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(南海沿線のいいしごと#1)和歌山県高野町:刀祢 尋一さん

南海沿線で活躍する方をご紹介する「南海沿線のいいしごと」。
第一弾となる今回は、和歌山県高野町の神谷地区で、エリアの活性化に取り組む刀祢 尋一(とね ひろかず)さん(73歳)をご紹介します。

神谷地区は難波駅から約100分、南海高野線の終点:極楽橋駅(ケーブルカーに乗って5分で聖域:高野山!)の1つ手前、秘境駅ともいわれる紀伊神谷駅から山道を10分ぐらい歩いた場所です。高野山の参詣道である京大坂道(きょうおおさかみち・世界遺産登録)や槇尾道(まきおみち)が通り、鉄道が開通するまで高野山に最も近い宿場町として栄えました。刀祢さんはこの神谷で暮らし続け、今年7月に神谷のシンボル:旧・白藤小学校を改装してカフェを開業する計画の元気なおじいさん。そんな刀祢さんから南海社員が聞いた生の声をお伝えします。

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【紀伊神谷駅について】
紀伊神谷駅は1928年(昭和3年)6月開業、1日当たりの乗降客数は13人(2019年度)と南海電鉄100駅中100位で、高野山参詣関連遺産として近代化産業遺産にも指定されている、ゆったりとした時間が流れる駅です。
お越しの際は、降りる際に電車とホームの間が広く空いている個所があるのでご注意ください。また、標高が高く麓とは気温が違うので、服装にもお気を付けください(中の人の経験より)。
http://www.nankai.co.jp/traffic/station/kiikamiya.html


神谷で暮らして半世紀、元気な自分が盛り上げる!

「私は高野山で生まれて、中学生ぐらいの頃から神谷へ来ました。中学校は九度山まで通い、その後に近くの会社に就職したので、半世紀以上を神谷で暮らしています。高野山の山上と麓の学校の両方に行ったので、同窓会も山上と麓の両方へ行っています。」

看板

「昔は住んでいる人も多く、南海電鉄で働いている人もいました。時代が経つにつれて住人は減り、今では8世帯しか神谷には住んでいません。しかし、近年は参詣道を歩く旅行者やハイカーが増えてきて、しかも昔は年配の人が多かったのに、若い人が歩くように。いろんな方に高野山の参詣道や山麓へ目を向けてもらっている、そういった意味では嬉しい変化も訪れているのだと感じます。」

「今も住んでいる8世帯は高齢化も進んでいて、神谷の集落でも私は若い方(73歳)なんです笑。『神谷は私の様な動ける人が盛り上げていくしかない』『何かすればきっと良くなる』と思って行動していますし、一緒になって動いてくれるご近所さんもいるのは、嬉しい事です。」

【ご近所さんの声】
刀祢さんが開業準備を進める旧・白藤小学校の向かい側には無人販売所があります。運営している竹内さんご夫婦は「山で採れたものをそのまま売るだけだから」と、とても良心的な価格で乾燥シイタケやパセリ、スウェーデントーチやファットウッド等が販売されていました。刀祢さんのカフェについても「ご近所だから協力できることは協力していきたいよね」と笑顔で話されていて、温かい地元同士の関係性を感じました。
(アウトドア好きの中の人は目の色変えてファッドウッドを買って帰りました。よく燃えたようです)

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神谷の大切なシンボル:旧・白藤小学校で試行錯誤。。。

白藤小学校(中庭)

「十数年前から神谷を何とかしなくてはいけないと思い始めました。丁度その頃に、高野町の役場から『旧・白藤小学校の管理をしてくれませんか』とお話をいただきました。そこで立ち上げたのが”白藤の会”です。以来、ずっと神谷のシンボルである旧・白藤小学校の整備と管理をしています。」

【白藤小学校について】
1878年(明治11年)3月神谷小学校として開校。以降、合併や数回の改称を経て1947年4月から高野町立白藤小学校となりました。そして1997年4月から休校となり2008年3月に正式に廃校に。建物は往時のままの木造の校舎が残り、映画やドラマなどで現れるような、通っていなくてもどこか懐かしさを感じるようなノスタルジックな雰囲気が漂います。

「この旧・白藤小学校を活かして、色んな人たちに神谷へ来てもらいたいと思い、マルシェを開催したり、写真スタジオとして使ってもらったり、ジャズバンドの方に来てもらってイベントを開催したりしてきました。ありがたいことに、イベントをやっている際は神谷まで人が訪れてくれましたが、一方でその賑わいが長続きしないという課題を感じていました。その中で出会ったのが、ジャパンコーヒーフェスティバルというイベントでした。会場の1つとして白藤小学校を使おうという事になったのです。

ジャパンコーヒーフェスティバルと高野山麓

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※2020年のイベント告知ポスターです

「元々、私はコーヒーは好きでしたし、『高野山麓の活性化につながるなら!』と協力させていただきました。2017年から続いて今年で5年目、地元はもちろん、県外の人達にも認知されて定着してきたのではないかと感じるコーヒーの祭典です。ちなみに、2020年に開催された『「おためしの」ジャパンコーヒーフェスティバルin 紀伊神谷』のポスター、実はモデルは私なんです!」

【ジャパンコーヒーフェスティバルについて】
全国各地のこだわりのコーヒー店が出店し、様々なコーヒーを飲み比べて楽しむことができるイベントです。
高野山麓では2017年から計5回開催しており、2021年は7月17日・18日に「第25回 高野山とふもと ジャパンコーヒーフェスティバル2021」を開催することが決定!
今まで出会ったことのないコーヒーがきっとあります。ぜひ飲み比べてみて、たくさんの出会いを楽しんでください。
詳しくは、、、https://www.japancoffeefestival.com/

