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旅する再開発アイディア(@ウォーターフロント)

ニューヨーク周辺のウォーターフロント開発

ニューヨークのウォーターフロントでは再開発が加速しています。
・ジャージーシティ(NJ)
・ダンボやウィリアムズバーグ(ブルックリン)
・ハンターズ・ポイント(クィーンズ)
・コーネルテック(ルーズベルトアイランド)
・ハドソンヤード(マンハッタン・ハドソン川)
・イースト川沿いの現在進行形の開発(※NYCが現在力を入れているようですが、まだ未開発なところも多いので、今後すごく変わりそうです)
マンハッタンは川に囲まれているので、ウォーターフロントの開発が多いのは当然と言えば当然ですが、もちろんウォーターフロントがそれまでのような物流の拠点などの機能から変化し、開発敷地を探す中で
「最後の」大型フロンティアとして残されていたというのも大きいです。

ただ、見ていて思ったのですが、ダンボ地区のような赤レンガ建築の再利用系以外の新築開発はどれも似ているな・・・という印象です。以下、どこがどこか区別がつくでしょうか。

(1)
(2)
(3)

(1)がハンターズ・ポイント(クィーンズ)
(2)がウィリアムズバーグ(ブルックリン)
(3)がハドソンヤード(マンハッタン)
です。(3)はヴェッセル(真ん中の蜂の巣のような建造物)があるのでわかりやすいですね。

なんだったら日本だと言われても信じてしまうような・・・区別がつきにくいなと思います。繰り返される都市再生に対して「旅するアイディア」であると述べた方がいらっしゃったと記憶していますが、まさに「旅する再開発アイディア」だなと思いました。
特にアメリカ史上最大の民間再開発・ハドソンヤードはユニクロや無印、ブルーボトルコーヒー(※アメリカ発ですが、日本の再開発ビルにも入っている)もテナントとして入っているので、ヴェッセルが無ければ、自分がどこにいるのか分からなくなります。ただし、とてもきれいで居心地がいいのも事実です。

マンハッタンの集団としての景観

一方、それ以外のマンハッタンエリアは個別解としてはその時々に利益を最大化することを第一目的として、緻密なゾーニングと敷地制限の中で目一杯作られた形態をしているのですが(レム・クールハースの『錯乱のニューヨーク』の意味がやっとなんとなく分かりました)全体としては敷地にひもづく制限の中で、なんとも個性的な景観をつくりだしているように見えます。(外から距離をもって観察できる希有な都市であるということもありますが。)
その究極の形が、残された敷地の利益を最大限化しようとした、近年セントラル・パーク近くで増えているペンシルタワーマンションかと思います。個別解としてこれがいいというわけではもちろんないですが、唯一無二の景観が制約の中で集団的に作り出されている現象のひとつとも言えます。

どんだけ細長いんだというコンドミニアムが「ビリオネア・ロゥ」と言われるセントラル・パーク近くのコリドーに集中しています。セントラル・パークから見るとこんな感じです。

新規複合開発になると、敷地がある程度まとまっていて自由度が高いことと、投資家や市も含めてみんなが納得するかたちを収斂していくと類似した形になるのは自然の摂理かもしれませんが・・・。
ビューポイントや回遊デッキなど、アメニティの提供という点ではすごく優れていますが、景観としてはどこもどうしてもお互い似てくるのかなと思います。