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(南海沿線のいいしごと#2)大阪府貝塚市:延生 康二さん

南海沿線で活躍する方をご紹介する「南海沿線のいいしごと」。
今回は、大阪府貝塚市で自らも複数の事業を営みながら、生まれ育った貝塚・泉州の企業・まちを元気にしようと取り組んでいる延生 康二(えんしょう こうじ)さんをご紹介します!

貝塚市は難波駅から約30分、つげ櫛の生産が盛んで、貝塚市のイメージキャラクター:つげさんのモチーフになっています。また、かつては”海塚”という字が使われていたと言われています。ちなみに、南海線:貝塚駅の住所は「貝塚市海塚1-1-1」、読み方は「かいづかしうみづか」、、、ちょっとしたトリビアです。
今回ご紹介する延生康二さんは1歳未満からずっと貝塚市で暮らし、現在は貝塚市に本拠を構える帯鉄メーカー:延生金属をはじめ、4つの会社の経営に携わっています。

若い頃の経験が今の活動のエネルギー源に!

「私は16歳ごろから祖父が経営する延生金属でアルバイトをし、18歳頃に貝塚市内にあったIT会社に就職しましたが、4年後にその会社が事業休止をしてしまいました。仕事自体は面白かったので個人事業主として2年ぐらい仕事を続けた後、今も代表を務める株式会社ライジングを設立し、企業・行政のネットワークシステムの構築・保守業務やWebサイト制作・物置のEC販売等を行いました」

「当時は『物置きはホームセンターで買う』というのが一般的で、周りからも『本当に売れるのか?』というリアクションでした。しかし、広域で物置の販売・施工をしていた父の会社の資源と、販売窓口や決済を担えるECサイトを開発・運営できるライジングの資源活用し、色々な工夫や営業努力を重ねて年間販売棟数1,000棟を叩き出しました!
この小さな成功体験が中小企業のオープンイノベーションの可能性に気付くきっかけとなり、現在の活動のエネルギーの源になっています」

貝塚に住んで、働いて、、、まちに感じた課題

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「私はずっと貝塚で生活して働いていますが、市内にはパークタウンの様な新興住宅もできる等、体感として人口が減っている気はあまりしません。しかし、貝塚に住んでいる方が日中に貝塚市内で過ごしていないんです。貝塚には食べる場所や少し時間を潰すような店といった、地元の人たちが気軽に過ごせる場が少ない。昔ながらの喫茶店等はあるけれども、最近のスタイルとは違ってきてしまうので、若い方、例えば家の外で勉強したい学生が泉大津のマクドナルドへ行って勉強しているなんて話を見聞きします」

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「貝塚には大企業の工場も多く、岸和田以南の製品の出荷額では大阪府トップクラスです。一方で、それほどにモノづくりが盛んであるのに、大阪府内や貝塚市内でもあまり知られていないというのは、『もったいない』と思っています。市内の工場で作られてるのが部品であったり、BtoBの製品が多い、モノづくり同士だと技術的な部分もあって情報交換まで至らないなど、結果として分かりにくいのも理由の1つだと思っています。逆に、貝塚市内の工場同士が交流したり、外に向けて情報を出せるようになるだけでも、変化が生まれると考えています。私自身も、延生金属で作っている帯鉄がデザイナーから『格好いい』と言ってもらえてインテリアとして使用(写真上部の給湯室マーク)された際は驚きましたし、貝塚市内で色々な形でそういうのが発生してきて欲しいですね」

築50年以上の建物をリノベーションした貝塚オリジナルのコワーキングスペース:ポートフォリオ

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「貝塚という地域を改めて考えたときに、まちの人が仕事や勉強で気軽に立ち寄れる場所を作りたい、貝塚市内のビジネスパーソン同士が出会うことで新たな気づきや挑戦、オープンイノベーションへ繋げていきたいと思い、作り上げたのがコワーキングスペース:ポートフォリオ(2021年7月オープン)です」

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「この建物は元々、50年以上前から建っている南海電鉄の技術事務所でした。駅前ということでアクセスが良いうえに、貝塚に長い間あるこの建物には新築では出せない雰囲気があります。リノベーションしていくうえでも、ブロック壁に掛かれたメモ書き等を敢えて残し、建物が培ってきた歴史や厚みを感じてもらえるようにしています。また、飲食のメニューは貝塚市内の農家と連携して仕入れた地元の名産品を活かした料理をオリジナルで開発していますし、不定期ですが店頭でも野菜などを販売しています。機能や明るさ、デザインを新調した空間の中で、貝塚が培ってきたものを感じていただけるコワーキングスペースとなっています」

地方におけるコワーキングスペースのモデルケースを貝塚から

「都心部ではコワーキングスペースやテレワークといった新しい働き方が浸透して色々な事例が登場していますが、地方ではまだまだメジャーとは言えないと感じています。だからこそ、利用料は控えめにし、1階部分は誰でも使えるコワーキングカフェとして、小さなお子さんも遊べるスペースやバリアフリートイレも設置しました。様々な方に気軽に使っていただきたいですし、実際に働く方のみならず学生さんもいらっしゃいます。開業したばかりということを活かして、利用者の声も聞きながら、まちにとっての最適解を作っていきます」