「高野山麓で最初に開催したジャパンコーヒーフェスティバルはなかなかうまくいかなかった事も多くあって、苦労しました。私・自治体・南海電鉄などの地元側と主催者側で意思の齟齬があり、イベント終了後にジャパンコーヒーフェスティバル自体に背を向けてしまわれた方もいらっしゃいました。しかし、残ったメンバーで地元の活性化という目的を常に持って開催を続けてきたこともあり、その時に離れてしまった方も今では開催に協力してくれています。」

「失敗もあった最初のジャパンコーヒーフェスティバルが終わってからも、色んな人たちが『神谷でやろう』と後押しし続けてくれているのは本当にありがたい。その後押しと、地域でひとつにかたまる事が、前に進むためには必要なんです。コーヒーフェスティバルの様に、山麓を人が回遊するような仕掛けは本当に良い事だと考えています。南海電鉄にはこれからも山麓へ目を向け続けていて欲しいし、私も協力できることは惜しまないつもりです。」

神谷で人の交流を生み出したい

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「カフェ開業への根底の想いは『神谷で人同士の交流を生み出す』ということ。これが私が本当にやりたいことです。人とのコミュニケーションは楽しく、私もそういうのが好きです。交流が神谷を元気にするための鍵であると私は考えていますし、交流するための空間が欲しいと思っています。」

「参詣道を歩いて神谷にたどり着き、人と出会うことでホッとした表情で道や駅を尋ねてこられる方がいます。そこで生まれた交流はとても良い思い出になるのではないでしょうか。
また、コーヒーフェスティバルの影響もあって、仲間達からも『白藤小学校でカフェを週末だけでも開いていみたらどうだろう』と前から言ってもらっていました。そして、ご近所さんや南海をはじめとして色んな方も私の事を後押ししてくれていました。
この縁でやらないと、自分も歳だし、恥ずかしい。今やらないとやるときはない。そういった色々な事をずいぶんと考えて来て、今まで身近には無かった、交流の拠点を作りたいと思ってカフェの開業へ至りました。」

刀祢さん(ドリップ)

「山の中で人が集まって交流できる場所を神谷に作る事で、色んな人たちに神谷の事を知ってもらう。そして、願わくばまた神谷に来てもらいたい。私のやりたいことはそれに尽きますし、地道にやっていくのが良いんじゃないかと思います。
もちろん、お越しいただいたからには神谷の自然に囲まれた環境の中で美味しいコーヒーを飲んでいただきたい。施設改修のかたわら、更に美味しい挽き方・淹れ方を研鑽し、神谷の事を考えてブレンドしたオリジナルコーヒーを用意しています。コーヒーと共に、色んな方々が神谷で交流する日を楽しみにしています。」

あとがき:何度も出てきた“交流”

南海電鉄は2019年に高野山観光の新たな楽しみ方を創出するため、高野山麓にある九度山駅に「おむすびスタンド」を、高野下駅に「駅舎ホテル」をオープンさせました。山麓に賑わいを、人が交流する場を。そんな想いを地元自治体や地域にお住いの方々と共有し、協働して回遊性を求めたイベントも実施してきました。そこで想いを共にし、活動を支えてくれた方の1人が刀祢さんです。
「人が集まる場所をつくり、神谷という場所を知ってもらい、そこで交流をしていきたい。」
カフェを開く、それはとても大変なこと。しかし、刀祢さんの周りにはその人柄に魅かれたたくさんの“刀祢ファン”がいて、協力を、後押しをしてくれています。その後押しを受けて、想いを形に、刀祢さんはこの夏カフェをオープンさせます。
緑豊かな自然に囲まれノスタルジックな雰囲気が漂う小学校の中で、刀祢さんが焙煎し淹れてくれたコーヒーは、取材に訪れた私たちに、心が落ち着く幸せなひと時を与えてくれました。
“交流”を待っているcoffeeしらふじへ、ぜひお喋りをしにきませんか。

【PRその1】開業準備中の秘境のカフェ『Coffee しらふじ』について

『Coffee しらふじ』では神谷の事を連想させるオリジナルブレンドのコーヒーを提供する他、コーヒー豆を焙煎してご自身オリジナルのコーヒーを作ることができる体験等も準備しています。
また、『Coffee しらふじ』の開業に向けた施設改修の一部費用を2021年7月9日までクラウドファンディングで募集しています。宜しければ応援の程よろしくお願いします。
※下に表示されているクラウドファンディングの情報は投稿日現在のものです。

【PRその2】『高野山とふもと ジャパンコーヒーフェスティバル2021』開催

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2021年7月18日・19日に南海高野線:橋本駅〜高野山駅のうち8つの駅構内や駅付近を会場として、各地からコーヒー店が集まります。
「現代の参詣道」“自分好みの珈琲を知る~”をテーマにしたオリジナルコーヒーを各お店が一杯ずつ愛情込めてご用意。軽食や焼き菓子といったコーヒーのお供や、高野山麓の名産品を扱うお店の出店、時おり繰り広げられるストリートパフォーマンス。。。高野山とふもとの清らかな空気の中を、コーヒー片手に散策しませんか?
また、イベント参加者限定で、橋本駅~高野山駅が乗り降りし放題のおトクな1日フリー乗車券「ジャパンコーヒーフェスティバル2021」を九度山駅会場で販売します!
コーヒーを通じて、地域がひとつになる2日間。きっと初めてのコーヒーと交流が待っています。ちょっとした日帰り旅行気分で“高野山とふもと”へお越しになってはいかがでしょうか。
最新情報は、、、https://www.japancoffeefestival.com

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