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地名のある20首

ひとごとでいいよ遠くに鉄橋を越える電車のあれは千葉行き

丸ノ内線に光が射すたびに意識の上では目を覚ますけど

ともだちの部屋から見えるともだちの東京に伸びゆく電波塔

池袋にも寄席がある。二人して暇なので落語家を見に行く

老人は赤いものだと知りながら巣鴨の先をゆく西巣鴨

人をみな袋綴じれば新目白通りに灰はひしひしと降る

カキフライかがやく方を持ち上げて始発、東西線に投げ込む

中野区はおやつに入らないことも知っているから秋の遠足

地下鉄の東西線の東端と西端が地上に出ています

阿佐ヶ谷はまだ先だけど人前で眠るあなたの口は閉じなよ

ゆうえんちさいせいじぎょう 路線図の一番大きい緑は皇居

手のひらの地図の縮尺変えながら上から見ている東京ドーム

いるか、そしているか、いるかの絵にも含まれるあなたを買い戻す秋葉原

京都から来た人のくれる八ツ橋と京都に行った人の八ツ橋

のぞみなら品川名古屋間ほどの時間をかけて子孫をつくる

これまでの恋人がみな埋められているんだそこが江ノ島だから

多国語で人を罵りたい朝の多摩川越しに神奈川がある

赤羽を越えたあたりで降りだしてフェイスブックにデモのお知らせ

キラキラ号、と名前のついたバスだからいつまでも見送る池袋

九月尽 ここがウィネトカなら君は帰っていいよ好きなところへ

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