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人間の意識はちょろい

少し前、謎の腹痛に悩まされ病院へ行った。
痛くて立ち上がったり歩いたりするのもしんどかったぐらいだ。
色々と薬を処方してもらい、生まれて初めてCTも撮った。
お腹は痛かったけど、人生初体験に、ちょっとワクワクした。

薬を飲むうちに数日で痛みは治ったものの、念のため胃腸の内視鏡検査をしましょうということになった。口から胃カメラを入れるやつだ。
そこまで医療的な経験をしたことがなかったので、ちょっとワクワクした。

Twitterのフォロワーさんからは「口からの内視鏡は辛い」という事前情報を耳にしていたけれど、医師からは「鎮静剤を使うので楽にできると思いますよ」と説明されていた。ど、どういうことだ。
指示された通り、前日夜早くに夕飯を済ませ、当日は何も食べずに病院へ向かった。
どんな風になるんだろう、とワクワクしていた。

『お腹の中のブクブクを抑える液体』を飲まされ、ベッドに横向きに寝かされ、点滴を打ち始めた。
管を通すためのマウスピースを口にはめた。部屋は薄暗かったので、目を閉じて医師の登場を待った。
看護師さんに「じゃあ鎮静剤入れますね〜」と言われたことは覚えている。
そして意識は途切れた。
途中、何となく口元に違和感を感じ、触ろうとしたら誰かの手に抑えられたことは覚えている。でもそれは現実というより夢をみている時みたいだった。

気付くとカーテンに囲まれた薄暗いベッドで一人寝かされていて、
お酒を飲み過ぎた翌日の、寝起きの時のように体が重かった。
まだ鎮静剤が効いているのだと気付いて、そのまま横になっていた方が良いと思い目を閉じた。
しばらくして看護師さんに声をかけられて、少しずつ意識が戻ってきた。
ほんの少しウトウトしていたつもりが、既に検査が終わっていたらしい。
ベッドから立ち上がると、まだ自分の体に自分の意識がフィットしてない感じがあったけど、時間を置いて少しずつ感覚を取り戻した。

初めての鎮静剤の感想としては
『何これ、こんなに人間の意識ってちょろいのか!そりゃUFOにさらわれて気付いたら謎のチップを埋め込まれてた人もいるわ!』
だった。

私が認識しているこの『意識』は、鎮静剤を打つという些細なことで揺らぐものだったのだ。

その後、診察室で改めて内視鏡検査で撮ったときの私の胃腸の写真を見せてもらった。
自分の体の中の写真だ。
「ここが○○で、ここが○○、上からみたときの○○で・・・」
とか色々説明されたけれど、さっぱり覚えられず、わからなかった。

とにかく私の胃腸の内部は、ピンク色の洞窟のようだった。
こんなのが自分の体の中で全自動で食べ物を消化したり謎の何とかを分泌したり機能してるって凄いなと思った。

意識といい、体の全自動機能といい、
人間、奇妙すぎる。


生きてるってめちゃくちゃ凄いことだ。





(おわり)



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