見出し画像

日常をほんのちょっとだけ逸脱したい

いつもとちょっとだけ違う景色が好きだという話。

台風などで早帰りになった待機中の教室で、親が迎えに来た順に一人ずつ友達が教室から居なくなっていく。
こんな感じで、もの寂しさのすぐそばにある、同じ毎日をわずかに脱線した感覚が好きだった。

ずっと同じように続いていくだろう日常の中に、些細な変化があると何となくうれしい。
生活が変質してしまうようなものは疲れるので、ささやかな変化でいい。

変わることのない通勤路も、無意味に回り道して家に帰ってみる。
どこかに寄るというわけでもなく、遠回りだけをする。
これもまた、恒常的な毎日からほんのちょっと逸脱したい気持ちの表れなのかも知れない。

何気なく空を見上げると、普段あまり見ないような茜空に波状雲の絨毯ができていることもある。
こういうの、この歳になっても普通にテンションが上がる。
たぶん明日になったら忘れるし、その日限定の高揚感だろうなとは思う。
でも、「時間」というひたすら等速直線運動して進むだけの乗り物からちょっとしたアトラクションを見ているような、そんな気持ちになる。

人生に刺激が欲しいとか、彩りを加えたいとか大言壮語を吐くつもりはないけれど、せめて同じレールの上でできうる限りの体験をしていきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?