現代フェミニズムは“60年間の冗談“によって作られた?
環境要因が男女の性差を形成し、先天的な性差はほとんどない!
これは言わば現代フェミニズム思想の土台をなす考え方です。
しかしやはり先天的な性差というものは、環境要因を差し引いても大きいと言えると思います。
それは様々な異なる文化間にも共通する性差というものが見受けられるからです。
今回はその例として人類学者のマーガレット・ミードのエピソードをご紹介させてもらいます。
ミードはコロンビア大学の大学院で文化決定論(人間の特性は環境要因、つまり育った文化で決まるという考え)の強い支持者であるフランツ・ボアズの指導を受けていました。
そんなボアズはミードら学生に文化決定論を確証づけるような西欧文化と全く異なる行動を示す文化を見つけるという無理難題な課題を出しました。
そして、ミードもその課題のために東サモアに向かいました。
そこでミードはサモアの若い女の子2人に「欧米では男性の方が性に積極的で、男性が女性をデートに誘うことが多く、逆に女性は少し消極的で男性からデートに誘われる事を待つ事が多いけど、サモアではどうなの?」と聞きました。
それに2人の少女、ファアプアとフォフォアは「サモアでは男性は内気で、女性が男性を性的に追い求める事が多い」と答えました。
しかし、これはファアプアとフォフォアの軽い冗談で、「まさかこんな話を信じるわけがないだろう」と思っての発言でした。
しかし、そのまさかが起こりました。
この事を聞いたミードは有頂天になりました。
課題であった文化決定論を確証づける証言を手に入れたからです。
そしてミードはその発見をもとに「サモアの春」を刊行し、この本はたちまち世界的なベストセラーになり、現代フェミニズムの土台となる文化人類学の古典となりました。
しかしこのサモアでのエピソードはあくまで2人の少女の冗談が発端です。
この事が発覚したのは、86歳になったファアプアがサモアの政府当局者に「あの発言は冗談だった」打ち明けた、60年あまりの月日が経った1988年の事でした。
今では大多数の民俗学的な証拠がサモアの若い男女も欧米の若い男女と変わらず、デートに誘うのは男性で、待つのは女性が多い事を証明しています。
確かに、性別が理由で不当な扱いを受けることは今の時代は許されることではないかもしれません。
しかし、男女には大きなサンプル数における平均的な性差があることもまた事実でしょう。
最後に先天的な男女の性差とその形成過程を進化心理学的にまとめた僕の記事をご紹介しておきます。
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