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「また、都心部の大企業と地方企業・中小企業を比べると、どうしても地方企業・中小企業は新しい挑戦やプロモーションに対する情報や知識といったリソースが不足してしまいます。貝塚はどちらかと言えば後者のタイプ。そこで、ポートフォリオではその不足しているリソースをサポートし、利用する企業が新たなチャレンジや第二創業に踏み出して行ける場所としていきたい、と考えています。実は、このポートフォリオ自体も私を含めた地元中学の同級生3人が、メーカー、建設、不動産とそれぞれ違う仕事をしてきた経験を掛け算して立ち上げられました。また、カフェメニューの開発もコワーキングスペースと農家という異業種同士のビジネスマッチングによる成果です」

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「私は、まだまだ浸透していない「地方のコワーキングスペース」というテーマに対する1つのモデルケースをこのポートフォリオから作りだしていきたいと考えています。ポートフォリオで企業やひと同士が出会って新しい挑戦へとつながる、オープンイノベーションが貝塚・泉州からどんどん起きる、貝塚のまちが抱えている課題を貝塚ならではの空間で解決し、もっとワクワクするような将来へと繋げていきたいですね」

地域をつなぐ「貝塚オープンファクトリー2021」

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「ちょうど今、このポートフォリオを中心拠点として、『貝塚オープンファクトリー2021』を計画しています。貝塚にある工場の見学をしていただくのに加え、寺内町歴史ツアーや農作物の収穫体験等もできる、貝塚が持つリソースを繋げて企画を練っています。同じまちにいながらも、お互いに気付かなかった事や知らなかった事を知るのは面白く刺激的ですし、そこから新しいものが生まれてくるかもしれないと考えるとワクワクします。」

【ご参考:オープンファクトリーとは?】
近隣のものづくりの作り手等が主体となって同じ日に工場を公開し、お客さまに見学やワークショップを体験してもらうイベントです。全国各地で開催されており、大阪においても2020年12月に堺市や八尾市など広域で連携した「FactorISM」が開催されました。

「このオープンファクトリーという手法を知ったのは南海電鉄の人と話をしていたのがキッカケでした。実は、私の曽祖父は難波やみさき公園で駅長を勤めていたこともありますし、私自身も南海電車はずっと使っていて、縁や愛着を感じます。私の最終的な目的は泉州を元気にしていくこと。オープンファクトリーは南海電鉄から輸入しましたが、貝塚に最適なコワーキングスペースを作り上げたら今度は逆に、南大阪を走る南海線にポートフォリオの様な『地方におけるコワーキングスペース』を輸出していきたい気持ちがあります。先ずは開業したばかりのポートフォリオを皮切りに、泉州のまち・産業・ひとが更に元気になるように活動していきます!」

あとがき

南海電鉄では、沿線で働く人を増やすことを目的に沿線企業と一緒に成長していくプロジェクト『#BIZ TAG NANKAI(沿線企業魅力共創プロジェクト)』に取り組んでおり、その活動の中で延生さんと出会うことができました。貝塚・泉州への熱い想いもさることながら延生さんの魅力は何と言ってもその行動力!若くして起業したお話などもそうですが、オープンファクトリーについても紹介してすぐ「貝塚でやろう!」と立ち上がり、あっという間に様々な人を巻き込んで実現に向けていく姿、バイタリティー、そしてスピード感を目の当たりにして本当に驚きました!!

また、貝塚駅周辺では、ポートフォリオだけでなくリノベーションによって開業したカフェ等もあり、少しずつ貝塚のまちに変化が起こり始めています。貝塚で何が起きようとしているのか、南大阪にどういう可能性があるのか、、、気になった方は是非お気軽にポートフォリオへ訪れてみてはいかがでしょうか?
ちなみに、個人的なオススメはポートフォリオの浅煎りコーヒー。スッキリとした味わいと香り、コーヒーが苦手な方にもお試しで飲んでみていただきたい逸品です!

【PRその1】コワーキングスペース:ポートフォリオ

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2021年7月1日に南海線:貝塚駅前にオープンしたコワーキングスペースです。1階は3時間550円(ドリンク1杯付き!)で電源とFree Wi-Fiを完備した誰でも利用できるコワーキングカフェ、2階は会員登録制で住所登録やセミナー利用も可能なシェアオフィスとなっています。地元で採れた食材を活かしたこだわりのカフェメニューを用意しているほか、会議室やカーシェアリングも利用可能です。是非お気軽にご利用ください!

【PRその2】貝塚オープンファクトリー

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11月4日~6日に開催する予定の貝塚に製造拠点を置く製造企業の工場見学イベントです。迫力の大型設備工場や国内有数のスーツブランド工場等、貝塚市内各地で開催される工場見学イベントから行きたい工場を選んで見学できます。工場見学の他、水ナスの収穫体験や貝塚寺内町歴史ツアー等、貝塚の魅力を体感できる3日間です。泉佐野のタオル工場も連携して開催を予定しています。
貝塚に住んでいる方も、貝塚以外に住んでいる方も、貝塚には何があるのか、どのような事が行われようとしているのか、ぜひ来て・見て・楽しんでください!

https://www.kaizuka-of.com/

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