多様性を支えるドキュメントの役割と、研究会運営にあたっての抱負

4月。春。新しい仕事が始まる季節!
この4月から、情報処理学会に数ある研究会の一つ「ドキュメントコミュニケーション研究会」の運営に携わらせていただくことになったので、抱負を兼ねてnoteを書きます。

ドキュメントコミュニケーションって何だ?って思う人も多そう。研究会のサイトでは以下のように説明されています。

ドキュメントを単なる情報を記述する媒体や手段ではなく、人間同士がドキュメントによってコミュニケーションを取ってつながっていくという、ドキュメントそのものをダイナミックな「情報」ととらえて研究していきます。

たぶん、大半の人は「わかったようなわからないような?」という感想だと思います。私も正直、同じです(なのに運営する💧)
学会なので研究目的は人それぞれ違う。なので、テーマを広く定義する必要があるのでしょう(たぶん!)。

ドキュメントの重要性は増してくる

今回運営に入らせていただくことにしたのは、運営委員の方に誘っていただいたことがキッカケだけど、今後の社会の多様化に伴ってドキュメントの重要性が増してくるはず、という考えもあります。

異なる言語、異なる文化で育った人が1つのチームで協力することが当たり前になってくる。そのためには、暗黙知を無くし、メンテナブルでアクセシブル(情報の探しやすさや多言語化の意味も含めて)な形で知識や情報を体系立ててまとめていく(=ドキュメンテーション)ことが、組織にとってより大切になっていく。

コロナウィルスをきっかけとしたテレワークの浸透も、組織のあり方を変えるでしょう。WordPressを開発し、全社員がテレワークをしているというAutomattic社創業者のMatt Mullenwegは、テレワークのコツとして「document everything(すべての情報をドキュメント化する)」を挙げています。(TED
ドキュメント化することで、言語もタイムゾーンも異なるチームメンバーが知識と情報を共有して協力できるようになる。

私はライティングを専門にしている人間ですが、情報を体系立ててドキュメント化することは、プロのライターだけでなく、組織で活動するすべての人にとって欠かせない技術になってくるでしょう。

個人的にやりたいこと

研究会で個人的に探求したいことは3つ。
・ドキュメンテーション(テクニカルライティング)教育の体系化
・製品ドキュメント(マニュアル/ヘルプとかリリースノートとか)のあり方
・docs as code

1つめの「体系化」については、前述のとおり。ドキュメンテーションのテクニックを組織全体に浸透させていくためにやるべきことを、関連本や各社のやり方も参考にしながら、まとめていきたいなと考えています。

2つめは、私はシステム開発会社(サイボウズ)にいることもあって、探求したいテーマ。複雑なシステムをどうユーザーに理解して貰うか。いろんなプロダクトでの情報の伝え方を調べたい。

3つめのdocs as codeというのは、馴染みのない言葉だと思いますが、「コードのようにドキュメントを書く」という意味。
シンプルに言えばWordやCMSではなくテキストファイルでドキュメントを書いて、Git(GitHubとか)でバージョン管理して、ドキュメントの自動テストも回していく、というイマドキのソフトウェア開発のようなやり方でドキュメントを制作していくアプローチ。
会社のライティングチームで膨大な製品ドキュメントを制作・多言語化していて、このアプローチで制作速度、管理コスト、ローカライズ(翻訳)コストが劇的に改善していきました。
「コードのように書く」「Git」などと言うと、エンジニア向けという印象を受けるけれど、そうでない人でも半日の講習で実践に入れています。
このdocs as codeについても、ドキュメンテーションテクニックに欠かせない要素に一つになりそう。docs as codeのやり方でドキュメンテーションがどう変わるかについては、また別のnoteに書きます。

さて、研究会の運営にあたっての抱負はここまで。
今後の活動については、Twitterやnoteで紹介していきます。
がんばるぞ。

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