米国マイクロソフトのストーリーテラーのミリ・ロドリゲス氏の著作。マイクロソフトに「ストーリーテラー」という役割があること自体をこれまで知りませんでした。
Amazon.co.jpで翻訳書(CCCメディアハウス発行)のレビュー数は少ないのですが、原書は受賞歴もあり評価の高い著者・著作です。
「ストーリーとは何だろう?」という問いで読書してきていますが、ミリ・ロドリゲス先生の定義はわたしには最も明快でした。
主人公がいて、プロット(筋書き)があり、結末がある
エモーション(情緒・感情)を通じて伝わる、共感する
伝えること(情報)は、意見、主張、事実、データ、考え方、議論など
共感するから伝わる。伝わらないのは共感しないから。
ロドリゲス先生は冒頭から「お客様の共感」を「心から」ストーリテリングの根本においています。
ブランド・ストーリーテリングの目的は、その企業の存在意義・企業理念への共感をえることであり、そのとき最も大切なことは、お客様になぜどのような価値を届けようとしているのか、企業がみずからの存在意義・企業理念を見つめ直すこと、内面的な探求がまず重要だと説いています。
その理由・背景には、ソーシャルネイティブのミレニアル世代・Z世代・アルファ世代のブランドのとらえ方、接し方があるといいます。商品の特徴以前に、その企業、ブランドに「人として」(その人格に)親しみ、共感を感じるか。
ストーリー構成の基本については、AvePoint社のCBO(チーフブランドオフィサー)、ダックス・レイモンド・サイ氏のアドバイスが響きました。「お客様の課題」「わたしたちはどのように役立てるか」そして「行動喚起」。お客様に率直に感じていただけるように、簡潔なフレームワークで知恵をしぼる。
そして、大きなストーリーを探すのではなく、小さな具体的な瞬間から話を始める。そうした瞬間瞬間を紡いでいくと、自然とストーリーが現れる。
本書からの学びとして、「読者」に「ブランドの存在意義」を「共感」してもらえるように、「具体的」な物語を「簡潔」に表現していく、ことを心がけます。