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Mercariイベントレポート〜「Next Mercari」 from 「Inside Mercari」ー 大胆な「挑戦と撤退」から得た事業作りの要諦とは〜

目次

1. はじめに
2.どんな方におすすめの内容か
3.登壇者
4.メルカリの紹介
5.新規事業の話
6.Q&A
7.まとめ

1.はじめに

本日(11/18(月))にメルカリの「新規事業立ち上げメソッド」や「新規事業の撤退判断」についてのイベントに行ってきましたので、簡単にレポートにまとめたいと思います。

2.どんな方におすすめの内容か

・プロダクト企業の新規事業担当をされている方
・起業家(起業を目指している方)
・PM(プロダクトマネージャー)
・PO(プロダクトオーナー)

3.登壇者

今回は、メルカリの新規事業責任者の原田大作さんと執行役員の野辺一也さんが登壇してくださいました。
簡単に紹介します。

原田大作さん
現在は、メルカリの新規事業責任者を担当されている。
学生時代はプログラミングをやっていた。
サイバード→ウォルトディズニー(ソーシャルアプリなどの案件)→ザワット(起業)→ソウゾウ執行役員→同社社長→メルカリ新規事業責任者
モバイル領域(モバイルEC)&新規事業、に強み
越境ECに最近力を入れている。
その他、千葉道場のファンドのフェロー、Fun Group、個人芸能事務所(ライブなど)もやっている。

野辺一也さん
現在は、メルカリの執行役員VP of Business Operationsを担当されている。1996年に起業(Eコマース)→コンサル10年→化粧品会社の社長6年半→
→ローソンCMO(Eコマースの赤字精算がミッション)
Apple PayとPontaの繋ぎ込み経験

4.メルカリの紹介

・メルカリの紹介
Googleを意識している。大きいように見えて中身は全然ベンチャーなのでスモールでありながらハイブリットな組織をどう作るか。常に考えている。

・バリュー
以下のバリューは本当に社内で浸透している。

GoBold - 大胆にやろう
Allfor One - 全ては成功のために
Be for Pro - プロフェッショナルであれ

意思決定でこの基準を出す。辛い時に同じ価値観を持っているかを確認する。

・どのくらいGoBoldなのか?
 鹿島アントラーズを買ったりもしている。
 Too Bold(大胆すぎるぞ、お前。みたいなニュアンス)と言う言葉もある。

・Too Bold と Go Boldの違い
 基準はみんなが決める。

・コーポレートミッション
GAV減速しているのでは?
理由としては、去年が高すぎた。
CRM施策を打って在庫水準が下がった。
これを受けて、バイングとセリングのバランスを意識するようになった。

出品数がKPIの中のセンターピン。ただ、色々と経験する中で全体で1つのKPIを追うとうまくいかない。(アイテムのカテゴリなどで)切り分けると見えてくることが分かった。

今までユーザーヒアリングやアンケートをあまりしないで大きくなってきたが、最近は人にフォーカスしている。ファッションに興味があるのにメルカリのアプリを使用していない人はどのような心理なのか。

・US事業の状況
成長フェーズには入っている。
日本と異なり、マッチングした顧客同士の距離が遠い場合があるので、物流の最適化が課題。近くの人をマッチングをするなどの工夫などどうするか考えている。

・US⇄日本の絡み
日本にもいる。エンジニアが日本にもいるし、Slackで日常的にやりとりをしているのであまり位置は関係ない。


5.新規事業の話

・ソウゾウ(メルカリ100%子会社)の話
松本さんから始まった会社。会社各フェーズで良い人を取れた印象。
仲の良さ+良いライバル心が芽生え、切磋琢磨できた。

・ソウゾウで今までに作ったサービス
メルカリ設立時から9つのサービスを立ち上げていた

初期に作ったサービス
・atte(手渡しのサービス)
 撤退した理由
 これをやりたくて入ったし、トラフィックもあった。
(アメーバピグなどと同じくらい)
 ただ、メルカリ級にはいかなかった。
 また、直接手渡しだとトラブルもあった。

・カウル(バーコード出品)
人がほとんどいなかった(みんなメルカリUSの立ち上げやっていた)
早く作って仮説検証しよう。バーコードを作って早く仮説検証をした。
結論、メルカリ本体でやればスケールが見込める事業だったので単体のサービスとしては閉じることにした。

・MAISONZ(写真で金額査定ができる)
 こちらもカウルと同じ理由で撤退。

・merukari Now

・meruchari
自転車のメルカリ、中国で拡大すると思ってやったが、これも撤退。

・teacha
若手メンバーだったのと、Rubyで書いていた(他のサービスのほとんどGOで書いている)ので続かなかった。
ビジョンもかなり壮大なものであった。

・merukari FUND
スタートアップの出資(メルカリのIDを主軸としたネットワーク)も考えた。

・merpay

ソウゾウ発信で作った。
本体への組み込みにおいて、動かせるように分解することが苦労

後半に作ったサービス
・Merutrip
閉じた経緯、よかったがメルペイのローンチ直前。
メルペイをスケールさせるための人をそちらに投下しなければ行けなくなった。また、当初やろうとした構想(旅の思い出がお金に変わると言う構想)とサービスの内容がずれてきたので苦渋の決断で撤退した。

