見出し画像

スペンサー・コンフィデンシャルの感想(ネタバレあり)

新型コロナウィルスの影響で家でNETFLIX作品を探してたら、ピーター・バーグの新作なのに完全に忘れてた今作をこの機会に鑑賞。

ピーター・バーグ&マーク・ウォールバーグコンビの最新作。

毎度お馴染みの座組の為か、最近少し舐めれられがちな気がするのだけど僕は毎回めちゃくちゃ楽しみにしている人間(配信限定のせいで忘れてたけど)。

特に好きなのは「パトリオットデイ」で実際に起きたテロ事件を解決しようと動いていた人や被害にあった人々を称える様な作品で、それぞれの人生の尊さを優しく掬い取る様な繊細な演出が光る傑作だと思っている。

それでいて銃や爆弾等が人を傷つけるシーンの怖さを体感させる様な、派手な見せ場の撮り方もかなりハイレベルで、エンターテイメントとしてもちゃんと面白い映画になっているのが凄い。

こういう実録モノシリーズに対し、フィクションに振り切ったバトルシップなどの愛嬌のある映画も撮る所にも信用がある。

それで観た今作なのだけどピーター・バーグ系譜的にフィクション系の作品でコメディ映画として振り切っている感じがとても楽しくて気が滅入って家で引きこもるしかない時に観る作品として本当にちょうどいい作品。

前作22Mileがアクションゴリゴリ系の作品でありながら暴力的なアメリカに対する批評的な目線が入っていて苦い余韻を残す作品なのに対し今回は最後まで楽しい作品になっている。 

汚職警官や麻薬カルテルなどとにかく悪い大物達が悪い事をしまくって、人死にも大量な世界観なのだけど、結構牧歌的な印象。


原作小説の雰囲気をどの位入れているのかは分からないけど、人情味たっぷりなキャラクター同士のやりとりがとても良い。

マーク・ウォールバーグ演じるスペンサー。

とにかく乱暴なのだけど、どんなに追い詰められたりしても気持ちが一定であんまり浮き沈みがないので本心で何を考えているのかよく分からない。

困っている人に手を差し伸べる事こそが正しいと信じて疑わない真っすぐな人、だからこそ「こういう生き方しか出来ない」事への哀愁みたいなものも感じる。

なんとなくトム・クルーズがやっていた「ジャック・リーチャー」シリーズに通じる不器用さだと思った(そういやどっちも無職だし)。
ただトムと比べマーク・ウォールバーグはチャーミングさが少なく取っ付き辛い雰囲気でいちいち色んな人から下に見られているのが笑ってしまう。

5年刑務所に入っていたせいで「クラウド」の言葉の意味が分からない微妙な時差ギャグ凄い好き。


相棒化していくエムバクさんこと、ウィンストン・デュークも愉快で見ていて楽しい。この人はこの人で怒りっぽいし暴力的でマーク・ウォールバーグと二人で暴れると手が付けられない。

スペンサーの「罪のない女性を殺してあいつはめちゃくちゃ悪い奴なんだぜ!」みたいな敵の話を聞いて「飼い猫殺すとかありえねぇ!許さん!」と言って車をパンクさせ猫の絵でボディに傷をつけすっきりした顔で顔で帰ってくるくだりのどこから突っ込んだらいいのか分からなくて、観ていて気が遠くなる(褒めている)

ただマーク・ウォールバーグに比べると役者本人の雰囲気もあり乱暴さの中にも優しい印象もあるので今回の映画の中では癒し系な位置にいるといっても過言ではない。いや、過言かもしれない

父親との関係の匂わせ方も絶妙であんまりエピソードとして重くならないバランスも良い。
それでも警官の父親を亡くした少年とのやりとりとかあまり説明ないけどグッときたし、正しい生き方をしていた父親に憧れを持っているからスペンサーにシンパシーを抱いて付き合ってしまうんだろうなぁ。

お話的には伏線というには、分かりやすく色んな要素をドカドカ置いていく様な感じで、お約束に楽しい。
デカいトラックのくだりとか序盤で執拗にスペンサーが興味津々な所ですでに「お前この後何する気だよ、、、怖い、、、」というシーンからの、ラストのアレの乱暴さに爆笑した。

そんな感じで、コロナの影響で外出出来ないし気持ちが沈みがちだったので、本当にちょうど良い映画だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?