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漢方薬局に行ったら換気扇を渡された。

何から書こう。

ここ数ヶ月の、私のしょぼい近況報告でいいだろうか。

というかそれしか無いからそれにするしかないという。

以前、pixivでも軽く触れたのだが、ここしばらくの間、

「漫画をどうやって描けばいいのか分からない」っていう時期が続いていた。

アイデアは頭に浮かぶんだけど上手くネームに起こせない。

絵は描けるけれども納得のいくものにならない。

描きたい話はあるんだけど気力が湧かない。

そういう時期はこれまでも度々経験してきたけれど、今回はそんな思考停止期間がやたら長引いていたので、

「一旦完全に休んで頭を空っぽにしよう」と昨年12月頭に決意した。

でも、

結局「ペンを持たない日」ってのを、
今日までほとんど作り出すことが出来なかった。

ペンを持っていないと落ち着かなかったし、ネタを考えていないと怖くなった。

でも考えても完成に至らないから頭がグツグツして。ただただ疲れてしまって、ただただ困った。

そうしているうちに何を見ても楽しくなくなって。胃腸の調子も崩して食欲も落ちてしまい、慢性的な下半身冷え性もしんどさに拍車をかけてきて、

とにかく暖房をつけていても厚着をしていても身体が冷たくて。「そろそろ本当にヤバイな」と思い始めたのが12月半ば。

そんな現状を何人かの人に話したところ

「漢方薬とかいいんじゃない?」

と2人の方からアドバイスを頂いた。

「漢方良いよ。多分ね、『薬とは本来こういうものだ』って感じると思う。これまでの価値観が変わると思うよ」

「西洋医学って、血圧でも何でも一定の基準値で良し悪しが判断されるところがあるじゃない。漢方は『ひとりひとりの適切』に合わせて薬を出されるから。絶対良い」

と断言された。なんか、力説された。

漢方をおすすめされる少し前、

群ようこさんのエッセイ『ゆるい生活』を読んだのがきっかけで、漢方薬局という場所には少しだけ興味を持っていた。

同じ症状を訴える人が複数いても、それぞれの顔色や舌の色、生活スタイルや体質によって調合が変わってくる。

市販の風邪薬のような『症状を抑える薬』というより、『症状が引き起こる原因を解消させる薬』というイメージが漢方にはあった。

そして私自身、化学物質然としたサプリメントや薬があまり得意ではなかったので、いつか機会があったら漢方の相談をしてみよう思っていたところでもあった。

評判のいい漢方薬局を調べてみたところ、zoomでのオンライン相談も行なっている事に加え、

病院から薬を貰っている人でも、服用している薬の詳細を見せれば、薬同士が競合しないよう調整してくれるらしい。

現在通院している病院はないけれど、ひとまずその薬局に予約の電話を入れてみた。

そして12月末、

めちゃくちゃ寒い日だったけど、電車に乗ってマップを何度も確認しながら薬局へ向かった。

薬局のドアを開けたらニッキのような香りがして、

奥から薬剤師さんが現れた。

ーー

「こちらに記入をお願いします」
と言われて問診票とペンを渡された。

私の体質を知るための質問と、私が相談したい内容を書く欄があったので、一つひとつ記入していく。

とにかく下半身が冷えてしんどいということ。お腹にカイロを貼っていても下腹部が冷たいということ。昔から胃下垂気味で食が細いということ。パニック障害の罹患歴があり、身体が疲れたりストレスが溜まったりすると、今でも喉のつかえや息苦しさが出ることなど、一通り記入した。

私が書いた問診票をじーっと眺めて、薬剤師さんはしばらく黙っていたが

「『気』が不足しているんだと思います」と話し始めた。

『気』。

東洋医学の世界には、気血水(きけつすい)というものを使った体質分類がある。

『気』は生きるのに必要なエネルギーのことで、『血』は血液、『水』は体内を循環する血液以外の液体のことを言い、いずれかの成分のバランスが崩れるとカラダに不調が起きるとされている。

