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2021/05/29 仮放免者の話を聞く会  イベント報告

 BONDでは、5/29(土)に、今年2回目の「仮放免者の話を聞く会」を開催しました。以下、本イベント内容の報告をします。

1.お話の概要

 今回は仮放免中の50代男性と40代男性のお二人にお話を伺いました。(以下、50代男性:Aさん、40代男性:Bさんとします。)

 Aさんは母国で命の危険を感じ、母国から逃げるために来日しました。来日後、すぐには難民申請のやり方も分からず、真面目に仕事をしていれば日本で生活ができると周りの人からも言われ、実際に捕まることもなく生活を続けてきました。しかしながら、来日してから約10年経過したころ、オーバーステイを理由に当時の勤務先の工場で警察に摘発されました。品川入管と牛久入管の両方で収容経験があり、合計2回、全体で1年半ほど収容されていたそうです。収容施設での生活は、「日本ではないみたいだった」「人間らしい生活とは言えない」と繰り返し口にしていました。

 また、仮放免中の生活は、「働けないためにお金もなく、健康保険にも入れないため病気になったときは我慢するしかない」と仰っていました。

 Bさんは母国で大学を卒業後、仕事を求めて来日されました。来日して約5年が経過したころ、オーバーステイになっていたことを理由に警察に摘発され、入管に収容されました。収容中の生活は辛く、うつ病になり、自殺未遂も図ったそうです。母国の母の死を聞き絶望しているとき、10日間別室の個室に入れられ、3日間風呂に入れず、食事もとれなかったこともあったそうです。また、仮放免後もうつ病に悩まされたとのことでした。更にBさんは、収容中に同じブロックの方が病死するという経験もされたそうです。

2, 感想とまとめ

 Aさんは、母国から命の危険を感じて逃げてきたのにも関わらず、難民とは認めてもらえず、入管に収容された際には人間らしい生活を送れず、仮放免になった今も自由に暮らすことはできないことについて、涙ながらに語っていたのが非常に印象的でした。

 Bさんは、現在在留資格を手に入れたものの、暫くの間、収容中のことを思い出し精神的に辛い思いをされたということで、収容がもたらす精神的な悪影響についても深く考えさせられました。
 また、Bさんと収容中同じブロックで病死された方については、入管の医療体制の欠陥であると言わざるを得ません。その方が亡くなって約5年が経ちます。先日名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性のことを鑑みると、入管の医療体制の欠陥が原因で命を落とす方がいるのにも関わらず、それ以降も毎年のように死亡事件を繰り返しながらも変わらない入管側の体制に問題があると指摘できます。

(以下が入管収容施設での死亡事件と医療の実態に関する過去のBONDの記事になります。ご参照ください。)

 仮放免中であっても就労 が許されず、また、健康保険に加入できないという点から、収容を 解かれた後も自由な人間らしい生活を送ることができないということを改めて認 識しました。

 最後に、Bさんは、「おかしいと思うことには声を挙げること」の重要性について言及していました。先日入管法改正 が議論 となり、廃案 に持ち込まれましたが、これは「おかしい」と声を挙げ続けた世論の声が実を結んだものだと言えます。

 また、 私たちができることとして、自分が知らないということを知り、問いを持ち続け、日本における外国人との共生について、本質的な 議論 を行うことだと思います。そして、彼らとの 距離 を感じつつも、寄り添い、思いめぐらせ、想像することも必要だと思います。そのために、私たちBONDは日本にいる外国人の現状を知ってもらい、議論を促し、そして解決へ、当事者とともに一緒に取り組んでいきたいと考えています。

 以上イベント報告でした。最後までお読み頂き、ありがとうございました。