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グッチ・ビューティー(Gucci Beauty):2021年秋、ついに日本上陸、ミラノの店舗から商品紹介

1. 世界が待ち望んだアレッサンドロ・ミケーレのリップスティック


2019年5月、グッチ(GUCCI)のクリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)監修のリップスティックが発表された。

以降、このアレッサンドロ・ミケーレ監修のコスメラインであるグッチ・ビューティーは、様々な商品を展開してきたが、2021年9月、遂に日本に上陸した。

今回のnoteでは、ミラノの店舗のディスプレイの写真とともにグッチ・ビューティーのコンセプトを紹介したい。

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グッチのコスメティックは、2014年、前クリエイティブ・ディレクターのフリーダ・ジャンニーニ(Frida Giannini)とメーキャップアーティストのパット・マクグラス(Pat McGrath)によって販売開始。

2018年9月にGUCCI Beautyのインスタグラムアカウント(@guccibeauty)が公開されると、2015年にクリエイティブ・ディレクターに就任したアレッサンドロ・ミケーレによるコスメの発売が噂されてきた。

2019年5月、GUCCI Beautyよりリップスティックが発売されると、ミケーレによるコスメティックが本格的に展開していき、これまでにもファンデーション、マスカラ、マニキュアなどが発売されてきた。

因みに2019年5月にリップスティックが発売された時には、ニューヨークのダブルズ・クラブ(Doubles Club)にて、華やかなパーティーが行われた。

新しいGUCCIのグローバルメイクアップアーティストであるトーマス・デ・クレイヴァ(Thomas de Kluyver)やイギリスのミュージシャンのフローレンス・ウェルチ(Florence Leontine Mary Welch)、アメリカの俳優ジャレッド・レト(Jared Leto)、女優のハリ・ネフ(Hari Nef)らも参加したこのパーティーには、80年代の音楽が流れ、大盛況のうちに終わった。

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このように世界中から熱い視線を送られ続けてきたGUCCI Beautyは、2021年9月に満を期して、日本に上陸することとなったのである。



1-1. リップスティック

リップスティックは、マットな色付きな「ルージュ・ア・レーヴ・サテン」(Rouge à Lèvres Satin)36色、軽やかでシャイニーな仕上がりの「同ヴォワール」(Rouge à Lèvres Voile)18色(「サテン」と同じ色の中から18色)、そしてリップバーム「バーム・ア・レーヴ」(Baume à Lèvres)4色、と3タイプ全58色を展開。

アールデコ調のゴールドのケースがサテン、花柄のケースがヴォワール、水色のものがバームとなっており、スミレの香りがつけられているという。


「ルージュ・ア・レーヴ・サテン」(Rouge à Lèvres Satin)36色。

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「ルージュ・ア・レーヴ・ヴォワール」(Rouge à Lèvres Voile)18色。

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「バーム・ア・レーヴ」(Baume à Lèvres)4色。

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そしてこちらは、2020年に新発売されたメタリック9色(右側の星柄のリップケース)。

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同じく新発売されたグリッター2色。

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この2色は期間限定販売である。


リップスティックのカラーは、ハリウッド黄金期である1930年代前後の映画のタイトルをモチーフにしたものもあり、とてもユニークなのでここでその一部を紹介する。


まず「401 スリー・ワイズ・ガールズ」(Three Wise girals)、「403 ラブ・ビフォー・ブレックファスト」(Love before breakfast)、「405 グランド・ホテル」(Grand Hotel)、

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そして「2 紅蘭」(No More Orchids)、「600. ザ・ファーレン・スパロー」(The Fallen Sparrow)、「602. 妻と女秘書」(Wife vs. Secretary)、

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「200. ブレイズ・オブ・ヌーン」(Blaze of Noon)、「201. 彩られし女性」(The Painted Vail)、「205. 春の火遊び」(Hold your man)、

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「107. ロイヤル・スキャンダル」(Royal Scandal)、「108. シマロン」(Cimarron)など。

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また、ミケーレにとってのラッキナンバーである25をつけた「25 ゴールディーレッド」(Goldie Red)は、鮮やかな赤であり、広告でダニ・ミラーがつけている色である。

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2021年9月現在価格は、40ユーロ。

2019年の発売開始当時38ユーロだったのだが、わずかに値上げしたようである。

バッグなどGUCCIの商品が高価格であるのに対し、コスメラインのグッチ・ビューティーは買い求めやすい価格に設定したというわけである。



1-2. マスカラ、マニキュア、フェイスパウダーなど

そのほか、グッチ・ビューティーは、リップスティックを発表後、次々と新商品を発売して行っている。

2020年3月にはマスカラ、2020年7月にはマニキュアやフェイスパウダーも販売開始された。

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さらに2021年には世界中の人々が使うことができるであろう全40種類のリキットファンデーションも発売された。



