充電式で、生きていく。双極性障害の暮らし【5】病院に行くまで2
ある時、新店に向かおうと電車を降りると、競馬の騎手のようなの格好をした人がチラシを配っていた。チラシや看板の馬の顔が、とってもかわいかったのだ。私はくぎ付けになった。
すかさず騎手さんが話しかけてきた。
「馬、お好きですか?」
「好きです!(大好き!ほんと好きなんです!!)」から会話が始まり、
「乗馬の体験できますよ~この駅までお迎えの車来ます」
「まじで?馬乗りたい~!!」とすごく盛り上がってしまった。
私は動物が好きだし実家にも猫が3匹いる。だが現在はペット禁止のマンションに住んでいるため、動物に長い間触れていなかった。
ああ、生き物に触れたい。と、思わず体験を申し込んだ。
この辺から「波」がどんどんおかしくなってきてたのかもしれない。
業務が昼からだから、朝イチで馬乗って帰ってくれば仕事に間に合うし!!と体験に参加した。
乗馬クラブは駅からバスで三十分ほどの山中にあった。生の馬を見るだけで感動した。ヘルメットやベストなどウェアを借り、乗らせてもらった。乗り方は当然下手なのだが、ゆっくり歩かせてもらったので大丈夫だった。
馬を降りた後、指導員さんが馬の鼻を触らせてくれた。ふわっふわで温かかった。ずっと触っていたかった。
月額は自分にしては少し出費だった。契約内容は迷ったが、迷ったらやってみようという性格が出てしまい、契約した。
乗馬は楽しかった。しっかりと乗るにはコツが必要だったが、新しいことに取り組めるのが嬉しかった。なにより馬が可愛かった。しかし、夜中まで仕事をして帰り、翌日の朝8:30に勤務先の最寄り駅に来てくれる送迎バスに乗って通うのは大変だった。ヘルメットなどを買ったもののすぐに通うのがきつくなり、予約をキャンセルすることが続いた。ヘルメットや脛のカバーなどは使わないまま押し入れに入っていた。
気分転換は、根本的な解決にはならなかった。
パンク状態の仕事に加え、コロナの流行により顧客対応と業務がさらに増えた。(※2020年の話です)
上司に相談しても仕事と残業は減らなかった。そのまた上の上司にも相談したが、「今やっているすべての仕事の所要時間をリストにして出せ」と言われた。残業しながらリストを作成して出したが、返事はなかった。
しばらくは持ちこたえていたのだが、徐々に身体に影響が出始めた。
直属の上司は自分のやり方に合わないと、会社のやり方には合っていてもダメ出しをしてくる人だった。仕事の判断基準も狂ってきて、「この対応をしたら上司は怒るか」という考えが常に脳裏をよぎるようになった。
手が震え、正常な判断ができず、ミスを繰り返すようになった。
また、文章が読めなくなっていた。1文読んでも、重要なところがわからない。次の文を読んだら、前の文が頭から抜けてしまう。文章がまとまりとしてとらえられなかった。
長文を仕事で読む必要がある私には、致命的な症状だった。
息苦しくて呼吸ができず、眠れない。毎晩のように度数の高いお酒をあおって、無理やり眠っていた。
これで2軒目の病院に行くことを決心した。
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