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ア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユ(à la Mère de famille):パリにて250年以上続く老舗チョコレート屋さん

世界中にファンを持つショコラティエが集結するパリ。

そんなチョコレートショップ激戦区パリで250年以上営業を続けるのが、今回紹介するア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユ(à la Mère de famille)である。

今回のnoteでは、そのこだわりと歴史、お店の様子を紹介していきたい。

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1. 250年以上続くこだわり

シャンブレ=レ=トゥール(Chambray-lès-Tours)、それは、フランス中部のアンドル=エ=ロワール県 に位置するア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユ(à la Mère de famille)の生産拠点である。

そこでは、原料カカオの選定から商品の加工まで、外部に委託することなく全ての工程が行われている。

またア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユは、60を超える伝統的なチョコレートのレシピを守り続けており、その中には、プラリネ・ロシェ、フォリー・ド・レキュレイユ、スプレッドやフロランタン、パレ・モンマルトルなどが挙げられる。

特にマロングラッセは、甘さを抑えた栗本来の風味が特徴的であり、メゾンを代表する一品となっている。

マロングラッセの他にも、フルーツケーキ、ピンクプラリネ、フォリ・ドゥ・レキュルイユ、レモンケーキ、マカロンなどが毎日店頭に並ぶ。

次の章ではそんな魅力的なパリの菓子店の歴史を紐解いていくこととしよう。


2. ア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユ(à la Mère de famille)の歴史

2-1. 18世紀、始まりは農家のように小さなお店から

1760年、故郷クロミエ(Coulommiers)からパリにやって来た若者ピエール・ジャン=ベルナール(Pierre Jean-Bernard)は、パリのモンマルトル通りにて食料品店を開いた。

街の人からの人気を得た店は、1790年代の革命期の混乱も経て次の世代へと受け継がれていくこととなり、ア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユはデリカテッセンとして、さらに発展していった。


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2-2. デリカテッセンから菓子専門店へ

19世紀に入ると、著名な美食家グリモ・ドゥ・ラ・レニエール (Alexandre Balthazar Laurent Grimod de La Reynière)が、この店を取り上げるなど、パリに住む人の注目を集めるようになったア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユ。

初代ピエール・ジャン=ベルナールの孫にあたるフェルディナン・ブリドー(Ferdinand Bridault)の代になると、店は惣菜よりもお菓子を集中して開発するようになる。

その背景には甜菜糖の普及により、様々なお菓子の生産が可能になったからである。

さらに19世紀末の1895年、ジョルジュ・ルクール(Georges Lecœur)の手に店の経営が移ると、彼は店の外装を整えるとともに、広告を作り、店に電話も設置した。

このベル・エポックの時代にマッチしたジョルジュの戦略は、店をさらに成長させることになり、1906年には、パリで開催された国際料理博覧会(l’Exposition Culinaire Internationale de Paris)にて店の商品が表彰されたのであった。

その後もジョルジュ・ルクールは、弟子のレジ・ドゥル(Régis Dreux)とともに店を切り盛りしていたが、第一次世界大戦が勃発すると、レジは戦線に送られてしまう。

幸い塹壕で生き延びたレジは、パリに戻ると、イースターには動物のチョコレート、クリスマスにはドライフルーツや砂糖漬け、夏にはフランス全土のお菓子と、数々の甘いお菓子を作り続けたのであった。

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2-3. 20世紀、パリの歴史を見つめた名店に

お店のお菓子作りに貢献したレジ・ドゥルが1931年に亡くなると、経営は彼の娘夫婦の手に渡った。

この夫婦は、親類にあたる12歳の孤児スザンヌ(Suzanne)を引き取っていた。

この小さな少女スザンヌは、後に見習いとして働いていたアルベール・ブルトンノー(Albert Brethonneau)と結婚し、1985年に引退するまで、店を切り盛りした。

第二次世界大戦後も、19世紀より変わらぬ伝統的なレシピを受け継ぐお店は、街の人々から愛され、スザンヌの引退後は、ショコラティエのセルジュ・ヌヴー(Serge Neuve)がこの店を継いだ。

もとよりア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユの大ファンであったヌヴーは、彼の4人の子供たち、ソフィー、ジェーン、ジョナサン、スティーブとともに、数多くのお菓子を作っていったのであった。

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3. クラシカルで心ときめくディスプレイ

それでは店内の一部の商品の紹介とともに、そのクラシカルな雰囲気を味わっていただこう。

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こちらはキャラメルとスプレッドたち。

キャラメルは好きなものを袋に詰めて買うことができる。

パンなどに使うことができるスプレッドも注目だが、こちらは液体物扱いになるので飛行機に乗る方はうっかり手荷物に入れて没収されないように注意である。

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ジュエリーのように並ぶチョコレートたち。

上にはフルーツのチョコレートかけ、下にはプラリネが並んでいる。

お土産として箱詰めで購入したり、また自分用に一粒から購入したりすることができるのも嬉しいポイント。

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ア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユは、ハイチ、マダガスカル、ベネズエラ、エクアドル、ペルーなどで作られた様々なカカオ豆を使ってチョコレートを作っているほか、生産地の人々とも関係も大切に、常に直接コンタクトを取ることで、良い原料作りに取り組んでいるとのことである。

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砂糖漬けのフルーツやフリュイなど。

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また他社の小さなお菓子も並んでおり、特にキャンディやタブレットが入った缶の容器は素敵なデザインである。

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パリに来たからには、パリの人に愛されるとっておきのお菓子を、と思う人には是非訪れて欲しい、パリの歴史を感じることができる名店であった。



ア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユ(à la Mère de famille)一号店

住所:35 Rue du Faubourg Montmartre, 75009 Paris, France

営業時間:9:30-20:00(月曜から土曜)、10:00-19:30(日曜)

※他パリ市内にいくつか店舗あり。

公式ホームページ:lameredefamille.com

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