不眠症について

睡眠について

睡眠とは、正常な脳の活動である。意識は低下しているが、意識障害と違って、刺激により比較的容易に目を醒ます。睡眠中は成長ホルモンやプロラクチンなどの体の恒常性を保つホルモンが分泌されている
1)Takahashi Y, Kipnis DM, Daughaday WH. Growth hormone secretion during sleep. The Journal of clinical investigation. 1968 Sep;47(9):2079-90




睡眠を通じて一日の肉体的な疲れや気疲れなどを癒すことと、それによって生活のリズムを作り出します。そして、規則正しく睡眠することが翌日の活力につながることはほとんどの人が実感していると思います。


それだけに睡眠欲とは人々の生活の根底にある欲求であることは疑いようもない事実ですよね。


当院に通われている方々の中でも睡眠の悩みを抱えられている方は少なくありません。





不眠症とは、睡眠の機会や環境が適切であるにもかかわらず、満足のいく睡眠をとることができず、 日中の活動に支障をきたしている状態。
2)森ノ宮医療大学紀要 第 16 号:67-74, 2022 74 Insomnia Kyoko Kitauchi 1) 1) Osaka General Medical Center



布団の中に入って目を閉じても、『寝付けない』『覚醒してしまう』などの症状です。昨今のとにかく慌ただしい現代社会の中では、かなり深刻な社会問題として提起されています。

私自身も嫌な事や悩み事などがあったり、夜に激しい運動をした時などは、しばしば眠れぬ夜を過ごした経験があります。私は、『眠れない時は起きといて明日また眠ればよいや』だなんて楽観的に考えてしまう癖があります。それでも、良く眠れない日が数日続くと肉体的・精神的にかなりのダメージがたあります。頭はボーっとしてくるし、皮膚や粘膜も外的なストレスに過敏に反応しやすくなっていることを実感します。精神的にも、普段睡眠がしっかりと摂れている時には、気にも留めないような事象にもイライラしたり、落ち込みやすくなったりします。

私のような楽観的で危機感のない人間でも、ダメージを受けるぐらいです。不眠が続くということは本人はもちろんのこと、その周囲の人々にも良くない影響を与えます。



2008年に行われた首都圏の成人2,000人を 対象とした睡眠時間の調査でも、平日は6時間以下の人 が約半数、5時間以下の人も18%であり、逆に、週末は 過半数が7時間以上、22%が8時間以上であった。つまり、平日は睡眠時間を削り,休日に睡眠不足を補う生活を多くの人が続けている。現在、日本人の4~5人に1人が睡眠に問題を抱え、9人に1人が睡眠導入薬を常用している。2)化学と生物 Vol. 51, No. 11, 2013 睡眠調節メカニズムと睡眠を制御する食品成分



一日の平均睡眠時間は7-8時間程度が健康的とされています。上記はかなり前の調査ですが多くの人々が睡眠に問題を抱えている現状がわかります。寝不足によって生産性が下がることで、数兆円規模の経済損失があるとも言われています。また不眠症状はうつ病や循環器系の病気などのきっかけになることも多々あります。不眠症に対する鍼灸治療の効果に関しては、多くの鍼灸師の方々が報告しております。
私自身も日々の臨床で『不眠症に対する鍼灸治療の有効性』を実感しております。『不眠症という悩みの解決策の一つ』として鍼灸治療があるということを今後発信していきたいと思っております。



睡眠のメカニズム

脳波を確認すると睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠の2種類ステージで構成されます。
ノンレム催眠は4つの段階に分かれていて最初の段階は、眠りに入る過渡期であり、筋肉の緊張が緩和されると同時に、脳の活動も緩やかになります。次の二つの段階では、深い睡眠が続き、体の回復や細胞の修復が行われます。最後の段階は深い睡眠から目が覚めやすくなる浅い睡眠状態です。

レム睡眠はRpid Eye Monement(急速眼球運動)の頭文字をとったものです。脳の活動が活発になり、目の動きが速くなる特徴があります。このステージでは夢を見ることが一般的で学習や記憶の処理、情動の調整に関与しています。睡眠が十分に摂れない時に、記憶力の低下、やる気の低下、不安感、焦燥感などが起こると言われてるのはこのためですね。

この二つのステージのサイクルは通常90分~120分で繰り返されます。一晩中に数回のノンレム睡眠とレム睡眠が交互に起こります。

睡眠中というのは脳・神経・筋肉その他組織の修復だけではなく、情動・記憶など目に見えない意識の修復もする大事な時間であると言えます。


不眠症に対する鍼灸治療

鍼灸治療が不眠症に対してどうように効果をもたらすのかについては、科学的な研究が進行中であり、その生理的機序は完全には解明されていません。多くの鍼灸師の方々が不眠症に対する鍼灸治療の報告をしていただいております。いくつかの要素がありますので以下に説明させていただきます。

1.神経調節
鍼灸がストレス応答に神経内分泌系を調整することが示唆されています。

2.ホルモン調節
鍼灸によって、セロトニンやメラトニンなどの睡眠に関与するホルモンバランスを整える可能性があります。

3.緊張緩和とリラクゼーション
鍼灸治療がリラクゼーションやストレス軽減を促進し、ホルモン調節に寄与すると考えられています。

鍼灸治療は個人の体質や症状によって効果が異なるため、必ずしも全ての不眠症患者様に対して効果があるとは言い切れません。不眠症とは様々な要因が絡まりあって生じていることがほとんどです。そのために個別化されたアプローチが必要であります。また、不眠症への鍼灸治療の効果として心理的な側面も多くあります。鍼灸師側からの睡眠に対するアドバイスなどによって自己ケアへの関心が強くなることで睡眠環境を整えるなどの自発的で前向きな不眠症管理に努められるようになることも多くあります。

一部の研究や症例発表では鍼灸治療が不眠症の緩和に役立つ可能性を示唆しております。当院では、さまざまな不調の原因を細かく砕いて認識し、個人個人の希望に沿った鍼灸治療を提案します。






私は今まで様々な人の様々な不調と向き合わせていただけました。その一つ一つの経験が私にとっては宝です。

その宝を今自分の手の届く人たちに届けたいという思いで鍼灸院を営んでます。       
ご相談だけでも良いのでお悩みの方は、一度ご連絡下さい。

◎連絡先◎

TEL:080-6953-4246

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