面の飾りは著名なジャズミュージシャンのライヴ写真と相場が決まっていました。
 『ブラックホーク』もご多分に漏れず,1966年初めから1968年あたりまでのジャズ喫茶時代には,高名なジャズフォトグラファー中平穂積氏による,コルトレーン,マイルス,モンク,ウェイン・ショーターらの汗飛び散る白熱のライヴ写真が壁いっぱいにどーんと飾られていました。
 ロック喫茶へと変貌を遂げてからは,ビートルズの「レット・イット・ビー」のフォトアルバムをばらして,額に順次収めるようにしていましたが,1972年頃になって,次第にシンガーソングライター系やウェストコート系,そしてブリティッシュトラッドやウッドストック派と言われるミュージシャンが多く聴かれるようになってくると,壁の飾りもその時代に相応しいものへと移り変わっていきます。
 そこには,南アフリカ出身の写真家サム・ハスキンス(1926~2009)の代表作『Cowboy Kate』の諸作品が飾られるようになったのです。
 『Cowboy Kate』は,1964年に発行されたモノクロ写真集なのですが,全世界でなんと100万部を売り上げた大ヒット作で,発表当初から今日に至るまで,多くの写真家やアーティスト,クリエイター,デザイナーたちに影響を与え続けていると言われる写真集です。まさに,当時の文化スタイルを華やかにリードしたスタイリッシュな作品群であり,『ブラックホーク』の店内の雰囲気を否応にも高めてくれたきわめて大切なアイテムでした。

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