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こんなご時世なので「レガシー業界」に自社で初めて顧客向けWebセミナーをやってみた話

●自己紹介

ヒガシナオキといいます。
簡単な概要はプロフィールのところに書いてあり、
あとは雑多に記事を上げていけば理解いただけるかなと思うので、
多くは語らずにプロフィールの補足みたいな感じで少し書くと、

・社会人5年目です。
・アイティメディア(ITmediaとかねとらぼとかの会社)⇒クックパッド(レシピのアレ)
・昨年まで広告営業、今年からマーケ/営業企画
・仕事しつつ演劇をやっています。年4〜お話いただける時は10本くらい。(役者と舞台監督と演出)

●お話すること

4月頭に顧客向けにWebセミナーをやってみたので、諸々共有しようかなと思います。
バカ長くなったので先に書いときますが、結果「思い切ってやってみてよかったな」という話です。

こういうのをやりました。

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内容と概要はこちら

●まず

まず「クックパッドでBtoB?」というところがあるのですが、
有料会員の収益とともに、企業の広告施策のお手伝いや、データを活用したマーケティング支援を行い、主に食品メーカー相手にビジネスをしております。

その事業部に昨年営業として入社しましたが、今年からマーケ/営業企画を担当しております。
前職で大手IT企業のBtoBマーケターと仕事をしており、
一応はtoB向けマーケの知識があり、営業の業務と平行する形で、営業リストの管理方法の改善、MAの仕組み&メルマガのクリエイティブ制作や、セミナー企画/集客をやってきまして、今年から専業になった形になります。(この辺りでやったことは今後書いていきたい)

※BtoB向けオウンドメディア「FoodClip」も始めました。良かったら読んでください。
https://foodclip.cookpad.com/


●Webセミナーをやった理由

このタイミングに実施した理由は「コロナでオフラインセミナーがやれなくなったから」なのですが、前職でWebセミナーツールを売ってたのもあり、元々「Webセミナーやってみたいな…」という気持ちはずっとありました。

理由としては下記です。

・2018年末からオフラインセミナーを定期的に実施しているが、(こういうやつ )食品のトレンドに特化したセミナー自体が少ないこともあってか、めちゃめちゃ集客/歩留まりがいい&売上につながる効果が出るので、Webでも絶対ニーズがあるはず

・食品メーカーは地方企業も多く、オフラインセミナーではカバーしきれない

・集客効率がめちゃくちゃいい

・オフラインセミナーでは質問等がなかなか出ない、特にこの業界は出ない(終わってから恐縮げに個別に捕まえてくる)ので、Webセミナーのほうがチャット機能などで営業がフォローしやすい興味/関心が引き出せるのではないか。他にも視聴時間のログなど、得られる情報も多い。

・どんなに興味があっても「オフラインセミナーには絶対にいかない」人たちが一定層いる
 (展示会やセミナーで情報収集する人、というのは限られる)


しかしこれだけあっても今回この状況になるまで踏み切れなかったのですが、
その理由は下記一点に絞られます。

・業界がWebセミナーに慣れてなさすぎて見てくれる気がしない

細かくお話できもしますが、要はこれに集約します。

新卒からIT企業としか仕事してないところから転職してきて、
食品業界の独特の文化に入社後は軽くカルチャーショックを受けていたのですが、
僕らが主なターゲットとするマーケティング/広告部門の方々も同様で、
小売流通を介した「BtoBtoC」の構造が根強く、
店頭販促、もっというと「如何に棚にできるだけいい位置に置いてもらうか」が売上に直結してくるこの業界で、
クックパッドが得意とする「食卓データを駆使したマーケティング」をゴリゴリやってるのは本当に一握りです。

それを実証するデータとして、
以前オウンドメディアを立ち上げるようなタイミングで、
「食品業界の人って何から知識を得てるんだろうか…」というのを知りたく、顧客にアンケートをとって情報収集の手段を聞いてみました。

その結果、
1位が紙媒体である「日経MJ」
2位で「展示会」

この2つが圧倒的でした。

「Webメディア」が3位でしたが、上位2つとかなり差がついており、
4位以下はまた「日本食糧新聞」「社内勉強会」「リアルセミナー」
となります。

逆に言えば「デジタルシフト」の可能性が感じられる業界ということですが、
こういったところから、「まだWebセミナーは時期尚早かな…オフラインで結果出てるし…」となっていた次第です。

