貴方がもう一度筆を持ってくれますように
僕が絵を描くことが出来なくなって早、三年。
時の流れとは速いもので誰も僕のことなんか覚えていなかった。三年前、突如いなくなった画家として、新聞にでかでかと出ていたのに三年という時はやはり長くそして、覚えている人はいたのかもしれないが記憶の片隅にある塵みたいな扱いになるだろう。
ーあの時、突然筆が持てなくなってしまった。妻を亡くしたからなのか、それとも私のことを慕ってくれていたたった一人の友人が火事で亡くなったからなのか。もう、理由なんて覚えていない。むしろ、どちらともなのかも