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心に刺さる「物語」の力:ストーリーテリングでビジネスを変える(キンドラ・ホール著)を読んで

企業に戦略的ストーリーテリングのコンサルティングを提供するプロ・ストーリーテラー、キンドラ・ホール先生。ビジネスで活用するストーリーテリングを、豊富な実例と体系的な手法の両面から教えてくれる一冊でした。

この読書ノート「ストーリーとは何だろう?」の出発点となった疑問について、キンドラ・ホール先生が端的に書いているので引き込まれました。

突然ストーリテリングがすべてになった。… ソーシャルメディアはストーリー一色になった。そこかしこに「ストーリー」が存在していた。… ウェブサイトには「当社のストーリー」と書かれたタブができた。キャッチフレーズがストーリーになった。…
… 「製品ストーリー」の例 …
ええ? これがストーリーといえるだろうか? 私はそうは思わない。

ストーリーテリングでビジネスを変える(キンドラ・ホール著) p65

キンドラ・ホール先生によると、ストーリーは「実話」であることと、ストーリーをストーリーたらしめる四つの要素が必要です。

・共感できるキャラクター
・本物の感情
・拡大された瞬間(焦点を当てて切り取りとった具体的な状況)
・具体的なディテール

ストーリーテリングでビジネスを変える(キンドラ・ホール著) p73

この4つの要素をもとに3部構成をとります。

日常 ― 物事がありのまま進む
爆発 ― 何かが起こる
新たな日常 ― 物事が変化する

ストーリーテリングでビジネスを変える(キンドラ・ホール著) p86

ただしビジネスのなかからストーリーを探して、ストーリーを仕立てるときには、「爆発(変化)」から始めるのがよいと教えています。その理由は、

ストーリーの断片を探していたとき、浮かび上がってきた瞬間や記憶は、爆発である可能性が高い。… 爆発に達するまでは、ストーリーが生まれていることに気づかないのである。… 日常の存在に気づかない。

ストーリーテリングでビジネスを変える(キンドラ・ホール著) p274

コンテンツの観点からは、ビジネスで活用するストーリーを4つのジャンルに分類しています。

・バリューストーリー
・ファウンダーストーリー
・パーパスストーリー
・カスタマーストーリー

ストーリーテリングでビジネスを変える(キンドラ・ホール著) p322 付録・早見表

この本で教えているビジネスストーリーの枠組みに照らして、仕事で関心のある、関係するブランドが広報・マーケティングで展開しているストーリーについて勉強してみます。

わたしがショートビジネスストーリーに取り組んでいくうえで、最終章にあるキンドラ・ホール先生の次の言葉が身に沁みました。

ストーリーを聞くだいご味は、実は聞き手の意識下で生まれているということだ。あなたがストーリーを語る間、聞き手は思い思いに、ストーリーに沿ったイメージをつくりあげる。… … 画像はイメージを一方的に与えるだけで、聞き手にみずからイメージをつくらせようとはしない。…
… 聞き手に想像の余地を残そう。

ストーリーテリングでビジネスを変える(キンドラ・ホール著) p304

大切なのは、言葉ではなくメッセージに集中することだ。あなたのストーリーが伝えようとしているメッセージについて考える時間を増やし、それを伝えるための正確な言葉については考える時間を減らそう。

ストーリーテリングでビジネスを変える(キンドラ・ホール著) p307

ストーリーテリングに関しては、自分が納得できるストーリーだけを語ればいい …

ストーリーテリングでビジネスを変える(キンドラ・ホール著) p310

キンドラ・ホール先生のこの本を読んで、ショートビジネスストーリーの世界での「ストーリーとは何だろう?」という問いへの指針をいただきました。この読書ノート(マガジン)はここで筆をおいて、これからは実践に集中していきます。

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