●実施までの流れ

ですが、この状況で3月に予定していた出展予定の展示会やセミナーが年始に立てたマーケ計画がぶっ飛んだので、
これはもうやるしかない状況になり、リモートが開始された2月後半に急いで検討を始め、3月頭には集客を開始するという急ごしらえで行いました。

下記、実施までの流れです

<プラットフォーム/ベンダー選定>
まず「どうやってやるか」を早急に決める必要があり、
予算も限られているので、費用感と利便性のバランスをとりつつ、判断する必要がありました。
検討したのは下記4ベンダーです。実施費用が安い順に並べていきます。

1.Zoom webinar

◎普段から会社のリモート会議として使ってるのでおなじみ
◎完全自社運営なのでコスパ最強
◎講演環境としては画面共有などいつもの感じでできるのでデモセミナーとかには良さそう
✕Webinar機能は全社会議とかで使ってるが、主だった社外向けの過去事例もなかったので、リモート環境で情シス部門と密にやりとりできない今いきなり自社運営するのはリスクが高い
✕視聴者側の環境が不安(今の状況だと少なくなってるが、ZoomアプリのDLができないCLがけっこういる)

2.ネクプロ

◎外部ベンダーの中だと安く、評判、事例共に良い
◎全てのデバイスからDL無しで視聴可能
◯視聴時間ログ、アンケートなどの基本的な機能はある
△見た目がちょっと簡素

3.vCUBEセミナー

◎専門の撮影スタジオが自社オフィスと同じビルにあり、利便性と安定性に信頼
◎全てのデバイスからDL無しで視聴可能
◎参加者の操作性とUIも良い
◎前職でCLのWebセミナーのプラットフォームとして使用経験あり
△レポートがEXCELの生のログデータとして出てくるので集計が手間

4.ON24

◎前職で売ってた
◎海外ではかなりのシェアを誇るツール
◎主催者、視聴者共に様々なウィジェットの設定、アンケートのUIなど、機能はめちゃくちゃ万全
◎MAと自動連携、レポートもものすごく綺麗に出てくるので、マーケターに最高に優しい
△Webセミナーがマーケティングチャネルの一つとして確立しているような進んでる企業が、年間契約&セルフ配信して使うことを前提としたもののスポットプランなのでやや高価&機能としてオーバースペック気味

リスクを見て早期に1を断念、4は使えたら嬉しいけどオーバースペックだなぁ…で、2or3で検討していて、
最終的に「主催者/受講者側ともに慣れてないし今後どうなるかわからない中で同じビルににちゃんとした専用スタジオがあるのはいい」という理由で3に決まりました。

<集客>

集客は下記の形で行っています。
1.ハウスリストへのメルマガ集客(主に休眠掘り起こし目的)
2.外部Webメディアにお金を払って集客(新規獲得目的)
3.FoodClip(オウンドメディア)からの自然流入(来たらラッキー)

今回は視聴上限(個別に吐き出されるURL)が150名だったので、この数字が目標人数でした。

集客については、通常は6週間前、遅くとも4週間前には告知ページOPENしてないと厳しい、というのがメディアで集客お手伝いしてた時の通説ですが、
実施が決定したのが3月2日(月)、そこからタイトル、概要を作って営業にCLへのメルマガ配信可否を聞いて文面を作って、外部集客の入稿をして、集客を開始したのが3月5日(木)、という感じで、かなり短めだった&初めての試みだったのでかなり集まりが不安でした。

ただこれはすぐに杞憂に終わりました。
普段4〜5本ほど打っている自社メルマガは配信2回で100名近く集まり、外部集客も1週間で保証してくれてた人数の1.5倍を達成、結果213名の応募があり、抽選の上、上限MAXの150名に受講票を送信しました。

この理由としては

・地方メーカーが大喜びで申し込んでくれた
・情勢的にもWebでやってくれるなら観る、みたいな人が凄く多かった
・人に薦めやすいのか、自社内に転送して他の人が登録してくれる=労せず窓口開拓、というような現象が多数起きた

