短評:「ビッグ・リーガー」1953年、ロバート・アルドリッチ監督

シネマヴェーラ 「ビッグ・リーガー」1953年、ロバート・アルドリッチ監督のデビュー作。プロ野球選抜のトライアウトに米国各地から参加する青年たちと、選抜を行う野球監督とのドラマ。短いが、ぎゅっと締まった佳作である。

野球監督はアカ狩りによるバッシングから復帰したばかりのE.G.ロビンソン。そのせいか、いつもの彼に比べて、やや緩い役柄になっていると評する向きもあるようだが、これがなかなか悪くない。

観た後で真っ先に思い当たったのが萩尾望都「11人いる!」だった。各地から集まってくる、多様な背景をもった候補生たち。試練と選抜、そして結果発表・・・それぞれの要素を比べてみると面白い。しかし本作は最近まで日本未公開であったようなので、下敷きになったとは考えにくい。並行進化のようなものであろう。