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そして、ヒメはオッサンになった。

スポーツに興味がなかった長女が、ひょんなことから東北楽天ゴールデンイーグルスのファンとして熱烈に応援し始めたという話を先日書いた。

この記事の終盤、私はこんなことを書いている。

そんな長女を温かく見守っていきたい。

しかし、事態はそんなに甘くなかった。

始めはキャッキャ言う感じで応援していたはずだったんだけど、あんまり熱心に観ているせいで少しずつルールも覚えてきたし、推しの涌井#16以外の選手も覚えてきたし、何が好プレーかもわかってきた。

それだけならむしろよかったんだけど、だんだんイーグルスの不甲斐ないプレーや結果にダメ出しするようになってきた。

満塁のチャンスで無得点。

先頭打者が出たのに即併殺。

得点した次の回にあっさり被弾。

アウトを取った際どいプレーに相手監督がリクエスト。

そんなネガティヴ要素が起こるたび、「何やってんだよ!」「うざい!引っ込め!」などとクダを巻くようになってしまった。

場末の居酒屋で、テレビの野球中継を観ながらプレーに一喜百憂する巨人ファン(もしくは阪神ファン)のオッサンの姿ではないか!

しかもシラフで!

元々損ねた機嫌で家庭内を暗黒に陥れるタイプのおヒメ様だったのに、そこに野球オヤジが降臨したせいでますますタチが悪くなってしまった。

そんな折での東北楽天ゴールデンイーグルス。

交流戦も好調キープで最終カードへ!と意気込んだ対阪神タイガース3連戦を3連敗。
そのままリーグ再開最初のカード・対オリックスバッファローズ3連戦も3連敗。
続く対西武ライオンズ2連戦も初戦を落として(今季対獅子初黒星)7連敗…

その間オリックスバッファローズが破竹の連勝街道で首位争いに出てくるは、推しの涌井は不調で登録抹消されるは、もう踏んだり蹴ったり。

我が家は暗黒を通り越して奈落の底に堕ちんとする空気となった。

迎えた6月23日の対西武ライオンズ第10回戦。

楽天は初回に大地#7、浅村#3の連続タイムリーで幸先よく2点を先制するも2回は満塁のチャンスに無得点。
一方で先発田中将大#18が1、2回に1点ずつ失って同点とされると、味方が勝ち越した裏にライオンズ若手の成長株に2連続タイムリーを浴びてあっさり逆転を許す。

そんなタイミングで、野球部終わりの長男が帰宅。

あろうことか、楽天の戦いぶりをグチりながら帰宅。

ヒメはお怒りになった。
ついさっきまでイライラとグチっていたのを棚にお上げになってのたもうた。

「ファンなんだからグチグチ言わずに応援しろ!」

まずい、まずいまずい。

よかった、心の声までは聞こえていない。

相手が鬼舞辻無惨なら消されているところだった。

長男は黙った。

他の家族はとっくに息を潜めている。

6回裏、1点ビハインドのマウンドに上がるマー君に「交代じゃねぇのかよ!」と悪態をおつきになっている。

まずい。まずいまずい。

しかし、静寂に包まれた暗黒の我が家に、救世主が現れた。

7回表、1死1、3塁で打席には岡島豪郎#27。
2球目を振り抜くと打球は右翼手の頭上を越えて逆転の2点タイムリー三塁打に!

さらに8回には1死3塁から浅村#3の犠飛で追加点!

最後は松井裕樹#1が締めて6-4!

8試合ぶりの勝利!

ヒメが笑っておられる!

奈落の底に堕ちていた我が家に、明るい光が隅々まで差し込んだ瞬間だった。

タケロー、マジ、神!

続く福岡ソフトバンクホークス3連戦を3タテでヒメの機嫌は保たれ、我が家は温かい光に包まれている。今のところ。

お願いです、ゴールデンイーグルス。

大型連敗はもう勘弁してください。

そして突き進みましょう、優勝へ!日本一へ!

我がヒメの笑顔のために!

我が家が光で照らされるために!

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