シェア
読書に集中していたのは認める。降りるつもりの駅を過ぎていたことは、1度や2度じゃない。 …
無限に現れる鏡像の中に、未来の自分とか過去の自分、もしくは自分以外の何かの姿を探しなが…
「せっかくの本社出張なのに日帰りですか。ゆっくり話ができると思ったのに」 そう言ってく…
タブレットを持って近所の喫茶店に行き、店主こだわりのブレンドコーヒーを飲みながらイラス…
タイガは黙って続きを待った。ヒイロを見る目に力が入っているのは、光が薄らいできたからだ…
「本の香りに包まれて」サイドストーリー この世界に生きているのは、たった今ここに現れた…
何かがぶつかってきた衝撃があった。それから、熱を感じた。 すぅっと体から力が抜けていって、倒れるって思った。 ヨミの黒い唇がニィっと歪んだのが見えた。 ああ、終わっちゃうんだ。 そう思ったら、ヨミが見えなくなった。 そして、あたしは誰かに受け止められた。 突然に目の前に現れた黒づくめの女が 「刺激に満ちた世界へ、お連れしましょう」 って言うから、あたしはその手を取った。 とたんに、見える景色がぐにゃっと歪んだ。歪みが消えたら、あたしは黒づくめの女と手入れさ
前編はこちら 乾いた破裂音がした後、カツヒコの言葉にならない叫び声が聞こえた。 怒りを…
バイト先から駅までは歩道橋を渡るのが近道だけれど、高い所が怖いボクは、歩道橋を歩くのも…
紙の本の匂いは、なんと心地よいのだろう。 生まれて初めて、こんなにたくさんの紙の本に…
女に手を引かれて歩きながら、俺は早く帰りたいと思ってしまう。 帰りたい場所は、この女…
寝床屋の管理人になると、仲間の気配に敏感になるのだろうか。 じっと眠っていた仲間が目…
どこへ行けばいいのかわからないまま、夜の中を、前を向いて走っている。 「どうしよう、死…
<前編はこちら> カナコは、元いた場所へ戻れず、初めの場所で同じ状況で歌うこともできないでいた。 人が少ないからと、準備を始めると、どこからか人が集まってしまうのだ。 集まりすぎる前に数曲歌って去る。その繰り返しになっていた。 人通りのない夜中にただその場に立つということも、カナコは何回か試した。けれども毎回、夜明けに帰ってきては、夕方まで部屋にこもってしまう。 カナコが笑わなくなったことを、俺もミノルたちも気にしていた。 気分転換になればと、ライブハウスで働い