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何をやっても誰かの真似になる

1冊の本を何度も読むのが好きだ。
お気に入りの作品であれば、小説であれエッセイであれ、ふと、
「また読みたいな。」
と思い、ページを捲ることがよくある。

以前なら何度読んでも色褪せないお気に入りの作品に触れる時間をただ楽しんでいたのだけれど、最近は少し困ったことに気づくことが多々ある。

それは、自分がnoteや執筆中の原稿に書いた内容を、読んだことのあるお気に入りの本の中に見つけてしまうことだ。

もちろんいくら好きな作品であったとしても、誰かの作品を真似しようと思ったことは一度もない。
むしろ、できることならば今まで誰もしてこなかった描写をしたいと願っている。
自分だけの考えを、自分だけの描き方で。

無意識のうちに影響されて同じこと、または似たことを書くのか、
それとも読んだ作品に書かれていたことは一度忘れてしまって、ふと自分で思いついたことがたまたまその既読の作品に書かれていることと被るのか。

どちらかはわからないけど、自分がしてしまった不本意な「真似」に、なんとも複雑で気まずい気持ちになる。

さらにはつい先日、こんなことがあった。

書籍出版に向けて書いている原稿の中で「この部分は是非とも伝えたい!」と思う、自分の中ではかなり熱量の高い部分があるのだけど、そこで書いた表現と非常に似たものを、なんと初めて読んだ本の中に見つけてしまった。

しかもその本、あの吉本ばななさんの本ときたから「まじか!」となった。
加えて、私が書いたものとは比べ物にならないくらい(そもそも比べるべきではないが、)わかりやすく書かれていて、且つ胸を打つのだ。

「まじか!」となった吉本ばななさんの「「違うこと」をしないこと」。おすすめ!


こうなってくると、
私が何かを書いたり表現する意味ってあるのだろうか。」
と思わずにはいられない。
こんなことで行き詰まるとは思ってもみなかった。

・・・・・

思い返してみると、私は似たような理由でYouTubeの謂わゆる「暮らし系」の動画を見るのをやめた。

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