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ゴタゴタの一週間

今週はじめ、ひさしぶりに家族に対して最大警戒レベルの怒りを発動した。

当事者以外には他愛もないことだと承知で書くと、怒りの理由は、一言でいえば「わたしに家事の負担が集中しすぎていることへの不満の爆発」。

とくに、反抗期と中学受験のイライラが重なった11歳の娘の、わたしへの態度が覚悟していた以上にひどく、それを受けてのこちらのイライラも数ヶ月間に渡って降り積もっていて、ちょっとしたことを引き金に「わたし火山」が噴火したのだ。

仕方ないと思っていてもストレスはたまる

最近のわたしの家事ルーティンは、朝起きて(冬の間は6時過ぎ)、まず娘の朝食を用意し、寝起きで超不機嫌な娘に何度も声かけをして食べさせ、娘が塾の宿題ドリルをやっている間に洗濯、ゴミ出し、家の掃除をして、ドリルの添削をして娘を学校に送り出し、ようやくヨガ。その後に朝食、そして仕事にとりかかる。

仕事を夕方で切り上げて夕食の準備、夫とささっと食べたら、19時ごろ車で娘の塾に迎えに行くのが週4回。お迎えから戻ると娘の分の夕食を出し、食べ終わったら宿題を促し、風呂掃除をして、翌日の朝食や夕食の下準備。

夫は昨年からずっと仕事が詰まっているのと義母のケアもあるため、毎朝洗濯物を干してもらう以外は、食事作りや家の掃除片づけ、娘のことは基本的にこちらが一手に引き受けていた。状況から見て仕方ない、と思ってやっていたつもりだったが、やはり女同士の容赦ないぶつかり合いもあって、自覚している以上にわたしのストレスはたまっていたようだ。

そんななか、今週は雑誌の自宅取材が2本あった。

新刊の発売ともタイミングが合うし、どちらもページ数を割いた大きな扱いの取材だったので、いくら家族間がゴタついていようが、きちんと誠意をもって臨みたいと思っていた。

家で取材を受けること自体は慣れており、撮影に耐える状態に家のなかを整えることは、そう難しくはない。
問題は、庭だった。
この数カ月間、寒さを理由に芝の手入れをサボっていたため、雑草が全体にびっしり生えてしまい、かなり見苦しい状態になっていた。
これでは遠くまでわざわざ来ていただく撮影隊の方々に申し訳ないと思い、天気のいい連休を使って雑草取りをすることにした。

1時間ほど1人で雑草取りをしてみて、進んだ範囲から、庭全体にかかるであろう時間を目算してみた。これは……かなり手ごわそう。おまけに花粉が大量に舞っていて、マスクをしながらもくしゃみが止まらず、ずっと涙目で作業をしている有様だった。

そこで、お昼休憩のときに娘と夫に手伝いを頼んでみた。ずっとでなくても、少し手を貸してくれるだけでも、わたし1人でやるよりぐんと作業時間が短縮されるから、ということも伝えながら。

すると、2人とも「やだ」と断ってきた。
「わたし、勉強あるし」。
「僕も仕事が」。
……たった30分の手伝いもできないほど根を詰めているようにも見えなかったが、仕方なくまた1人で作業に取り組んだ。当然その日では終わらず、翌日に持ち越しとなった。しかも朝から夕方までやっても終わるだろうか、というくらいに雑草はまだまだ残っていた。

歪みは自然には戻らない

その日の晩も、夕食が終わると夫と娘は自分の食べた皿を台所へ運びもせずソファへ直行。わたしが皿洗いとキッチンの片づけ(あいにく揚げ物だった)をしている間に、楽しみにしているNHKの大河ドラマが始まってしまった。
やばい、始まっちゃった! と焦って片づけをしているところに、娘の「ママー!『麒麟がくる』始まったよー、ママー!」という無邪気な声がリビングから響いてきて、その瞬間、ブチッ!とわたしはキレたのだ。

「うるさい!! 手伝ってくれないからそっちに行けないんでしょ!!」と。
……まるでギャグのコントのようだけれど、わたしは頭から湯気が出るほど超真剣に怒っていた。

その後はドラマも観ず、お風呂に入ってさっさと寝室に直行し、布団をかぶって寝てしまった。そして翌朝、夫と娘に向かって宣言した。
「わたしはもう、あなたたちのために家事は一切したくない。なぜならあなたたちもわたしを手伝ってくれないから」。

夫には「朝も起きないので、わたしが毎日やっていることを全部やってください」と伝え、「怒ってるから気軽に話しかけるなよバリア」をバリバリに張り、必要最低限のこと以外、2人とは口を聞かないと決めた。

夫と娘は一応謝罪してきたけれど、わたしの怒りが簡単には収まらないとわかると、協力して家事ルーティンをこなしはじめた。
娘もあきらかにビビッており、いつもの舌打ちも文句もわたしにはぶつけてこず(当然だ)、おとなしく宿題や皿洗いをしている。

ワンオペで家事を回していた母親の反乱を受け止める彼らも大変だろうが、この反乱によって、わたしのここ数ヶ月のモヤモヤはいったい何だったのかと馬鹿らしくなるくらい、家事分担の偏りはあっさりと軌道修正された。
「やれば簡単にできるじゃないか」「というか前がおかしかったんだ」ということに、娘はともかく、夫は気づいたはずだ(と願いたい)し、わたしもつくづくそう思った。

悪気なく、仕方なく、知らず知らず歪んでしまうことはどうしてもあり、それは放っておいても自然には戻らない。
キレる前に、言葉でも態度でもヘルプを出していたつもりだったが、反抗期の娘と多忙で余裕のない夫には届かなかった。だから、この展開も必然だったのだ。

反乱から今日で5日。怒りバリアを張り続けるのも、正直いってもうヘトヘトだ。そこへきて、来週から1か月以上の休校措置である。

となると、この火山活動もいつまで続けなければならないのか……
ニュースを見て、天を仰いだのは言うまでもない。

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