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さらば青春の光の感想(ネタバレあり)

京都みなみ会館で鑑賞。TwitterでRTすると貰えるシールゲット。(自主申告制)

ノーザンソウルの方もまた観たかったけど時間合わなかったので今作のみ鑑賞。

今回初めて観たけど、冒頭の夕日の海をバックに主人公がこちらに向かって歩いてくるシーンの美しさから、「これは映画館で観ないと駄目なやつだ」と思える作品だった。

前情報全く無しで観たので、主人公の無軌道な行動の数々に最初は嫌悪感しか無かった。
夜な夜な暴れて軽犯罪を繰り返し、良い仕事してるのに全くやる気ない、実家暮らしなのにいい歳して中2の様な反抗の仕方(親御さんの説教があまりに正論過ぎて笑う)と、とにかく駄目人間。ブライトンでのくだりでアイスクリーム屋破壊したり完全にアウトだし、「このまま若さ故のいい話みたいな終わり方だったら嫌だな、、、」と、思い始めたラスト付近で次々と自業自得な制裁が下されていく様子が切なくも爆笑。
特に素晴らしかったのは、彼の命とも言えるスクーターが車に潰されて大破する所のギャグ感とか申し訳ないけど爽快感があった。

しかし本人からすればブライトンでの大暴れが人生最良の日に感じているのが段々と切なくなる。
住む家も彼女もスクーターもお金も無くなった彼が(全て自業自得)、素晴らしかった自分を確かめる為にブライトンに再び赴き、青姦した汚い路地とかをウロウロして思い出ツアーをするのだけど(こないだ)、唯一の支えだった「俺と同じ魂を持っている奴」であるエースが実は社会に搾取される側の人間だった事を知り、全てに絶望する。(個人的にはまともな人で安心した)

そこから文字通り盗んだバイクで走り出し、崖沿いギリギリを走るシーンの凄まじさ。
彼の現状の惨めさとは正反対の映画的なカタルシスに溢れた美しさに見惚れた。
あのガッシャーンで終わるラストの切れ味も完璧。

主人公の佇まいとか体型のガリガリさとか絶妙で、ギラギラしてるのだけど切迫感がなくてあんまり怖くない。
若い時の爆笑問題の太田さんっぽい雰囲気。
実家の部屋の壁にずりネタの紙貼ってるのカッコ悪い。
映画の終わりの後、彼がどういう人間になっていくのか全く分からない突き放し具合も好み、あのまま更にアウトサイダーになる事も予想出来るし、平凡なサラリーマンになっていくのかもしれない。でもとりあえず彼の子供時代は終わった事自体が切なくも感動的。

こないだの「アメリカンアニマルズ」とかにも通じる人と違う自分になる事でアイデンティティを確立しようとする話でもあったので個人的にはとても好きなやつで、映画館で観れて本当に良かった。


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