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創作集-空想

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2022年1月の記事一覧

十六才

死は、ゆっくりと空へと昇っていくものだとばかり思っていた。
しかし、実際は、ボロボロの柵から黒々しいアスファルトへと吸い込まれていくのみである。
それ以上の世界はどこにも無い。
そんな些細な事実に気が付くには遅すぎた、春の特別暖かい日だった。

ネコ

ぐるぐると回る洗濯機に、

猫、

のぬいぐるみを入れる。

これはあたしが小さい頃から大事にしている代物で、

もうボロボロだ。

白い、

いや、

白かった、

猫、

のぬいぐるみ。

時々洗うけど、でもあまり変わらない。

外に干す。

気持ちのいい快晴だった。

それからウトウトと昼寝をして、していたら、どれくらいの時間が経ったのだろう。

目覚めて、時計を確認すると、意外にも30分も

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