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犯罪通知アプリで見つけたニューヨークの変わった犯罪集

ニューヨークは相変わらず犯罪が多く、治安が悪い。NYPD(ニューヨーク市警察)の統計によれば、殺人や拳銃発砲事件などの暴力犯罪は2020年6月以降に急増し、2020年の殺人事件は前年対比+44.8%拳銃発砲事件は+97%とほぼ倍増している。暴力犯罪が増加している原因としては、コロナのためのロックダウンや失業による精神的不安や怒りが挙げられている。日本もコロナで大変な状況とは言え、暴力犯罪が増えたというニュースは聞かないので、安全大国の面目躍如ということで素晴らしい。

そんな「道を歩けば犯罪に当たる」とまでは言わないが、暮らす上でそれなりの緊張を強いられるニューヨークにおいて心強い便利なアプリがある。それが「Citizen」だ。Citizenとは「市民」という意味で、このアプリを入れておくと911(日本でいう110番)や救急隊の活動を元に、発生した犯罪や非常事態の発生場所・日時・状況をリアルタイムでお知らせしてくれる。事件・事故現場にいるユーザーはその場で録画して配信することもできる。アメリカのアプリだが対象地域は限定されており、ニューヨーク、サンフランシス・コベイエリア、ロサンゼルスなど現在20都市が対象となっている。

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Citizenのアイコン。iOSでもAndroidでも使える。

ニューヨークでは犯罪件数が多いため、「道で人が撃たれました」程度では大きなニュースにはならない。日本なら連日ワイドショーのトップニュースになるだろうが、こちらでは新聞を読んでいるだけではこの手の事件が発生したことすら知らずに終わるのだ。日本人感覚からするととんでもないヤバい国だが、報道してくれないなら自分で情報を掴むしかないので、個人的にはこのアプリは必須だと思っている。対象地域に住んでいる日本人はぜひインストールすることをオススメする。

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Citizenのホーム画面。地図上に表示されているアイコンは、すべてこの日に起きた事件や事故を表している。どれだけ多いんだという感じ。

さて、このCitizenだが犯罪のレベルによって通知音が変わる。「ナイフを持った男が出没した」くらいだとタタタッという軽い通知音が鳴り、「通行人が銃で撃たれた」というような被害者がいる重大な犯罪だとドーン!といういかにも大変なことが発生しましたという雰囲気の重々しい通知音が鳴る。私の住むロングアイランドシティは比較的治安が良い地域だが、それでも前者の軽い通知音が日に3回程、後者の重い通知音は数日に1回は耳にする。

通知された犯罪の情報は随時更新され、通報内容から始まり、警察の捜査、そして犯人が逮捕されればそれも更新される。自宅付近や、出掛ける際は目的地の近くの状況を必ずアプリで確認して行動するようにしている。

きっかけは忘れたが私は元々このアプリの存在を知っており、2020年9月にニューヨークに引っ越してきた初日にインストールした。すると初っ端から「セントラルパークの池で遺体発見」というエクストリームな通知が飛び込んできたので、「あぁニューヨークに戻ってきたんだなぁ」としみじみ実感していた。日本で言えば新宿御苑の池で遺体発見みたいなものである。それが大ニュースでも何でもない日常的な出来事なので、まったく物騒な国だ。

毎日毎日Citizenの通知音が鳴りまくっているので、通知された犯罪の中から少し変わったものも含めいくつかご紹介したい。

■ People Fighting(人が喧嘩してる)
こんなのは序の口。ニューヨークの人はしょっちゅう喧嘩している。しかし911に通報されているところを見ると、ちょっと揉めてる程度ではなく、蹴ったり殴ったりしているのかもしれない。

人々が喧嘩

■ Man chasing people with stick(男が棒を持って人々を追いかけ回してる)
朝っぱらから公園で発生。朝からこんな男めんどくさすぎる。

棒で追いかける

■ Vehicle Burning(車が燃えてる)
この時は撮影しているユーザーいたため、車が燃え尽きる様子が長時間レポートされていた。怪我人はいなかった模様。

車燃える

■ Scaffolding fire(足場が燃えてる)
燃えてるシリーズ。この時も誰かがずっと配信していた。かなり燃えてるのにド無視して真横を通る通行人がいたりして、消防士が慌てて立入禁止テープを張っていた。

工事現場燃える

■ Two men walking on tracks(男性2名が線路に立ち入り)
男が倒れているように見えるが、怪我をしているわけではない。酔って線路に侵入して寝転んだというただの馬鹿者たちである。Citizenにはコメント機能があるのだが、この時は皆怒り心頭で「この馬鹿のせいで電車が止まったから俺はディナーに遅れる!くたばれ」みたいなコメントが飛び交っていた。

線路歩く

■ Cat bit man multiple times(猫が男性を複数回噛んだ)
なぜ噛まれたのか不明だったが、珍しい事故。コメント欄に「Cat lives matter!」と書き込んでいる人が多かったが、噛まれた男性はお気の毒である。

猫が噛む

■ Firefighters rescued cat perched atop tall fence(消防士がフェンスから降りられなくなった猫を救出)
事件でも事故でもないが通知されていた微笑ましいニュース。前日からずっと降りられなくなっていたため通報されたとある。

猫降りられない2

■ Citizenの紹介動画
英語が分からない人も、何となく機能のイメージが掴めると思います。


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