見出し画像

充電式で、生きていく。双極性障害の暮らし【7】休職中1

 次の日、朝起きた。何していいか、わからない。本当にわからないのだ。
すごい時間あるんじゃん、何でもできる!と思った。一瞬思った。が、それは大きな間違いだった。

 何もできないのだ。本は読めない、音楽を聴く気にもなれない。テレビもうるさくてつけていられない。
 起きているのもつらくて、ベッドに横になった。頭の中はぐるぐる動いている。相変わらず
「あの仕事どうなったんだろう…」
「これ、いつまで続くんだろう?復帰できるのかな?」
など、心配ばかりしていた。

 休職してから、時間はあるのに何もできないので考え事ばかりして、妄想が出てきて困っていた。これはうつ状態の症状なのだが、特に貧困妄想がすごかった。仕事を休んでいては、お金がもらえない。どんどんお金が無くなって、最後には野垂れ死にしてしまうんじゃないかと、毎日のように悩んでいた。

 仕事を休んでいる間は休業補償がもらえたので、働いているほどではないがお金もいただける予定だった。だが、文章が読めない状態なので会社に提出する書類も準備できず、とりあえず放置していた。

 手持ちのお金はどんどん減っていくので、余計に「お金がない!」と思っていた。休んでいる間中悩まされていた妄想の一つだ。
 本当にベッドに転がっていただけの時も多かったが、スマホやタブレットが見られるようになると通販サイトに逃避していた。字をしっかり読めないので、服などのサイトを延々と見ていた。

 貧困妄想と矛盾するが、「今これが絶対に必要だ、無いと生活していけない」と思い込み、通販サイトで色々なものを買いまくったりしていた。多くは服や靴で、引きこもっている自分に必要なものではもちろんなかった。衝動買いも双極の特徴だ。

 休職前あたりから太ってきていたので、サイズに対する不安や醜形恐怖もあった。視野が狭くなっているし、一度「これは○○しないと解決しない」と思い込むとそればかりに囚われていた。

 買って着たものもあれば、着ずに放っておいたものもある。着ないものはしばらくして「お金ない!あれもこれも売って処分しないと!!」とリサイクルショップに持っていったり、ネットオークションに出したりして処分した。とてももったいなかったが、その時は必死だった。

 会社からは月に1回、電話で病状や受けた診断を報告するように言われていた。しかし、電話の相手はパワハラ上司(偉い方)なのだ。
 診断書を提出した翌日から休んでよいと言われたのだが、お休みに入ってから「面談しよう」と言われた。自宅の近くの部署に行くと、3時間も話された。途中からぐったりしていたのだが、上司は気付く様子が無かった。

 そういう相手と、電話であっても直接話すのは辛かった。本当に辛くて、電話で5分話すだけで3日ほど体調を崩していた。どうしても続けることができず、途中からメールを送るようにした。

 何で1ミリも自分のことを理解しようとしてくれない人を相手に、辛い思いをしないといけないのだ。そもそも話すだけで体調がおかしくなるのは自分がおかしいからか(病気だから完全にそうなのだが)。

 ベッドの中でぐるぐる考える日々だった。続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?