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Nao
2022年8月20日 13:57
電車には、まばらに人がいる。私はなるべく端っこにいる。そんな人間だ。同じ車両、対極に、あの人がいた。あの人は、窓の外をぼーっと見ている。あの人はこちらには気付きそうもない。声をかけようか、しかしそんな勇気は無い。そんな人間だ。冴えない顔の、面皰を一つ引っ掻いて血が滲んでいる、そんな私は一方的に眺める以外方法は無い。同じ世界の、しかも同じ時間同じ車両にいるはずの、私達は全く別の世界にいる。私に