・トーカー(Talker?)
音声しか使わないチャットアプリなども作っていた。

・初期のソウゾウの反省
良かった点
・優秀なメンバーが集結して、最高の組織が作れた。
・無駄な議論がなく、課題&プロダクトDrivenだった。
・仮説検証のスピードが早かった。
・アジャイル開発で各チームが自発的に意思決定して成長していた。
・技術的な挑戦(GO&BigQuery、GCP導入)は先見の明があり、良かった。

反省点
・撤退ラインが明確に定められていなかった。
・プロダクトの展開を拡大しすぎた。
・時代を考慮すると、別立てのアプリは事業として得策ではなかった。

・後期のソウゾウの反省
良かった点
・大きな目標設定(メルカリ 級を目指せるか)
・少数精鋭(3名1チーム)でなんでもやる経験
・リスク&リターンの仕組み(特にリスク)
・外部シャットダウン(Weworkなどで仕事するなど)により、プロダクトに集中でこいる環境
・明確な撤退ライン、経営意思疎通のプロセス整備

反省点
・起業家レベルで事業を深掘りできる、張れる人材の不足(戦略、予算管理、開発リード、採用)
・変態的なアイデアで勝負できないジレンマ
・全社(メルカリ)の大きな流れには逆らえなかった。

・その他Tips
・起業家レベルで事業を深掘りできる人が役員レベルしかいない。
 →企業に属していてこれを全てやっている人はほぼいない。起業を経験して否が応でもやらなければいけない状況を経験しているか否か。

・メルカリは、何にしていくら使っているか。どう伸びてきたのかがどの社員でも知ることができる。
 →新規事業をやる上でメルカリのスケールのフローが非常に参考になるので良いこと。

・Brain Trust
様々な役員、USのメンバーからのFBをもらえる場がある。
この場で新規事業の構想を提示していろいろな意見をもらうが、最終的には本質的なのか、また、本人がどれだけ情熱を持ってやれるか、の2点だった。

・新規事業をやりたい人
新規事業をやれる仕組みも作ったし、社内ハッカソンもやった。若い人中心にかなりいいアイデアが出てきて面白いが、そこから続ける人は少ない。
やりきるためためのパッションと構想が本質的かが重要。
(もちろん、ボーナスはゼロだが、ヒットしたらインセンティブがドカンと入る)

・プロダクトを作るにあたって
プロダクトを作る際にマーケティングが大事であることに気づかされた。

・越境EC
インバウンド需要が上がっているため、アプリを利用した越境ECにも力を入れている。

・新規事業のプロダクト責任者として
世界時価総額ランキングはここ数十年で金融からテクノロジー企業へと変わってきている。ここから10年後はどうなるか?を考えていく必要がある。
直近だと、絶対AIが来ると考えている。

6.Q&A

事前アンケートの中から、2つほどピックアップして回答していただきました。

・組織編成で気をつけていること。
採用はかなり気を付けている。 この人ならバッチリチームに溶け込むし、スキルもマッチすると言う人でないと取らない。 給与もそれなりに出す。(原田さん)

変なセクショナリズムを作らない。(おやまの大将を作らない)
メルカリはマネージャーをやっていた人が今後もずっとそうであることはない。マネージャーが別のチームではプレーヤーになることもある。(原田さん)

・新規事業をやるメンバーを募る時、面談などで意識していること。
新規事業をやるにあたって、リスクテイクをどう考えているか。
リスクが顕在化した時にどうなるか、それを受け入れられるか、もしくはどう対策するか想定しているか。(原田さん)

個人的にキャリアで何を実現したいか。(野辺さん)

フィーリングが合うか。(野辺さん)

Go Boldの経験は何か。(人によって色々あるので面白い)(野辺さん)

・過去の新規事業でこれが欲しいと思った瞬間
自分がユーザー目線でこれが欲しいか。(自分の体験から来る仮説を元にしている)(野辺さん)

世の中に対してめちゃくちゃむかつくこと、もしくはめちゃくちゃ熱狂することを大事にしてサービスを考える。(原田さん)

定性的なところから入って仮説検証の中で定量的なデータで示すことも大事。(原田さん)

7.まとめ

全体通して、私が重要だと感じたポイントは以下だったかなと思います。

バリューの一致は本当に大事。
(重要な意思決定などでメンバーで意志統一して進められる。)
・新規事業のプロダクトオーナー、プロダクトマネージャーは、起業家と同じだけのスキルが求められる。
(戦略、予算管理、開発、採用面でリードできる必要がある。)
・プロダクトのプロタイプは、できる限りリーン(無駄なく)に作り、仮説検証をスピーディーに回す。
・撤退ラインを明確にする。(メルカリは、「出品数」「マッチング率の推移」を判断軸としていた。)

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