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奪っていない、与えてくれている

今やほとんどの人がスマートフォン(スマホ)を持っている時代。

携帯電話(ガラケー)の普及から数えたら、おそらく多くの人が手の中に電話を持つようになって20年ほど経過している。

そして今、ネイティブスマホ世代(物心ついた頃にはスマホが当たり前の世代)は、スマホ以外の電話から電話がかけられなくなってきたらしい。

思い返せば、我々が小中学生だった30年前、そしてそれより前。
元号が昭和から平成になって少しくらいまで。

電話といえば家の電話(携帯電話が普及する前には「イエデン」なんて言葉もなかった)か公衆電話。

その頃、よくかける電話番号は丸暗記していた。

いつも遊ぶ友達
親の勤務先
学校

語呂合わせなんかも今より切実にやっていた。

家の電話の側には、電話帳と連絡網が必ずあった。

でも、今となっては電話番号を覚える必要がない。

知人の電話番号はスマホの連絡先アプリに登録してある。

そこからかける相手の名前を探してタップすればかかる。

お店の電話には、ホームページの電話番号をタップすればかかる(たまにそうならないとイラっとする)。

それが当たり前の世代からしたら、電話番号を覚えるなんて思いつきもしないのは当然だ。

そんな現状に触れてこう嘆く人がいる。

「スマホの便利に慣れすぎて、電話番号を覚える記憶力が奪われた」

でも、それは違うんじゃないか。

ネイティブスマホ世代の記憶力が、スマホのせいで低下しているかといえば、きっと科学的にそれを証明するデータはない。

電話番号を覚える記憶力が奪われたのではなく、その記憶力を他に使う余力を与えてくれたのだ。

AI(歌手じゃなく)が仕事が奪うというアレも同じだ。

AIは、人間から単純作業という労働を奪っているのではなく、人間を単純作業から解放してくれている。

「単純作業にしか従事できない人が困窮する!」と訴える人は、本当にその人が「単純作業にしか従事できない人」なのか真剣に検証してみるべきだ。

ほとんどのケースが、「単純作業にしか従事できない人」にはめ込んでしまっているだけで、機会の創出があれば誰にだって輝くモノが必ずある。

最先端の技術がなぜ生まれたかといえば、ほとんどが不便と危険の解消だ。

にもかかわらず、最先端の技術によって何かが奪われたと感じるならば、それはノスタルジーに他ならない。

最先端技術によって、今たくさんのモノが与えられている。

単純作業は最先端技術に任せて、一人ひとりが輝ける時代に。

これからの世界では、みんながみんな英雄になれるのだ。

AI(歌手の方)も、そう歌っているではないか。

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