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アキレス腱炎の評価・治療戦略

じんです。

約10年ぶりに故障したので、「アキレス腱炎」についての文献を調べ、経験則を元にリハビリメニューを立ててみました。
興味のある方は是非見ていって下さい。

陸上長距離選手の怪我の割合

スポーツ医科学研究所の受診記録によると「アキレス腱炎」は陸上長距離選手の外傷4位にランクイン。

Climentら(1994)によると急性例では2週間慢性例では6週間のスポーツ活動の休止が必要であり、治癒までに5週間要するとされている。

30〜55歳で発症しやすい(Cook JL,2002)というデータもあり、ベテランランナーは注意したいところ。

病態

アキレス腱炎はアキレス腱を包むパラテノンと呼ばれる組織が、慢性炎症や肥厚をきたし腱と癒着して痛みが生じると言われている(標準整形外科学,2005)

原因はオーバーユースであることが多い印象を受ける。

アキレス腱障害の危険因子

上記2つの論文、自身の経験則を元に以下にアキレス腱障害の危険因子をまとめてみた。

厚底シューズ時代になってから、アキレス腱の故障が多く聞かれるようになった気がする。

アキレス腱炎の評価
(炎症の有無・筋の柔軟性・筋力)

①アキレス腱の状態チェック

②ふくらはぎの柔軟性チェック

③片足踵上げチェック

④片足しゃがみこみチェック(つま先立ちで)

⑤片足スクワットチェック

今怪我をしていなくても②〜⑤が複数当てはまる方は練習・レースの負荷が高くなってくる事で怪我に繋がる可能性があると思うので、注意が必要です!

治療

①アイシング

②超音波

③ふくらはぎストレッチ(足背屈可動域UP)

④アキレス腱周囲滑走性向上

⑤筋トレ
・足底屈筋トレーニング(カーフレイズ)

・中臀筋トレーニング

細かいですが、自分の弱点を把握した上で「何をどのくらいやるか」が大切だと思っています。

事例紹介

<一般情報>
【症例】30歳男性  競技:陸上長距離
【現病歴】5/21のハードル練習後に負傷
【既往歴】シンスプリント(2010)、肋骨骨折(2019)
【2021年試合歴】
1500m(3′50)5000m (14′02)
10000m(30′36)2000mSC(5′43)3000mSC(8′56,8′56,8′54)
※全てdoragonfly(厚底スパイク)着用
【練習環境】3〜4月は寒冷下(0〜5℃)ロード練習主体

<評価> 5/30(発症9日後)
【視診触診】アキレス腱実質部に腫脹・発赤あり
【痛みの再現動作】蹴り出し動作(股関節伸展位からの)程度:4/10 質:ピリピリ
【可動域】両足関節背屈制限あり(10°)
【筋力】左中臀筋・足底屈筋力低下あり
【走行フォーム(発症前)】ストライド走法/踵外側から接地/接地時に骨盤からの側方への崩れあり

<問題点抽出>
【身体要素】
#1  左アキレス腱の炎症症状
#2  左下肢筋力低下(中臀筋・底屈筋群)
#3  両足関節背屈可動域制限(底屈筋群柔軟性低下)

【外的要素(競技特性含む)】
#4  ハードルを右足掛けで跳ぶ(左踏切・左着地)
#5  寒冷下でのロード練習
#6  厚底スパイクの過使用

<リハビリプログラム>
発症〜2週間 アイシング、超音波、筋トレ(非荷重下での患部外トレーニング)

2週間〜 アキレス腱周囲滑走ex、筋トレ(荷重下)、軽めのジョギング

発症から10日近く経過して炎症症状は軽減してきている。今後は基礎的な筋トレ、軽めのジョギングを行っていきたい。

最後に

色々お伝えしましたが、基本8割の練習を継続しつつレース(全力疾走)は月に1回程度に留めておくことで大抵の怪我は予防できると思います。

コロナ禍でロード練習を余儀なくされている選手も多いと思うので、今回のnoteを一つのきっかけに怪我をする選手が1人でも減れば嬉しいです😄

痛みが引かず心配な場合は、病院受診をして医師の診断の元、治療を進めていくことをお勧めします。

投稿の中で間違っていることや質問等あれば気軽に言って下さい!

ではでは。

#ランニング #怪我予防    #アキレス腱炎

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