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ニューヨークの生活費は高いのか

ニューヨークの生活費は世界でもトップクラスに高いと言われている。よく引き合いに出されるのは同じアメリカのカリフォルニアや香港あたりだが、正確にはどこが一番高いのかよく分からない。調査会社が毎年「世界で最も生活費が高い都市ランキング」なるものを発表しているものの、同じ商品の価格帯で比較するため、実際に生活してみると感覚的に異なることもあるだろう。

断言できるのは、ニューヨークの生活費は東京よりも間違いなく高いということだ。東京よりも高いということは、日本のどこよりも高いということを意味する。例えば家賃。東京の中心部のワンルームは10万円前後だろうが、ニューヨークでその価格の部屋はまずないと言って良い。マンハッタンから外れたクイーンズの果てあたりにはあるのかもしれないが、マンハッタンでは到底不可能だ。東京と同じような条件の部屋に住みたいと願うなら、家賃は2倍必要である。このあたりはまた別の機会に詳しく書きたいと思っている。

次に食料品消費財の価格はどのくらいかと言うと、大体1.5〜2倍だ。しかし注意すべきはサイズも1.5〜2倍だということである。私も渡米した当初は“ニューヨークのスーパーは高いなぁ”と生活費の上昇を予感して暗澹とした気分になったが、冷静に見てみればサイズも高い価格の分やたらと大きいのであった。私は自炊することが多いから、計画的に料理して食材を無駄にしなければそれほど掛からない。アメリカの冷凍庫は大きいので、肉や魚も小分けに冷凍してたくさん保存しておける。消費財もいちいち大きい容器を保管しておくのは少々邪魔だが、使う量が増えるわけではないので、長持ちする。

一方、曲者なのは“日本食スーパー”だ。ニューヨークの特にマンハッタンには至るところに日本食スーパーがあるので、食材を求めてつい足を運んでしまう。アメリカは当然日本ではないため、現地スーパーに売っていないものは山ほどある。例えば米、うどん、納豆、麺つゆ、みりんなんかは日々の献立に欲しいところだが、日本食スーパーに行かないと手に入らない。ところがこの日本食スーパーはすべてが二倍以上の価格なので、日本にいる感覚であれこれカゴに放り込んでいると、あっという間に100ドル以上になる。個人的には日本食が結構好きなため、このインフレはかなり痛い。“この油揚げ日本だったら100円以下だよなー”と思いながら3ドルくらいのを泣く泣く買っている。これはニューヨークに住む日本人共通の悩みじゃないかと思う。

逆に言えば、日本食にさほど興味のない人は、工夫すれば食費は日本と同程度に抑えられるだろう。ちなみに外食はかなり高いので、自炊なんか絶対ヤダという人は間違いなく食費が上がる。

結局、日々の生活において個人の努力でどうにもならないのは家賃だけで、あとは日本と変わらないのではと感じている。水道代電気代も変わらないし、携帯代はこちらのほうが安い。家賃さえ安くなればなぁとため息が出るが、結局そこが一番大きな割合を占めるので、合計ではどうしても高くなってしまい、残念無念である。その分給与水準も高いので、決して悪いことではないのだが。

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