テレワーク廃止はさすがにバカすぎるって話
●メリットだらけのテレワーク
新型コロナの位置づけが「5類感染症」になった。
世界中を混乱に陥れた感染症も、とりあえずは一段落といった形である。
本来ならば喜ばしいことだが、そうでもないと思っている人も多いようだ。
5類になったことに伴って、テレワークが廃止になった企業が増えているからである。
位置づけが変更になった初日には、ツイッター上に絶望に満ち溢れたツイートが多数投稿され、「満員電車」がトレンド入りした。
そりゃそうだ。なぜ今更、テレワークを廃止するのか。
僕は基本的に出社しなきゃいけない職場(しがない事務職)だけれども、ごくたまにテレワークができる日がある。
そこで感じたテレワークのメリットを、以下にざっと挙げてみる。
これはごくごく一部で、書ききれないような喜びがたくさんある。
もう、ストレスが減ってQOLと仕事の能率爆上がりだ。
ごくたまにでも、テレワークができることによって確実にメンタルが安定した。これはもう、揺るぎのない事実である。
●「不自由な環境」に合わせる悪しき風潮
テレワークの話をすると必ず、
と言ってくる人がいる。
そのような人達の多くは、人間の生活に直結した仕事をしているので、おそらく僕も毎日のように彼らの仕事の恩恵を受けているのだろう。本当に感謝しなくてはならない。
で、それではどうするのか。
とするのか。それはあまりにも愚かではないのか。
それを言い出したら、
となってしまう。
やっていることが違うのだから、みんなで横並びにする必要はないのだ。
「できない側」の環境に合わせてみんなで我慢しようという考え方は、人々を疲弊させるだけなのですぐにやめたほうがいい。本当に悪しき風潮である。
同じく、
という意見もある。
それはそうだ。今までの生活スタイルが変わるのだから、儲けが減ってしまう職業もあるだろう。
では、どうするのか。
とするのか。それを言い出したら、
となってしまう。
そして、もしテレワークが完全に廃れたら、現在テレワーク関連で設けている会社が倒産するが、その点はどう考えるのか。
たとえば、ネトフリなどのサブスクサービスが浸透した今、レンタルDVDショップの中には、スマホや家電のレンタル事業を始めたところがあるという。
このように、時代のニーズに適合するのはそれぞれの店がすべきことであって、我々が考えることではないように思う。
●管理職が管理できていないのは昔からだろう
管理職側から、
という意見があるが、さも出社している時は管理できていたような言い方をするのはやめてほしい。
管理ができていたら、この国のメンタル不調者も、残業時間も、もっともっと減っているはずだ。
という声もあるが、それは仕事の成果物を見れば済む話だ。
とても極端な話、仕事が終わっているのならばサボっていてもいいとさえ思う。
そんなことよりも、毎日出社しているのにも関わらず、残業ばかりして仕事が終わらない社員の方を問題視するべきなのではないか。
そう考えると、この問題についてはテレワークはあまり関係ない。
ただ、管理職の能力が著しく低いというだけの話である。
仕事の質が落ちているように見えるとしたら、それはテレワーク導入以前からあった組織の問題が露呈されただけなのだ。
●コミュニケーションが取れないのも昔からだろう
一部からは、
という声が上がっている。
これについても、さもテレワーク導入前はコミュニケーションが取れていたかのような言い方をするのはやめてほしい。
コミュニケーションが取れないと嘆いているのは、
部下に気を使ってもらって気持ちよくなることを“コミュニケーション”と呼んでいる上層部
上司の顔色を窺うことのみで生き残ってきた太鼓持ち
くらいのもんだろう。
濃密な人間関係を築くならともかく、「仕事をする」程度の人間関係なら、リモートで十分な場合の方が多い。
それに、「完全出社」と「フルリモート」の2択にする必要もない。
どうしても必要と感じるならば、週2出社週3テレワークのハイブリッドだってできる。
方法はいくらでもあるだろう。
あえて言うなら、大変なのは今いる社員ではなく、新人である。
すでに出来上がっている体制に、リモートで入っていくのはとても難しい。そして、それをしっかりとフォローするのが管理職をはじめとした先輩社員の役割だ。
コロナの前から、しっかりと新人育成の体制が構築されてきた組織であれば、少しテコを入れるだけで十分対応できるだろう。
新人に対してろくな育成もせず、「見て学べ」の姿勢だった組織にとっては難しいことかもしれないが、それはコミュニケーション以前の問題だ。
この機会に育成方法を抜本的に見直した方がいい。
●テレワークでギリギリ助かった人がいる
という人がたくさんいるはずだ。
もし今テレワークを廃止すれば、メンタル不調に陥る人が続出するだろう。
そしておそらく、世間はそれを「甘え」で片付けるのだろう。
しかし、本当に甘えているのはどっちだろうか。
コロナが流行ってから今まで、4年近くも期間があったのに、テレワークでも問題なく業務を進められる環境を整えなかった経営陣の方ではないだろうか。
という人々がいる。
いやいや、それを言うならちょっと前までスマホも、ウォシュレットも、ドラム式洗濯機もなかった。今からすべてを捨てることはできるだろうか。
これは甘えではない。
より快適で彩りある生活をする術を知った
だけだ。
その違いすらわからないというような人は、残念ながら完全出社にしても良い仕事なんてできないと思う。
●テレワークを手放すな
今までどんな偉い人も全く実現できなかった「働き方改革」であるが、皮肉にも新型コロナが強制的に実行に移してくれた。
もちろん人類はかなりの代償を支払ってしまったが、働き方改革こそが唯一得られたメリットと言っても過言ではないだろう。
せっかく痛い思いをして得られたこの環境を手放して、週5日もまたあの奴隷輸送列車にギュウギュウに詰まって通勤し、同じ建物の中にギチキチに詰まって働く日々に戻すつもりだろうか。
また病んだ人が頻繁に線路に身を投げ、電車が止まるたびに駅の外まで人が溢れ、台風の日には帰宅困難者が続出する。またそんな日々を過ごすのだろうか。
仮にコロナとは別の感染症が流行ったりして、再び出勤が抑制された場合、また「仕事が進まない」と焦るのだろうか。
いい加減、過去から学んだらどうだろうか。
緊急事態宣言中に、政治家の人たちは何度も
と言っていた。
でも、「以前の生活」って、新たに得られた素晴らしいものを捨ててまで、取り戻す価値があるものなのだろうか。
やたらと「持続可能」という言葉を掲げる企業が多いが、果たして「以前の生活」って、労働者にとって持続可能なものだったのだろうか。
そう言っている間にも、世の中は確実に「以前の生活」に戻りつつある。
※あくまで弱小企業の三流平社員による感想です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?