コロナで月300万円の売り上げが吹き飛んだ。「BPM」の売り上げ回復までの道のり Vol.3
NEW STANDARD株式会社(旧社名:TABI LABO)所属
OMO型イベントスペース&カフェ「BPM」の店長をしている、阪田なおです。
普段、「BPM」というイベントスペース&カフェの運営をしているのですが、コロナの影響で、2期連続黒字運営していたところから2020年3月に赤字に転化。そこから試行錯誤を繰り返した結果、2020年9月には半年ぶりに売上目標を達成。翌10月も既に見込み値では売上目標を達成する水準になりました。
今回のおはなしは、「BPM」誕生秘話として、メディア「TABI LABO」を運営しデジタルを主戦場にしていた僕たちが、リアルな場をどのように設計し、黒字事業として成立させ、コロナを乗り越えたのかをざっくばらんにご紹介できればと思います。
前回は入社日から6ヶ月でのオフィス移転&BPMオープンのためのバタバタについてご紹介しましたが、第3回ではBPMのコンセプト「Feel Your Heartbeat」と、それをどう顧客体験に落とし込んでいるかについて書きたいと思います。
鼓動が高鳴る6つの瞬間
BPMが掲げるのは、「Feel Your Heartbeat(鼓動を感じよう)」というコンセプト。ここでの「You」はイベントに足を運んでくれたり、カフェ利用で訪れてくれたり、イベントスペースで使ってくれたりと、さまざまな目的で来てくれる人たちを指しています。
僕たちは鼓動が高鳴る瞬間を次の6つで定義しています。“発見”、“初体験”、“創出”、”共感”、“コラボレーション(共創)”、“再確認”。それらの体験を引き出すために、どのような場をつくるべきかを日々メンバーと話し合っています。
ウェブとリアルを掛け合わせる実験場
このようなコンセプトを立てた背景には、インターネットの世界を超えた体験を生み出す空間をつくり上げたいという想いがありました。僕たちが、ウェブメディア『TABI LABO』の運営を通じて培った「コンテンツを通じ、発見や共感を創る」という強みを、リアルな場で展開したかったんです。
自分たちでリアルな場をつくり上げれば、訪れたお客さんに「体験」を通じて、プロダクトの魅力やコンテクスト(文脈)を体感してもらえる。例えば、カフェのメニューのひとつに「リンゴりらっぱ」というりんごジュースがあります。それは『TABI LABO』で取り上げた山形のリンゴ農家のジュースなんです。一時的に『TABI LABO』で紹介したアイテム─を体感できるショールーム的な機能も設置してみたこともあります。
BPMのスタートは「カフェをやりたい」のではなく、「リアルな場での体験を通じ、発見や共感を創りたい」だったんです。
新たな「顧客体験」への挑戦
『TABI LABO』起点に限らず、BPMも独自に「この空間でしか得られない体験」を創るべく、ステークホルダーと共に多くのイベントに挑戦してきました。
観客がアーティストを360°囲み会場が一体化するライブイベントや、まるでブルックリンにいるかのように感じるジャズライブ。はじめに顧客体験(CX)のコンセプトを設計し、会場のレイアウトやあらゆるコンテンツに五感を刺激する仕掛けをちりばめることで、新たな音楽体験が生まれました。
また、企画からご一緒したポップアップイベントやナチュラルワイン試飲会では、ウェブメディア『TABI LABO』と連動し、体験の理解をより深めるコンテンツを発信。一時的な体験で終わるのではなく、オフラインからオンラインまでの全てのコンテンツを通じた顧客体験(CX)を提供しました。
「体験を拡張」し、ムーブメントを起こす
今後はコンテンツからムーブメントへ繋げる流れを、オンラインとオフラインの両側面からつくり上げていきたいですね。
先月も日本初のハンバーガーチェーンである『ドムドムバーガー』との一日限定ポップアップを行いました。イベント自体は、他メディアやSNSで拡散され話題になり、オープン前から行列ができる大盛況に。
これは『TABI LABO』と連動した特集企画で、ウェブ上で記事や特集を通じてつくり上げた「体験」をポップアップイベントという形でリアルにBPMで拡張したものです。
このように、リアルな場で鼓動が高鳴る“体験”を提供し、そこの至るまでの“認知”や“興味”の部分や、より“理解”を深め、“共有”するところはウェブメディアが担う。このオフラインとオンラインを連動させることで生まれる顧客体験(CX)こそが、OMO時代の顧客体験であり、NEW STANDARD社の強みでもあります。
僕らの取り組みが会社のポートフォリオのひとつになるように、この1年間でアップデートしていきたいと思っています。
元記事:BPM店長日記 連載vol.3
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