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2022年1月の記事一覧

朝ドラから見る「戦争のあと」

朝ドラから見る「戦争のあと」

 今朝の『カムカムエヴリバディ』、時代が10年飛んで、1975年になった。るいの娘、ひなたが10歳になり、夏休みが始まる、という設定である。そこで「夏休みと言えば祭り」、「夏休みと言えばラジオ体操」、「夏休みと言えば花火」と夏の風物詩が語られるのだが、そのときに「夏休みと言えば高校野球」というのが来る。しかし、そこで見せられるのは、試合そのものではなく8月15日正午の黙禱だ。錠一郎、るい、吉右衛門

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『嘆きのテレーズ』(1953)を見る

『嘆きのテレーズ』(1953)を見る

 ゆえあって、古いフランス映画を見た。エミール・ゾラの『テレーズ・ラカン』(1867)を、あの『天井桟敷の人々』のマルセル・カルネが映画化したものである。とても面白かった!というわけで、何がどう面白かったのかを書いていく。

 小説の紹介からしておこう。ゾラは、アデライード・フークという女性がマッカールと愛人関係にあって二人の子どもを、ルーゴンと結婚して一人の子どもを産んだ、という設定で、その子孫

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映画は、芝居だ—『茜色に焼かれる』、毎日映画コンクール女優主演賞—

映画は、芝居だ—『茜色に焼かれる』、毎日映画コンクール女優主演賞—

 私の心をとらえてやまない石井監督の映画、『茜色に焼かれる』がまたまた快挙を成し遂げた。尾野さんが女優主演賞、息子の純平を演じた和田庵さん、良子さんと語り合う仲であり、純平くんの想い人となるケイちゃんを演じた片山友希さんがスポニチグランプリ新人賞である。これで尾野さんは、TAMA映画賞主演女優賞、山路ふみ子女優賞、ヨコハマ映画祭主演女優賞、毎日映画コンクール女優主演賞と、4つめの受賞となった。まこ

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『茜色に焼かれる』について、作り手に聞いてみたいこと

『茜色に焼かれる』について、作り手に聞いてみたいこと

『茜色に焼かれる』は見れば見るほど色んなことを考えてしまう映画で、これまでとりとめもなく色んな角度からポツリポツリと考察を連ねてきたけれど、もし一つのまとまった形にするなら、どういう手順がいいだろうかと考えてみた。(『茜色』で卒論を書くなら、どんな章立てが可能か、ということである。)

1)作品の位置づけ:可視化された「社会的弱者」ということから、三つのキーワードに着目する。
 『茜色に焼かれる』

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