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カフェ・ナポリ(Caffè Napoli):ミラノで急成長するフランチャイズ・バール

ミラノ市内の至る所で見かけるカフェ・ナポリ(Caffè Napoli)

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2020年6月現在、カフェ・ナポリは、ブレラ地区やトゥラーティ駅、レプブリカ駅、ポルタ・ヌオォーヴァなど、ミラノの主要地区に18店舗と、イギリス・ロンドンに1店舗を展開している。

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緑がかった青と赤の内装がお洒落で特徴的である。

「ナポリ」と店名にあるくらいだからナポリ発祥なのかなと思いきや、大半の店舗は、ミラノ市内に集中している。

ここ1-2年、ミラノの街を歩いていると、「こんなところにカフェ・ナポリが」と思うことが多かったので、今回のnoteではそのルーツについて書いていきたい。

(2020年6月現在、カフェ・ナポリはテイクアウトのみの営業になっており、店内の写真は2020年2月以前に撮影したものである)

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カフェ・ナポリは、フランチェスコ・フィアンドラ(Francesco Fiandra)と兄弟であるマウロとファビオ・コンパニョーニ( Mauro e Fabio Compagnoni)という3人の企業家によって誕生した。

彼らは、すでにナポリ近郊の町ポッツォーリにて有名なカフェテリアを経営していたジュゼッペ・グリエーコ(Giuseppe Grieco)とリーノ・テッラチャーノ( Lino Terraciano)の協力を得て、カフェ・ナポリの母体となるExytusという企業を設立した。

それは、2015年のミラノ万博に向けて、ミラノが街総出で準備をしていた頃のことである。

このミラノ万博では、食というテーマが、大きく取り上げられ、各企業がこぞって力を入れていた。

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イタリアの食の魅力に取り憑かれた3人の起業家たちも、イベントを盛り上げるために自社のコーヒーに力を入れた。

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それでは、コーヒーというイタリアの食文化の定番中の定番とも言えるものを選んだ彼らが、なぜ、万博後も継続してミラノで成功を収めることができたのであろうか。

彼らは、広さ約8平方メートルの敷地内で、毎日変わらぬ品質でナポリ式のコーヒーを提供するバールを考案した。

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このバールのスタイルは、どこでも複製することが可能であることと、数が増え拡大しても運営可能であること(スケーラビリティ;拡張可能性)という理念に基づいている。

つまり、フランチャイズ形式で、希望する人にカフェ・ナポリのブランドを貸し、経営を拡大していくことを想定して作られたバールなのであった。

他のイタリアの都市と同じく、街の生活に根付いた伝統的なバールが、ごまんとあるミラノ。

結果的に、ビジネスの街ミラノは、この複製可能なカフェを受け入れた。

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2015年以降、カフェ・ナポリは、ロンバルディア州の首都を席巻し、ラルゴ・ラ・フォッパ(Largo La Foppa)に一号店を出したカフェ・ナポリが、2020年現在、19店舗にも拡大した。

ロンドン店を除く店舗の所在地を見て見てみると、中央駅、レプブリカ、トゥラーティ、ブレラなど、ミラノの主要な駅の近くには大体ある。

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いわば、コーヒーに特化したコンビニエンスストアのようなものである。

ミラノ市内には、プリンチ(Princi)やイリー(illy)など、他にもチェーンのバール・カフェテリアはある。

ところがカフェ・ナポリの特徴は、シンプルなメニューを小さなスペースで提供するというものであり、それは簡単に店舗を展開できる秘密なのかもしれない。

カフェ・ナポリが使うのは、アラビカ80%、ロブスタ20%からなるクレモーソ(Cremoso)というブレンドコーヒーである。

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カフェ・ナポリのメニューは以下のとおり。

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・エスプレッソ(Espresso): 1.2ユーロ

・カフェ・ヌテラ(Caffè Nutella): 3ユーロ(ヌテラ、ヘーゼルナッツ、カカオ;とても甘い)

・カフェ・ポジッリポ(Caffè Posillipo): 3ユーロ(ラテクリーム、ヘーゼルナッツ、カカオ)

・カフェ・スパッカナポリ(Caffè Spaccanapoli): 3ユーロ(ジャンドゥーヤ、バニラ、シナモン、ブラウニー)

・カフェ・キアイア(Caffè Chiaia):3ユーロ(ジャンドゥーヤ、ブラウニー、カカオ)

・カフェ・マロッキーノ(Caffè Marocchino): 1.5ユーロ(チョコレート、ラテ、カカオ)

・カフェ・ノッチョーラ(Caffè Nocciola):3ユーロ(ノッチョーラ、カカオ)

・カフェ・クレーマ・ディ・ラテ(Caffè Crema di Late):3ユーロ (ラテクリーム、カカオ)

・カフェ・パンナ(Caffè Panna):2ユーロ(生クリーム、カカオor シナモン)

・カフェ・マレキアーロ(Caffè Marechiaro):3ユーロ(ヌテラ、ココナッツ、カカオ)

・カフェ・メルゲッリーナ(Caffè Mercellina):3ユーロ(ヌテラ、ラテクリーム、ヘーゼルナッツ、カカオ)

・カフェ・ブラジリアーノ(Caffè Brajiliano):3.5ユーロ(ラテクリーム、カルーア、カカオ)

・カプチーノ・ネーロ(Cappucino Nero):3ユーロ(ジャンドゥーヤ、ラテ、カカオ、ブラウニー)

・チョコラータ・コン・パンナ(Cioccolata con Panna):3ユーロ

・チョコラータ・カルダ(Cioccolata calda):2.5ユーロ

ここまでが、ホットメニューであるが、冷たいものとしては、定番のカフェ・シェケラート(Caffè Shakerato)や、ジェラートとカフェオレの中間のようなクレミーノ(cremino)などがある。

さらにアルコールを入りのカフェメニューもあり、こんなものを昼間から気軽に飲めるとなっては、お酒を嗜む方にとって、背徳感溢れる魅惑的なシチュエーションに違いない。

※他メニューはHP上に記載あり→

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またこちらは、2020年5月末に撮った写真であるが、この時は、店内のカウンターは使用不可で持ち帰りコーヒーのみ販売していた。

店の前には椅子が置かれ、お客さんが外に入れないようになっていたが、それでもコーヒーを求める人が常に数人列をなしていた。

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さらに、このサービスは、店内で飲食できるようになってからしか使えないが、充電スポットとフリーWi-Fi、新聞も店内に常備されている。

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2020年3月以前は、店内で新聞を読みふける男性のお客さんをよく目にしたものである。

チェーン店のカフェなんてイタリア人が一番嫌いそうなものであるが、意外にも、カフェ・ナポリの客層は、地元の男性やビジネスマンが多いように感じる。

さらにコーヒーチケットが販売されいる上に、店内の音楽もよく、店員さんのサバサバとした感じもとても良い。

日本なら青と白のローソン、黄緑と青と白のファミリーマートというように、フランチャイズ式のお店は、その色から私たちの生活に馴染んでいる。

カフェナポリのブルーがかかった緑と深い赤や、また南イタリアの建築を思わせるような床やコーヒーグッズの模様は、随分凝っているが、美味しいコーヒーが飲める空間として、最高の演出がなされているような気がしてならないのである。

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カフェ・ナポリ(Caffè Napoli)

公式ホームページ:caffenapoli.com

公式HPに各店舗の住所あり→

公式インスタグラム:@caffenapoliexytus


(文責・写真:増永菜生 @nao_masunaga

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