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今日の買物#4 貴重なパンの耳の買物

平日の午前中にしか出会えないパンの耳
最近お気に入りの買物がある。いつも使っている近所のスーパーで売っているパンの耳だ。スーパーのベーカリーでサンドイッチを作るときに余るパンの耳を一袋150円で売っている。パンの耳なんて、別に珍しくもない。モノは珍しくないのだが、このパンの耳との遭遇率が非常に低い。平日の午前中にしか出会えないのだ。

パン好きのお店の人、お客さんを想像してしまう
仕事をしていると平日の午前中にスーパーに行くことはほとんどない。行くとしても夕方だ。その時間は、パンの耳はもう売り場にはない。スーパーのベーカリーでは、サンドイッチは朝一に作っている。午前中からお昼時に売るからだ。パンの耳もその時間にサンドイッチの余りとして出てくる。だからその時間帯に行かないとパンの耳とは出会えないのだ。

パンの耳、4枚セット

以前は、パンの耳は売っていなかった。それがある日突然売るようになった。しかもスーパーはチェーン店なのに、自分がいつも買物している店でしか売っていないのだ。他の店に行っても売っていない。想像するに、そのお店で働いているベーカリー担当の方が、パンの耳をもったいないということで、捨てるなら売ろうと商品にしたのだと思う。パンの耳を通して、その人の気持ちや人柄がなんとなくイメージできてしまう。たぶんパン好きのいい人だ。

パンの耳は、それほど大量に売っていない。売り場に並ぶ正規の商品に並んですみっこに5~6パック置かれるのみだ。しかし、売り場からなくなるのが早いのだ。5~6パック並んでいることもあるが、たいてい2~3パックあるのみだ。あっという間になくなってしまう。きっと自分と同じようにパンの耳を狙っているお客さんがいるに違いない。自分はパンの耳を巡って他のお客さんと争奪戦を繰り広げているかもしれないのだ。そのライバルもパン好きないい人に違いない。

買物を通して、誰かのことを考える
スーパーで買うパンの耳のことを紹介した。ごくあり触れた日常の買物の話である。でもこのように書き綴ってみると思うことがある。自分は買物を通して、誰かのことを考えているのである。誰かとは、パンの耳を作って売ってくれるスーパーのお店の人、そして、私とパンの耳の争奪戦を繰り広げるライバルのお客さんのことだ。その人たちと自分は会ったことがない。もちろん顔もしらない。でもパンの耳のことを気にかけているパン好きな人とイメージしている。さらに、いい人に違いないと想像している。買物という行為は、単にモノとお金を交換するだけのことではないなと改めて思う。買物には、つい作る人、売る人、買う人に思いを馳せてしまう力がありそうだ。

そういえば、以前仕事でアイスクリームの仕事をしたときのことである。スーパーの買物客の観察のあとあるメンバーが、こう言ったのだ。

売り場でアイスクリームを買うときに、誰かを思って買っているように見えた。その人に聞いたわけじゃないけど、私には、そう感じられた。

そのプロジェクトのファシリテーター役だった私は、彼女の観察眼に心の中で満点をつけた。


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