ことがあります。3番目は特には嬉しい誤算でした。

<開催まで>

集客が早く終わってしまったことに加えて、
特にWebセミナーにおいては「登録したことを忘れないでいてもらう」ことが大変大事です。
自社のデスク/自宅で簡単に視聴できる分、「ちょっと仕事ができて気づいたら終わってた」「忘れてた」
みたいなことが凄く多く、歩留まりが低くなる傾向があります。
なので本当にしつこくメールをします。
今回は開催日まで、下記のスケジュールでメール配信を行いました。

開催7日前 受講可否の送付
開催3日前 視聴URLの送付
開催前日  前日案内の送付
開催1時間前 直前アナウンスの送付

文面には注意事項とともに、「セミナーではこんなことしゃべるよ」「限定の特典もあるよ」
みたいな形で事前告知の上、参加率を高める工夫をしました。

苦労したことで言うと、
メール配信はMAツール「Pardot」で行っているので、
一斉配信になるのですが、メールセキュリティガッチガチのところには迷惑メールに入ってしまうCLが一定数おり、
今までのオフラインセミナーではそれでも来れば聞けますが、
Webセミナーは識別のために個人ごとの固有のURLで視聴するので、
メールを見てもらえないと絶対に見てもらえないことになります。

前日案内メールを送ったところで、かなり開封率が低いぞ…となり、
「届いてないんスけど」という問い合わせも数件あったため、
当日の案内の送信元を、セミナー事務局用に作ったメーリスのアドレスから、
急遽僕のアドレスに変更して、配信したりしました。


●開催してみて

<結果>
そんなこんなでかなり始まるまでドキドキしたWebセミナーでしたが、無事開催することができました。
50%ほどの歩留まりを想定し、70名くらいかな…と思っていましたが、112名ほどの参加をいただきました。
15件ほど営業に引き渡せる案件も獲得でき、
設定していたKPIは全て超える結果
となりました。

そして何よりも「オンラインセミナー」というものに対して、事後アンケート下記のような好意的な意見がめっちゃくちゃ集まりました。その数60件以上。
先週から在宅勤務になったばかり、という方も多く、結果的にかなりタイムリーな実施となりました。

(参加者アンケート抜粋)
-とても聞き取りやすく、聴講し易かったです。個人情報が他社の方に漏れることなくアンケート結果をリアルタイムで聞けるのもありがたい
-しばらくテレワークが続く見込みですので、このようなオンラインセミナーは非常にありがたいです。
-ネット配信でのセミナーは初めてでしたがすごくよかった。
-webでのチャット質問形式などタイムリー感があり良かった
-リアルタイムで質問することができること、気軽にどこにいても見ることができるのが非常にいいです。
-昨今の状態で関西からこのようなセミナーを拝見することができ、勉強になりました。ありがとうございました!

<学び>
・能動的に参加させる仕組みを作るのが大事
⇒Webセミナーの大きな利点に、行動を記録できることがあります。
 なので、視聴者に違和感なくたくさんアクションしてもらう仕組みを作ることが大事です。

今回はこんなことをしました。
 −講演中のチャット(他参加者には非公開で自由に投げていいよ、を強調、都度答える)
 −講演中のクイックアンケート2問(セミナー開始直後に実施しまず参加させる)
 −事後アンケート(できれば講演時間内に、講演中に溜まった質疑に答えながら離脱をさせない)

・どんなに準備していても「観れない」といい出す人がいるので、録画/オンデマンド配信は必須
⇒ベンダーのしっかりした配信環境がありながら、開始直後から「観れない」とチャットに書き込む参加者が4人。まじかやばい…あれ…全員同じ会社。
 慌ててメールで「多分貴社のネットワークが…」をオブラートに包んで伝えたところ、自分のスマホでテザリングしたら観れた、とのこと。

●まとめ

バカ長くなってしまった。
次回予定してたリアルセミナーも中止になったので、またWebでの実施企画中です。今回は敢えて少し広めにテーマを取ったので、次回はちょっとセグメントを意識した内容にしようかなと思っています。

また、この状況でイベントやリード獲得がミッションのBtoBマーケターの方は本当に大変だと思います。本当にお疲れ様でございます…。

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