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【第1回】講義概略

第一回なにものゼミにお越しくださりありがとうございました。
第一回の講師ゲストは、小島慶子さん。『ADHD』や『育児や仕事の両立』を始め沢山のお話をして頂きました。今回の更新は、お越し頂けなかった方向けに講義の概略をまとめていきたいと思います。


『診断前の小島慶子と診断後の小島慶子は異なるのか。いえ、私は私です』

小さい頃から家族も含め、多くの人たちから変わり者扱いをされていた。TBSに入社し、女子アナとして仕事をするようになっても「女子アナ」「新人アナ」「女子」「会社員」として任せられる役割に違和感を感じていた。そんな小島さんが自分らしさを見出せる場所として、重点を置いたのは「ラジオ」。「語り手」としての才能が見出され、その後の仕事にも繋がっていった。
 ADHDの診断が医師から下ったのは、第2子を妊娠した際に精神疾患を発症し、精神科医に通うようになってから。不思議と落ち込むことはなかった。今まで感じていた自分の困り事がADHDの影響も一部としてあるのだと理由がわかり、すっきりしたという。
 だが、周りからの見方には変化があった。発達障害に対する見方の中には、極端に雑なカテゴライズをする人たちも多かった。ものすごくネガティブに解釈し決めつける人もいれば、アインシュタインとか天才に多いやつでしょ?とものすごくポジティブに捉える人もいるのだ。
 診断前の小島慶子と診断後の小島慶子。そこに大きな変化が現れているかを考えれば、その答えはNoだ。周りは「ADHD・発達障害」というフィルターを通して、「私」を見るようになるが、「私は私」なのだ。何一つ変わっていないのだ。

『自分を褒めるように心がけるようになった』


 「この講義が始まる前だってね」と切り出した小島さん。
この日、講義が始まる前までにしなければならなかった小島さんのタスクは4つ。
1郵便物を出すこと 2宅急便を出すこと 3野菜を買いに行くこと 4溜まっていたゴミを捨てること
結果的にタスク完了までに家に戻ったのは3回。お財布を忘れてしまったり、出そうと思っていたゴミを忘れてしまったり、この脳みそ辛いなと思う瞬間は幾度となく訪れる。でも、自分が3回忘れ物をし、家に帰ったのはADHDによる特性なのか。それとも更年期によるものか。はたまた老化によるものか。いや、徹夜したあの日の疲れによるものか。それは、本人でさえわからない。万華鏡の中にある折り紙の一部を取り出しみてと言われるのと同じように、自分の脳みその中でどの部分がADHDによるものなのかを説明するのはとても困難な事なのだ。医師ですら、ADHDの診断を下すのは難しい。人それぞれ症状もその重さも異なり、クリアではない。日頃、メディアでは取り上げてもらえないくらい小さな生き辛さが積み重なっているが小島さんの症状であると語った。
 だが、診断が下りた事で自分自身を認められるようになったそう。「3回も家には帰っちゃったけど、マンションのエントランスで3回とも気づいたんだからADHDを抱える私にしては上出来じゃないか」と。
 小さい頃から他の子と比較され、生き辛さを幾度となく感じたことがあった。私はきちんとした人間であるはずなのに、、、と自己肯定感はとてつもなく低くなっていた。あくまで小島慶子の例ですがとおしゃった上で、今まで上手くいかなかった一つの正体がわかり、前を向くことができたと述べた。

 
『あなた(小島慶子さん)はなにもの?』

 最後に私たち運営からこの講義のメインテーマのひとつでもある「あなたはなにものですか」の問いを投げた。

小島さんは答えた。

『なまものです。』

スーパーの陳列棚に綺麗に並べられているきっちり作りこまれたものではない。
生きてるということは変わり続けてしまうということ。捉え所のない曖昧なもの。
「小島慶子」という人間像は、周りから決まられる事で、自分で形成づけられるのではない。
私は永遠に自分がなにものかをわかることはないし、周りに任せるとおっしゃった。

だけど、あえて自分自分を分析するならば、、、
ADHDを含めて様々な原因から生き辛さを感じ、常に死にたいという感情と戦ってきた。だからこそ、今、「生きててなんぼ」「生きてるから面白い。」「あの時死ななくてよかった」と思うことがある。神から人に何かを伝える才能を授けられ、伝える場所が提供されている。その場所が提供される限り、自分の発する言葉・書く言葉で生きることに少しでも希望を持ってくれる人がいるかもしれないと思っていると語った。


次の更新では、この講義の運営裏側などこぼれ話を投稿します!
お楽しみに!

次回の講義は、11月10日 17:20〜
講師の方は、高知東生さん、田中紀子さんです。
『依存症』と『真実』について講義をして頂きます。

皆様のご参加お待ちしております!

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筆:石垣

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