十六才

死は、ゆっくりと空へと昇っていくものだとばかり思っていた。
しかし、実際は、ボロボロの柵から黒々しいアスファルトへと吸い込まれていくのみである。
それ以上の世界はどこにも無い。
そんな些細な事実に気が付くには遅すぎた、春の特別暖かい日だった。

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