おまけ:

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こちらは筆者がミラノで購入したリップスティック。

以来、新商品が出るたびに店舗に観に行きたくてそわそわしてしまう。

2019年、グッチ・ビューティーが始動した当初、ミラノの店員さんは次のように言っていた:

「いつもニューヨーク、ミラノ、そしてパリから。

その後少しずつ、色々な店で扱うようになるわよ。

アイメイク商品やフェイスパウダーもどんどん出るから楽しみにしていて」

店員さんの言う通り、2年経った今、アイメイクからベースメイクまで様々なアイテムが増えていったグッチ・ビューティー。

今後も新商品の展開が楽しみである。


2. リップスティック誕生ストーリー:少年ミケーレの思い出


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リップスティック誕生の経緯についてミケーレは、次のように語っている:

「僕は両親と車の中にいた。

後部座席から、運転席に座るパパの長い髪の毛とママの横顔が見えた。

多分僕は8歳から10歳くらいの時だったと思う。

ママは、エレガントな女性だったから、カバンも持たずにヒールも履かずに家を出るなんて、いつもだったら考えられないことだった。

僕たちが信号で止まった時、ママは叫んだ。

「ルージュを忘れたわ!」

パパは何も言わずに右腕を伸ばして、サンバイザーミラーを下げた。

目にも留まらぬ素早い仕草で口紅をつけたママは、錬金術士のようであった。

なぜ僕がリップスティックのコレクションを作ったかって?

それはママを覚えていたから。

ママはこう言った。

「ルージュがなかったら、私は、鏡にすら映らない。

マニキュアがなかったら、私はゴミ出しにすら行けない。」

ミケーレの中にはこのエレガントな母が生き続けており、今回のリップスティックが生まれる上で、少年時代の記憶が大いに彼のインスピレーションを掻き立てたのであった。

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名女優のドレッサーといった雰囲気のミラノのグッチ・ビューティーのブース、ちょっとメルヘンでありながらもノーブルな白を基調とした陳列棚である。


3. 「不完全な美」(Il bello delle imperfezioni)

「ほんのり薄紅色に色づく陶器のような肌、桃色のくちびるよ、さらば。」



2019年春にリップスティックのキャンペーンモデルを務めたのは、ミケーレに愛されるアイコン、パンクバンドSurfbortの歌手ダニ・ミラー(Dani Miller)である。

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彼女の歯は、2本かけているがフォトショップの魔法を使うことを拒んだ。

グッチ・ビューティーの美学は、「真の美」。

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(公式サイトより他のキャンペーンモデルたち)

ミケーレは続けて言った:

「美とは、不完全なものであるが、欠点を変えることもできる。

我々は皆、不完全なのであり、皆、美しい。

それぞれの肌の色を持っている。

今日、モードの世界は変わっているが、メイクアップの世界ははるかに遅れている。

皆同じようにするというよくない傾向がある。

ごまかしのないメイク。

偽造のないメイク。」


技術の発展やSNSの普及により、人々は皆、画面の中での理想の姿に近づこうともがいている。

白い肌、潤いある髪、大きな目、すっと通った鼻筋、ぽってりした唇、引き締まった身体。

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(Gucci Beauty の公式インスタグラムアカウントより)

「美は真なり」(Verità è bellezza)とミケーレにとってそんなものは大事ではない。

グッチのコスメを使う全ての人が、自分の特徴に合わせて、アイテムを選択し使い、その魅力を引き立たせる、これこそが彼の願いである。


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グッチ・ビューティー公式サイト:gucci.com

グッチ・ビューティー公式インスタグラム:@guccibeauty


参考:

"I nuovi rossetti Gucci riscrivono i codici della bellezza contemporanea e del makeup, e li amiamo per questo", in Elle (2019年5月8日付記事)

"Alessandro Michele: «Essere tutti uguali è mistificazione». La filosofia del nuovo make up", in: Corriere della Sera (2019年5月11日付記事)

 ・「「グッチ」がミケーレ初監修のリップスティックを発売 日本でも一部店舗で展開予定」『WWD JAPAN』(2019年5月8日付記事)

「「グッチ」のメーキャップラインがミケーレにより刷新、新作リップは日本でも発売へ」『FashionSnap.com』(2019年5月8日付記事)


ミラノの主なグッチの店舗

・モンテナポレオーネ店:

Via Monte Napoleone, 5, 20121, Milano/ 10:00-19:30(全日)


・ガレリア店:

Galleria Vittorio Emanuele II, 20121, Milano/ 10:00-19:30(全日)


・リナシェンテ店:

Piazza del Duomo, 20121, Milano/ 9:30-21:00(全日)


(文責・写真:増永菜生 @nao_masunaga


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