お題コーヒー

 私の朝はコーヒーから始まる。コーヒーを飲まないと何も始まらないと言っても過言ではないくらいコーヒーから始まる。コーヒーから始まるというくせにコーヒーに対してのこだわりはなく、強いていうなら早く溶けるかとどうかが需要である。
 朝なんてゆっくりしてなれないし。
 化粧したり、髪を整えたり、やることが多すぎる。なんでこんなにやることが多いのか。少しでもサボろうとするとすぐにバレる。本当に厄介だ。
 私はコーヒーを飲めば、目が覚めると思っている。朝は忙しいが目が覚めなければ、普段の倍の時間がかかるのではないかと恐怖している。
 朝に余裕があれば、コーヒーとパンだったり何か食べたりするし、余裕がなければコーヒーだけ飲んで準備をする。
 コーヒーだけ飲んで出社した朝はいつも以上にお腹がすいて辛い。さらにお腹が鳴る恐怖と戦わければならない。こんな歳にもなってお腹が鳴るとか恥ずかしくてその1日は精神が死んだのも当然だ。
 本当は私も格好つけて、こだわりのコーヒーについて語りたい。でも、朝はとにかく時間がない。1分1秒が命取りになる。だから、私はスッティク1本お湯を注げば飲めるコーヒーを愛用している。問題点したら私は猫舌だ。なので、お湯を入れてすぐには飲めない。水を瞬間湯沸かし器に入れスイッチを押し、歯ブラシ取りに行く。歯を磨きながらお湯が沸くのを待つ。沸いたら、コーヒースッティクの封を開け、お湯と一緒にマグカップの中に注ぎ込む。そして、私は口をゆすぐ、顔を洗う、化粧水を付ける。
 それでやっと、コーヒーが飲める温度になる。余裕があればテレビを見ながら朝ごはんを食べる。朝ごはんと一緒に飲んだとしても、コーヒーは余る。コーヒーをまた1口飲み、服を着替え、テレビを観ながら化粧をする前にも1口飲む。
 忙しない。朝から優雅にコーヒーをドリップでできる人はなんなんだろうか。超人?というか、同じ職場にもいるけど。
 私の仕事に対してのモチベーションは朝からコンディション整える程の仕事だと思わないし、テンションなんか上げてられない。というか、上げてやるものかと思っている。
 だから、安月給のままなんだと言われるかも知れない。その他の意識高い系に。でも知るかよ。安月給なんだからテンション上がるわけ。
 少しでも残業が減り、給料が上がれば、私だってコーヒーをドリップするわ。
 なんて、思いながら毎日同じ色の化粧を順番に付けていく。朝から情報番組を観たとて何も入ってはこない。時間のタイミングを測る道具にしかない。謎のキャラが私を会社へと急かす。
 なんで、会社って5分前集合じゃ怒るのだろう。遅刻したら全力で謝るじゃん。でも、私と違って早い人は30分前にはいる。私にプレッシャーをかけてくる。だいたいそういう朝早い人がコーヒーをドリップして来るのだから口に出して文句は言えない。あーー。私もコーヒーをドリップできる人種だったらなーー、よかったのに。
 そんなことを思っていたら化粧が終わった。残ったコーヒーはもう一気飲みできる温度になっている。
 私はそれを一気飲みをした。コーヒーを飲んで会社の昼休みまでは歯を磨くタイミングがない。そろそろステインが気になる頃。
 立ち上がると同時に右手でカバンと上着を持ち、左手に持ったマグカップをシンクの上に置く。水を気持ち程度マグカップに注いだら、部屋を振り返らず、私は会社へ向かうのだった。

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