恋なんて、しなきゃよかった。
二十歳の頃、千葉の八千代台に住んだことがあった。
京成線で日暮里から1時間くらい。縁もゆかりもない、まったく知らない街だった。
当時おつきあいした人に「一緒に暮らそう」と言われて借りた家。結局、彼がその家に入ることは、一度もなかった。
その頃、私はプロアスリートとして、朝は飲食店、日中は自分のトレーニング、夜はトレーナーのバイトをして稼ぎ、なんとか生活していた。
ずっと、恋をしている暇なんてなかった。
学生時代からそうだ。おかげで、いまだに恋愛偏差値が低い。
それでもよか