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近所の野良猫と私

うちの近所には、よく見かける野良猫がいます。顔と体はほとんど黒い毛で鼻の回りと脚先が白いのがアクセント。半年前くらいから見かけるようになって、当時子猫だったその野良猫も、いまや成猫サイズになっています。

よく見かけるのでその猫を ”クロ” と名付けることにしました。

クロはいつも私を見かけるとすぐ逃げるのではなく、2,3m離れたところからこちらをじっと見て、私が動いたら一定の距離を開けてこちらを見る。の繰り返し。私もクロを見ているけど、クロも私を観察しているようにみえます。

クロには会うたびに「よっ!」と言いながら右手を挙げて挨拶をするのが恒例です。わかっているのかわかっていないのか、いつも一定の距離の先からそれを見届けてクロも走っていきます。

週末、仕事の打ち合わせで久しぶりに電車に乗りました。緊急事態宣言明けだからなのか、座席はほとんど埋まっていて、乗車時間は10分くらいだからと立っていることにしたんです。

乗るまでは普通だったのに、乗っているうちに後2駅というところで急にお腹が痛くなってしまい、なんとか最寄り駅に到着して、冷や汗をかきながら電車を降りました。

最寄り駅のベンチで少し休んで、腹痛が少し和らいだところで、後は帰るだけだ、と帰途につくことを決心。駅から家まで這う這うの体で歩いていたら、あと少しのところで、例の「クロ」が、暗がりからそっとこちらを見ているのに気が付きました。

いつもなら、「よっ!」と右手を挙げて挨拶するのですが、その余裕がなく「またねー」と声を放り投げてその場を去ろうとしたところ、なぜかクロは近づいても逃げません。

じっと道端に座ってこちらを見ていました。

もしかして、心配してくれている?

いつも「よっ」ってしてくるおばさんの異変に気づいたのか、弱ってそうだから逃げなくても大丈夫と思ったのか、クロの気持ちは推し量れませんが、クロとの距離が少し縮まったのではないかと思った出来事でした。

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