『気』の不足や乱れによって起こる、
気虚(ききょ)
気滞(きたい)

『血』の不足や乱れによって起こる、
瘀血(おけつ)
血虚(けっきょ)

『水』の不足や乱れによって起こる、
水滞(すいたい)
陰虚(いんきょ)などがあり、

疲れやすい、元気が出ない私はどうやら『気虚』にあたるようだった。

そして『腎(じん)』についての説明も受けた。

東洋医学における『腎気(じんき)』とは、成長・発育・生殖に関わる生命力のことをさす。腎は親から受け継ぐ先天性のものであり、生まれつき弱い腎を薬でサポートする事は出来ても、根本から強くすることは不可能なのだという。

ちなみに腎が弱いと女性は不妊になりやすく、男性は泌尿器系を患いやすい。

ウチの父親も前立腺がん予備軍なのだが、これは高齢により腎が弱くなってきたのも原因としてあるのかもしれないと、説明を聞いていてなんとなく思った。

「名仁川さんは元々、それほど腎が強いほうではないのかもしれません。

胃腸の不調と冷えの原因ですが、名仁川さんの場合3つあると思います」

①単純に元々胃腸が弱い

胃腸が弱いということは消化吸収能力が弱いということなので、食べ物からエネルギーを得る事があまり出来ていない。そのエネルギー不足が原因で身体が冷えてしまっている。

②頭の中が考え事でいっぱい

考え過ぎによるストレスで胃腸が弱り、ただでさえ強くない消化吸収能力がさらに落ちている。

③呼吸が浅い

デスクワーク中心の生活で呼吸が浅くなり、酸素が充分に取り込めていない。酸素が充分に取り込めていないので、内臓機能が低下してしまっている。座りっぱなしによる血行不良もそれに拍車をかけている。

言ってしまえば、全ての原因が連動して胃腸の不調と冷えを起こしている、という事らしい。

「ですのでお薬としては、

①胃腸にダイレクトに効く薬
②脳の考え過ぎを抑える薬
③呼吸器をサポートする薬

のどれかになるのですが、名仁川さんご自身の感覚で、どれが良いか選んで頂きたいんです。どの薬にしましょうか」

「……………」

…①も②も③も全て思い当たるもんで。

悩んでしまう。

でも割合でいったら、

「……②ですかね…」

ここ最近、ずっと仕事の事でぐるぐる考え過ぎてしまっていたから。

そして考え過ぎると、大抵食欲不振が顕著になるという。

「わかりました。じゃあ換気扇を出します」

ほ?

「『頭の換気扇』と呼ばれている薬があるんです。羚羊角(れいようかく)という生薬がベースになっている薬なんですけど、この羚羊角というのはモンゴルなどに生息するウシ科の動物のツノでして。

考え過ぎによって頭にこもってしまった熱を、この羚羊角が換気扇みたいに飛ばすんです」

…………モンゴルとかにいる、ウシの仲間のツノが。

換気扇みたいに頭の熱を飛ばす。………

「………そんな薬があるんですか」

「……あるんですよ笑」

ちょっと笑てるやん。

パソコンでいうところの、『メモリに負荷がかかった時に、自動でファンが回る』みたいな意味で捉えていいらしい。

「それと女性には月経がありますから、常に体調に波があります。基礎体温は測っていますか?」

「いえ、測ったことないです(お恥ずかしながら)」

「でしたらこれを機に基礎体温計の購入をおすすめします。何ヶ月か続けると、ご自分の身体のリズムが分かってくると思いますから」

そんな感じでまずは二週間分、お試しで薬を飲んでみる事にした。


渡された薬。『能活精』(救心製薬株式会社)

次回の予約をして、その日は薬局を後にした。基礎体温計もamazonで注文。

そして結果から先に言うと、

薬を飲んだ2時間後に、脳の過剰回転はピタッと止まった。

(多分、つづく。)

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